【クーイングとは】いつからはじまる?喃語とどう違う?意味や役割について
クーイングってなんのこと?
赤ちゃんは生後2~3か月ごろになると、泣き声以外の言葉で「あーあー」「うーうー」などの声を出すことがあります。ひとりで話しているようにも聞こえることがある、この声のことを「クーイング」と呼びます。
クーイングは赤ちゃん特有の発声で、英語で鳩の「coo」という泣き声を語源としています。「甘いささやきを交わす」という言葉が語源ともいわれているほど、愛らしい発声です。唇や舌を使わず、喉の奥を鳴らして短い母音を発声することが特徴です。
クーイングに意味や役割はあるの?
赤ちゃんがクーイングをすることにはどういう意味があるのでしょうか。クーイングが表す意味と役割を紹介します。
クーイングにはどういう意味があるの?
生まれたばかりの赤ちゃんは、見聞きすることだけでなく自ら動いて発信することも初めて。泣くことでしか自分の気持ちを表現できません。日々の生活の中で、食事や排せつ、体調のよしあしなどを伝えるときの泣き方を、世話をしてくれるママパパの反応を見ながら変えていきます。
クーイングもその過程で出てくるコミュニケーションのひとつとされています。コミュニケーション能力を養うために行うものなので、ママパパの積極的な相槌や言葉かけをすることで、さらに発声するようになります。今まで手足や泣き声で意思表示をしていたのが、発生そのものが自分の気持ちを相手に伝える道具になるとわかってくるようになるんですよ。
クーイングは機嫌がよいときに行うことが特徴として挙げられ、音を出すという行為を楽しんだり、ママパパとコミュニケーションを図ったりするために行います。心地よい、気持ちよいと感じたときに発声が確認されることが多く、音をつくる身体の器官が成長してきている証拠です。赤ちゃん自身が発した声にママやパパが反応したり、思いが通じたりしたときの喜びや心地よさを体験することで、赤ちゃんはより前向きにコミュニケーションをとろうという気持ちになるそうですよ。
株式会社 LITALICO|赤ちゃんの喃語が出る時期について、喃語が出ない、遅いときの原因や工夫、相談先まとめ【医師監修】(https://h-navi.jp/column/article/35025790 )
クーイングにはどういう役割があるの?
クーイングには、言葉の発達の第一段階にあたる発声練習という役割があります。赤ちゃんは「あー」「うー」といったクーイングから始まり、口の形を変える・唇を震わせる・舌やのどを使う・口や舌の動きを調節するといった流れで、言葉を発するときの声の出し方を学んでいきます。自分の声を耳で聞いて発し方を学んでいるんですね。
喉の奥から声を出すので、唸っているように聞こえるときも!実はこれもクーイングなのです。
クーイングを行わない赤ちゃんもいますが、基本的には言葉の発達に影響することはないことが知られています。はじめての育児で、赤ちゃんにどう接すればよい影響を与えられるのか、今できていないとだめなのかなと、不安になるママパパもいることでしょう。標準や目安といった情報にはとらわれ過ぎず、赤ちゃんそれぞれの発達スピードに合わせて見守ってあげるのも大切なことですね。
クーイングと喃語はどう違うの?
クーイングは言葉の発達の第一段階にあたる発声練習であると紹介しましたが、喃語はクーイングの次の段階にあたります。一般的には生後5か月~6か月ごろに始まり、1歳半ごろまで長い期間にわたって続きます。
クーイングでは唇や舌は使わず発声しますが、喃語ではより複雑な発声になってくるのが特徴です。唇や舌、横隔膜や声帯の使い方が上達し、声の高低や音の長さ、種類などを変えることができるようになっていきます。2つ以上の音を発声し、コミュニケーションがとりやすくなってくることも特徴として挙げられます。代表的な喃語は「ま」や「ば」など、子音や濁音を含む言葉です。赤ちゃんの発声の例を表すときに一般的に使われる「バブバブ」という言葉や「ダァダァ」という言葉も喃語にあたるんですよ。
「マンマ」「パンパ」という喃語も発するため、「今ママ、パパって言ったね!」とうれしくなる方もいるかもしれませんね。
クーイングはいつから始まっていつ終わるの?
