育児困難とは、育児に伴うストレスが 解消できない状態をいいます。1970年代は育児ノイローゼ、育児不安という用語が使われましたが、現在は多くの研究の中で育児困難が使われています。育児困難は、虐待や不適切な養育へ至る可能性があるため、虐待関連用語が使われています。

現在は、20年前に比べ、子育てでイライラすると感じる母親の割合が増え、育児に自信を持てず、育児に困難を感じる母親は4 人に1 人と報告されています。少子化、核家族化、地域社会との希薄化した繋がりなどで、現在は前にもまして育児がしづらい状況にあります。

第48回「母性衛生学会学術集会」で東雅代らによって発表された「乳幼児をもつ母親の育児困難の状況 －母親および子育て支援に関わるエキスパートへのフォーカス・ グループ・インタビューから－ 」によると、子育てで困難・不安を感じることとして以下の4つがあげられています。

１）子どもに対してイライラしてしまうこと

２）祖父母や周りと当たり障りのない関係をもつこと

３）きょうだいに対してバランスよく対応すること，

４）頑張らずにはいられないこと

これらに関係する要因として、以下の5つが見出されました。

１）母の子育てへの自信のなさ

２）母の他者評価が気になりプレッシャーになる傾向

３）母自身、自分から頼れない・頼らない傾向

４）祖父母が親育ちの助けにならない傾向

５）母自身、自分の意思が子どもに通じるのが当たり前と思うこと

問1　ちょっとのことでイライラする

問2　全部放棄して逃げたいと思ったりする

問3　全部完璧にこなしたいと思っている

問4　自分だけが頑張っている気がする

問5　何もやる気が起きず、興味も湧かない

問6　日中、人と会って会話をすることがあまりない

問7　子どもをかわいいと思えない

問8　拒食や過食の傾向にある

問9　突然涙が出てくる

問10　寝つきが悪い、熟睡できない

参考：https://moomii.jp/kosodate/

いかがでしたか？

一つでも当てはまる人は、周りに助けを求めましょう。恥ずかしいことでもなんでもありません。

子どもと2人きりの時間が長い人・弱さを人に見せられない人・真面目で手を抜けない人・上手に息抜きが出来ない人・子育てや家事を完璧にこなしたいと考えている人・周りにママ友がいない人・育児以外にもストレスがある人は要注意です。

上記に当てはまる人は、まだストレス症状がそれほど強くなくても、何ごとも完璧にこなそうとせず、楽しめる余裕を失わないようにしましょう。（特に、夫が忙しく、親も近くに住んでいない人）

育児困難はまじめで「自分が全てやらなければいけない」と考えてしまう人に多いです。あまり自分を追い詰めずに次の3つのことをやってみてはどうでしょうか？

（１）好きなことをする日を作ろう

（２）周りに相談しよう

（３）しばらく子どもから離れよう

ある程度自分勝手にしてみたり、周りに助けてもらったりすることで、子どもと向き合いすぎている視野を広げることをおススメします。

子どもの虐待の原因がすべて保育者にあるわけではなく、環境（貧困・病気・孤立）など社会経済的なものも関係してくることは確かです。でも、一要因として、保育者の育児不安を取り除くことは虐待予防に重要です。上のチェック表で、もし一つでも当てはまったら、家族とよく話し合い、一日に30分でいいので一人になれる時間を作れるように、夫にも相談して協力してもらってくださいね。一人時間は心の健康、ストレス軽減にとても大切です。

また、一人で悩まず、子育て世代包括支援センター、児童相談所、森永乳業　エンゼル１１０番、NPO「子育て・女性健康支援センター」、電話相談窓口「子育てホットライン　ママさん１１０番」などに相談することも一案です。