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子どものネガティブな発言が気になる…親はどう受け止めて対応すべき?

ますたにまこ
2024/04/20 07:04
子どものネガティブな発言を聞くと、つい批判してしまったり、「頑張れ」と励ましたりして気持ちを切り替えようとしがちですが、この行動が逆効果になる場合もあります。子どもがネガティブな発言をした時の気持ちや、そのようなときに親はどう対応するとよいか解説します。

お子さんは普段から「できない」や「どうせ~だから」など、ネガティブな発言をしていませんか?ネガティブな発言やマイナス思考の考えを聞いてしまうとどうしても「そんなこと言わないで」「そんなことないよ」などという言葉をかけてしまいますよね。しかし、批判する言葉では解決にならない上、困難に負けず乗り越える強い気持ちを持つ力も育たないのです。

ネガティブ発言は否定せず受け止める

子どもにはいつも明るく前向きに幸せな気持ちで成長してほしいと、親であれば誰しもが願うでしょう。しかし親の願いとは裏腹に、子どもが自分を否定したり悲しんだり、怒った感情を言葉や態度で示してくることがあります。つい無意識に否定したり励ましたりしていまい、場合によっては叱ってしまうこともあるかもしれません。それでは「困難に負けない力」や「自分で立ち直る力」を育てることはできません。

実は、子どもがネガティブな言葉を発した時こそが、困難に負けず乗り越える強い気持ちを持つ力や自己肯定感を高めるチャンス。子どものネガティブ発言や行動を否定せずきちんと受け止めること、許容することが心の成長には重要なのです。

まずは話をじっくり聞く

ネガティブな発言は言う側も聞く側も気持ちのよいものではなく、できれば避けたいものです。だからといって放っておいては何の解決にもなりません。

子どもがネガティブな発言や弱音を吐いた時は、まずは子どもの話をじっくり聞きましょう。決して無理に気持ちを切り替えさせたり、私たち親の目線で判断したりしないでください。ありのままの気持ちをしっかり受け止めて認め、子ども自身がネガティブな感情について考えられる時間を与えることが大切です。

あまり感情を表に出せない子の場合は、毎日のコミュニケーションの中で本人の気持ちを聞いてみてください。子どもの表情や行動の些細な変化にも気を配り、普段と様子が違うようであれば「何か嫌なことあった?」「元気ないけど大丈夫?」などと声をかけてあげるのです。すると、親が子どもの気持ちを理解していることが伝わり、話しやすい環境になります。

しかし自閉スペクトラム症といった発達に遅れのある子どもは、気持ちを言葉で表現したり自分の感情を適切に表現できなかったりする場合も少なくありません。目に見えない「気持ち」は理解しづらいため、特に注意が必要です。実際私の息子も軽度の自閉スペクトラム症で言葉の遅れがあったため、怒ったら手が出たり噛みついたりと、言葉よりも行動が先に出てしまうことが多く、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになるまでは親も子もとてもしんどい思いをしたのを覚えています

気持ちを言葉にして表す

子どもの話を聞いたあとに大事なことは、子どもの気持ちを言葉にして表してあげることです。本人に非があることのようでも、ネガティブな感情は否定せず「つらいね、悲しいね」と共感する意思を示しましょう。

言葉にして表現することで子どもは「私の気持ちを分かってもらえた、受け止めてくれた」と感じ、心の傷を癒やすことができるのです。また親から声をかけられることで、ストレスが軽減し嫌な出来事から距離を置くことができ、落ち着きを取り戻せます。

ネガティブな感情が出た時、言葉で表現して共感すること、その繰り返しによって親子の絆が深まり信頼され、よい親子関係が築いていけるのです。

私自身、以前息子の療育の先生にも同じようなことを言われました。手が出そう、噛みつきそうになった時にはまず子どもを抱きしめ、「嫌だったよね」「悲しかったよね」と言葉で表現し共感する。すると、子どもの体に力が入っていたのがスッと抜けていくのです。これは自分を理解してくれたことで安心し、気持ちが落ち着いた、切り替えができている証拠だそうです。これは幼い子どもにとってはとても大切で、親子の信頼関係につながり心の発達には欠かせないことだと教わりました。

これからどうするか子どもと一緒に考える

最後に、これからどうしたいのか子どもと一緒に考えることが大切です。話をしているのに「いつまでもクヨクヨしないで」と途中で話をやめさせることや、「大丈夫、頑張って」という根拠のない励ましは意味が無いため、やめましょう。

子どもは親に話を聞いてもらい、一緒に悩み考えてくれることを望んでいます。「気持ちはわかったよ。それで、あなたはこれからどうしたい?」と、やさしく声をかけるだけで十分です。また子どもが幼い場合や自分の思いを伝えることが苦手な子の場合は、「Aがいい?Bがいい?」といった選択肢を与える方法もあります。

よくあるのが、問題を解決しようと大人が先回りしてアドバイスをしてしまうパターンです。気持ちはわかりますが、親の意見を先に言うのではなく子ども自身の意見を尊重しましょう。

解決策が決まったら、あとは静かに見守り、サポートが必要であれば手助けやアドバイスをすることが理想です。

ネガティブ発言をする理由

では、子どもがネガティブ発言をする理由にはどんなことが考えられるのでしょうか?