クーイングは発達過程の一部なので始まりには個人差があります。一般的には生後1か月~3か月ごろに始まるといわれています。終わりは個人差が多いので目安はありませんが、1歳ごろには頻度は格段に減るでしょう。
生後4か月ごろには声を出して笑うようになり、「マンマンマン」「プー」「バー」などの意味のない喃語を話し始めるようになります。生後6~7か月ごろになると、ようやく舌や唇を使った子音も発声できるようになり、言葉へとつながっていくのです。
『うちの子は2か月でもう「おはよう」を言えるようになった!』という例もありますが、周囲の人が出す声を赤ちゃんが聞き、それをまねて同じような声を出すということがわかっています。「おはよう」はほぼ母音で形成されているため、何度もまねて発声しているうちに、赤ちゃんの発したクーイングが、たまたま「おはよう」という言葉に聞こえるようになることもある、とお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授の榊原氏は解説しています。
生後2か月ではできていたのに、生後10か月ごろになると全く言わなくなったということがあれば、クーイングの空耳かもしれないですね。
・株式会社 NHKエデュケーショナル|2~3か月の赤ちゃんがおしゃべりができるの!?(https://www.sukusuku.com/contents/qa/41858 )
クーイングが始まらない赤ちゃんもいるの?
クーイングが言葉の発達過程と紹介しましたが、中には「うちの子はクーイングが始まらないから心配」という方もいるかもしれません。実は、赤ちゃんによってはクーイングがない場合もあります。
おとなしい性格だから
クーイングから喃語、意味のある言葉へというように言葉の発達は進んでいきます。しかしながら赤ちゃんも一人の人間ですので、性格によってはクーイングしないまま喃語や発語へ移行することもあります。
その場合は、目や身振り手振りでコミュニケーションがきちんととれているか、ママパパの呼びかけを理解しているかということを重視しましょう。クーイングをしないことよりも、音の聞こえやママパパの呼びかけに反応するかに注意して赤ちゃんの様子を見て、気になるようなら育児相談や病院での相談を利用することをおすすめします。
言葉による関わりが少ないから
他者とのコミュニケーションをとる機会の不足から発語が遅れているという研究も報告されています。核家族化が進み、ママやパパが子どもと二人きりでいるときの接し方がわからず、言葉に触れる機会が減ったことや、スマホや動画を見せて静かにさせるママパパが増えたことによって、発話の機会が減ったことが要因として挙げられました。
赤ちゃんの言葉の発達にはママやパパ、周囲からの言語による関わりが重要な意味を持つといわれています。積極的に話しかけることで赤ちゃん自身の発声への興味を引き出します。赤ちゃんがクーイングし返してくれなくても言葉をインプットさせることが、後々の言葉の発達に大きな役割を果たすのです。言葉に限らず、さまざまな体験や経験をさせることも赤ちゃんの興味と感心を刺激するので、赤ちゃんの感情や言葉の発達を促せるよう五感を使って外の情報に触れさせる機会をつくることが大事です。
・前田綾子|子どもの言葉の獲得のプロセスと発語の時期に関する研究(https://irdb.nii.ac.jp/01137/0004338539 )
喃語やクーイングに疲れてしまったら?
赤ちゃんの話す言葉はかわいいですが、ずっと返事をし返さなくてはいけないと思うと疲れてしまいますよね。疲れてしまったときの対処法をご紹介します。
赤ちゃんと距離を置いてみる
疲れたと感じたときは赤ちゃんの安全を確保したうえで、数分だけでも別の部屋やトイレなどにこもって気持ちを落ち着けてみましょう。気持ちのリセットをすることができますよ。
家族に話して協力してもらい、一人の時間をつくってみることも有効です。一人の時間がどうしてもつくれないときは、支援センターやオープンスペースなど、家族以外の人と交流できる場所へ出かけてみるのもよいです。
ベビーカーに乗せて散歩をすることも、お互いの気分転換になります。外に出ると寝てしまう赤ちゃんは多く、ママやパパも冷静になることができますよ。
赤ちゃんにおもちゃで遊んでもらう
ママやパパが相手をできないときに、少しの間おもちゃで遊んでもらいましょう。ぬいぐるみやプレイジム、メリーなどを相手に一人でおしゃべりしてくれる場合もあります。その間に休憩をとるとよいですよ。
まだまだ言葉の通じない赤ちゃんの相手をずっとするのはとても大変なことです。息抜きの時間をつくりながら成長を見守ってあげられるとよいですね。
さいごに
言葉にならないかわいらしいクーイングを聞けるのはとても短い期間だけです。子どもは驚くようなスピードで成長するので、貴重な時間を一緒に体験できるのもほんのわずかな時間です。子どもの言語の世界を広げるためにも、積極的に話しかけて興味関心を引き出しましょう!
参考サイト
- パンパース|クーイングとは?クーイング、喃語やバブリングの違いは?(https://www.jp.pampers.com/baby/development/article/baby-cooing-and-babbling )
- 子供英語タイムズ|クーイングはいつから?喃語との違いは?言葉の発達の仕組み(https://world-family.co.jp/cetimes/newborn/education/article-471.html )
- 奈良学園大学人間教育学部|子どもの言葉の獲得のプロセスと発語の時期に関する研究(https://irdb.nii.ac.jp/01137/0004338539 )