キャンプで非認知能力を育もう!親子キャンプのすすめ
世界中で注目されている「非認知能力」とは?
非認知能力とは、IQなどの数値では図ることのできない「人間性」や「社会的情緒」のことです。つまり、「意欲」や「協調性」などといった、人の生涯を支える基礎となる個性ともいえるもののこと。非認知能力には具体的にどのようなものがあるのかみてみましょう。
人生を豊かにしてくれる『非認知能力』
「非認知能力とはこれです!」と簡単に定義できるものではありません。とにかく、生きていく上で必要な力のことです。しかし、そういわれるだけでは、子どもの非認知能力を伸ばしてあげることが難しいですよね。そこで、幼児教育の第一人者たちが、非認知能力について研究した結果から分かる具体的な非認知能力をご紹介しましょう。
以下は発達保育実践政策学センターの西田季里氏らによる「非認知能力に関する研究の動向と課題」の研究分析結果やその他文献からみる非認知能力の定義です。
- 自分を信じ、やり抜くための自己認識力
- やる気や集中力を発揮するための動機付けや意欲
- あきらめずに粘り強く挑戦するための忍耐力や持続力
- 勤勉で自分のルールを守るセルフコントロール力
- 目標に向かって計画性を持ち、問題を解決しながら前進できるメタ認識力
- 協調性があり、リーダーシップを発揮できる社会的能力
- 失敗から学び、ポジティブに立ち向かう対応力や回復力
- 創造し工夫できるクリエイティビティー力
- 命の尊さを理解し優しくなれる感謝や思いやりの心
ここで挙げた以外にも、非認知能力と分類される能力はあるように思います。
具体的な非認知能力をみてみると、親が心から子どもに育んでほしい能力の数々ですね。
偏差値などで示すことのできる、いわゆる「頭の良さ」とは全く違います。しかし、子どもの将来のために必要であることは間違いないようです。
キャンプに乗り気になれないママやパパへ
キャンプは、何でも揃っている現在の豊かな日常生活や都会の喧騒などから離れ、自然で過ごすアクティビティです。子育て世代の親たちの中には、自然と触れ合う大切さは誰もが分かってはいるものの、キャンプに乗り気になれない人もいるのではないでしょうか。「暑いのが嫌、虫が嫌い、自然を楽しむよりテレビを見ながら家でゆっくりしていたい・・・」親がこういう気持ちなら、子どもだってキャンプをしたいと思えません。
キャンプはただ自然を楽しむためのものではなく、子どもの大切な能力を育む場だと知ったら、キャンプへの意欲が湧いてくるかもしれませんね。
そこで、親子でキャンプをするメリットをご紹介するとともに、親子キャンプについて深く掘り下げます。
親子キャンプのメリットと他のキャンプとの違い
親子キャンプにはいろいろなメリットがあります。具体的にはどのようなことがあるのでしょうか。
親子キャンプではどんなことをやる?
親子キャンプの最大のメリットは、親子が一緒にいろいろなことに挑戦できるという点です。普段、何かに一生懸命に打ち込んだり全力で楽しんだりする親の姿を子どもに見せられていますか?
子どもの一番身近なお手本は親です。子どもは親を真似するのが大好き。だから、親が本気で楽しんでいたら、子どもも挑戦してみたくなるものです。
例えば、こんなキャンプはどうでしょう。
- みんなで協力してテントをはる。
- 服が濡れるのを気にせず川の中で遊ぶ。
- 拾った木の枝でチャンバラ遊びや、スイカ割りをする。
- 魚や虫を発見し、名前や特徴を調べてみる。
- 火をおこし、自然の中で調理して食べる。
- 暑さや寒さを感じながら、自然の音に耳を澄ます。
- 暗闇に輝く星空を眺め、翌朝は普段より早く起きて楽しいこと探しをする。
いかがですか?親子キャンプに出かけたくなってきたのではないでしょうか。
キャンプだからこそ体験できることを挙げてみましたが、そのひとつひとつには子どもの非認知能力を育むポイントがあることに気付きます。
親子キャンプが子どもの能力アップに与えるメリット
- 協力して取り組むことで生まれる協調性
- 普段しないことに挑戦し楽しむことで生まれる自己肯定感や好奇心
- 遊び方などを自分で考えることで生まれる表現力
- 図鑑などでしか見たことがなかったものをリアルに手に取れることで生まれる知的好奇心
- 自分の役割をこなすことで生まれる責任感や自立心
- 自然条件に適応することで生まれる状況判断力
- 何かしてみたい、何をしようという感情から生まれるチャレンジ精神や思考力
もっといろいろな体験をすればそれだけの非認知能力を育むことが期待できます。
親子キャンプが親の対応に与えるメリット
忙しさを言い訳に、子どもの要求や好奇心に寄り添えていないと感じたことはありませんか?
子どもが何かしたいと思ったときは、好奇心を伸ばすチャンスです。好奇心を突き詰めれば、チャレンジ精神や努力する意欲、達成感から得られる自己肯定感など、非認知能力が自然と培われていくのではないでしょうか。
親子キャンプでは、仕事や家事に追われることなく、親と子どもが同じ時間や空間を共有できます。そうすれば、同じ目線で子どもと発見・体験し、いつも以上に子どもに向き合うことができるのです。服が汚れたって気にする必要はありません。
「あれはだめ、これもだめ」と注意することも少ないでしょう。
いつもより大らかに子どもを見守る心の余裕ができるのが、親子キャンプが親に与えるメリット。何でもやってみて、失敗したらそこから学べるのがキャンプの醍醐味だからです。
親には親子キャンプで、子どもの非認知能力を引き出す手助けをする役目があります。そして、子どもの急成長を目の当たりにできるという喜びもあるのです。子どもの頑張りや成長に気付いたら、しっかりと褒めてあげましょう。褒められることで、子どものやる気や自己肯定感はグンとアップします。
キャンプといっても、家族だけではなく、大人だけでするキャンプもあれば、保護者の監督のもと子どもが集まってするキャンプなどさまざまなスタイルがあります。前述したように、親子キャンプには、子どもの非認知能力を育むポイントが盛りだくさん!そのポイントを最大限に活かすには、親が楽しくキャンプに参加していることが大前提です。まずは、子どものためと思ってキャンプに挑戦してみてください。親子で楽しい時間を共有し、日常とは違う環境で、普段はできない体験をしてみましょう。
子どもも親も成長できるのが、親子キャンプなのです。
親子キャンプ初心者におすすめのテクニック
キャンプ初心者の方に、失敗しない親子キャンプのテクニックをご紹介します。
日帰りキャンプから始めよう
キャンプ初心者のママやパパは、「キャンプ道具がないから泊りのキャンプは難しそう」と思ってしまいがち。それなら、日帰りキャンプから始めてみてはいかがですか?公園遊びの延長で良いのです。
日帰りキャンプの際には、双眼鏡や虫眼鏡を準備して、鳥や虫、花を見つけたり、よく観察してみたりするのがおすすめです。知らなかったものに関しては、帰ってから図書館などで図鑑を借りて一緒に調べましょう。興味を持って、研究・調査するという習慣づけにも効果的ですね。
ほかにも、水遊びができる公園に行ってみるのもよいでしょう。水で遊ぶ楽しさを知ることができますし、もしかしたらオタマジャクシやメダカなどを発見できるかもしれませんよ。
水遊びの次はもっと大きな公園へ、そして動物と触れ合える公園へといった感じで、それぞれの家族のペースで自然体験をしてみましょう。
キャンプ場のレンタル道具を活用しよう
キャンプ場には、テントや野外調理器具などがレンタルできる施設がたくさんあるので、道具を持っていなくても気軽に親子キャンプに挑戦できます。
最近では、ホテルのように豪華な施設・サービスが受けられるグランピングや、天候に左右されないコテージなどでのキャンプも流行っています。しかし、テントをはる作業や火おこしなども、子どもにとっては貴重な経験です。ぜひ、子どもの年齢に合った役割を与えて、みんなで協力するキャンプに挑戦してみてください。
テントを揺らす風や雨の音だって楽しい出来事。夜や早朝にぐっと気温が下がる大自然ならではの体験。いつもとは違う味わいの空気で大きく深呼吸する気持ち良さ。
親子キャンプの体験全てが子どもの「五感」を刺激してくれること間違いなしです!
親子キャンプは計画や準備も学びになる
まずは、どこでどのようなキャンプをするのか家族で話し合いましょう。キャンプ場でレンタルできるもの以外にあったらいいものはないでしょうか。
本好きな子どもなら、本を持参して大自然の中での読書を体験させてあげると良いですね。虫に興味があるのなら、虫かごを持って行ってじっくり観察してみましょう。献立を決めて食材を揃えることも重要です。野菜を洗う担当、切る担当、炒める担当は誰にしますか?どうやって火をおこそう。松ぼっくりや松葉などの天然の着火剤を見つけられそうですか?
寒くなったときのために、厚手の服やブランケットなども持って行ったほうが良さそうですね。雨の時の対策は?満天の星が望める場所なら、星座の図鑑があっても楽しそうですね。その場合には、手元だけ照らしてくれるランプも必要ですよ!
それぞれの家族の好みや希望に合わせた親子キャンプを楽しむために、まずは入念な家族会議からスタートしましょう。
さいごに
親子キャンプに興味を持っていただけましたか?
キャンプは子どもにとって、ワクワクがいっぱいの未知の冒険。大好きなママやパパと一緒だから、思い切っていろいろなことに挑戦できます。そんな貴重な体験が、子どもの将来の「生きる力」となる非認知能力を育むきっかけになるはずです。
この夏は、ぜひ親子キャンプに出かけてみてくださいね。
参考資料
- 国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research|非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書(https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h28a/syocyu-2-1_a.pdf)
- 国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research|社会情緒的能力に関する研究(https://www.nier.go.jp/04_kenkyu_annai/div09-shido_02.html)