生きるうえで当たり前のこと

私たちは日々の生活の中で「喜怒哀楽」の感情を複雑に感じながら生きています。これは人間にとって当たり前であり、ネガティブな感情を持つことも自然なものなのです。

例えば、夜道での何気ない物音に驚き恐怖を感じる時、大切なものを無くしてしまい悲しみを感じる時、自分の大切なものを奪われ怒りを感じる時などが挙げられます。

このように人間の感情は、赤ちゃんの頃の「快か不快か」の単純な感じ方から成長するにしたがい、徐々に、より複雑な感情を抱くようになるのです。

しかし私たち大人は、初めて歩いたことや初めて話したこと、初めて文字を書いたことなどの成長に目を向けがちで、目に見える変化が少ない心の成長についてはなかなか気づきません。

ネガティブな感情は蓄積させないこと

子どもの心の成長にとっては、ネガティブな感情は仕方の無いことでしょう。ただ、それを言葉で上手に表現できなかったり、受け止めてもらえなかったりするとどんどん感情を溜め込んでしまう場合もあるのです。

大人が子どものネガティブな発言を疎かにしたり、受け止めなかったりした場合、子どもは「どうせわかってもらえない」「話をしてもムダ」だと気持ちを抑えてしまうケースも少なくありません。また、評価してもらいたくて頑張りすぎたり、期待に応えられない自分が情けなくみじめに感じたりしてしまう子もいます。

特に思春期以降の子どもの場合、「人には知られたくない」「自分が弱いのが恥ずかしい」とネガティブ発言さえも表現せず、一人で抱え込んでしまう場合も。こども・思春期メンタルクリニック・白百合女子大学発達心理学科教授の木部則雄氏によると、気持ちを吐き出さなければメンタルに悪影響が出てくる可能性があり、思春期になってからの不登校やひきこもりなどにつながる場合もあるようです。

このように、子ども自身が自分で困難を乗り越えてたくましく、前向きに幸せな人生を送るためには、ネガティブな感情を溜めないことが大切です。そして私たち大人は、目に見える成長だけでなく目に見えない部分の成長もサポートをしていかなければなりません。

ネガティブな発言を繰り返す子どもに対しては、まず親子関係を見直してみてください。自分のことをもっと看てほしい、大切にしてほしいという場合が殆どかも知れません。親子のコミュニケーションを増やすことが必須です。ただし、これは程度の問題であり、これが数か月以上、頻回に語られるのであれば、医療機関とか、相談機関に伺った方が良いかもしれません。これには発達障害や、両親も気づかない環境問題などがあるからです。これは先々思春期になって、不登校、ひきこもりなどの問題となって、取り返しの付かないことになることもあるからです。

ネガティブ発言は心を育てるためには必要

私たちが生きていく中で、嫌な出来事や失敗したこと、人から言われたマイナスな言葉がより頭に残っていると感じたことはありませんか?これは、私たちが無意識に自分を守ろうとする行動なのです。例えば、恐怖を感じたら命を守る態勢になりますよね。他にも、悲しみや落ち込みを感じたら少し休みが必要だと考えます。

このようにネガティブな感情は自分を守るために存在しているため、心の成長には必要なのです。私たちは子どもがネガティブ発言をした時、気持ちを盛り上げる、気分を変えさせるといった行動をとりがちです。しかし、ネガティブな感情を大切にすること、ネガティブな感情を持ちながら行動できる力を身につけることは、強い心を育てるためには欠かせません。

また親子間で「ネガティブな感情は自然なもの」と共通認識を持つことが非常に大切です。そのためには普段から、ネガティブな感情を表現することをお互いに認め合える環境を作っておくことをおすすめします。

親も一緒にネガティブな感情を学んでいく

子どもの気持ちを受け止めることも大切ですが、親自身も自分のネガティブな感情を認め、受け止めてもらい、気持ちをリセットすることが大切です。

そんな大人を間近で見ていれば、子どもも「それでいいんだ」とネガティブな感情との付き合い方を自然と学んでいくようになります。

また大人は子どもに対して、単純でわかりやすい言葉を使いがちですが、子どもは自分の感情にピッタリ当てはまった言葉に大きく反応します。そのため、気持ちを表す言葉のバリエーションをたくさん用意しておく必要があるのです。たとえば、泣いていれば「悲しい」を使いますが、「がっかり」や「くやしい」などの感情を抱いている場合もあります。その他にも「嬉しい」や「びっくり」など、「喜怒哀楽」はさまざまな言葉で表現できるため、心のままを表現してあげましょう。

私たちはつい、ネガティブな感情が先走ってしまいがちですが、ポジティブ感情に意識を向けることも大切です。日頃の小さな喜びや幸せだと思う気持ちに気づく習慣をつけていくと、おのずとネガティブ発言の減少につながります。ちょっとした幸せを、ぜひ親子で共感してみてください。

さいごに

子どものネガティブな発言は、人間であれば自然なことであり決して悪いものではありません。ネガティブな気持ちを抑えよう、ごまかそうとするのではなく、しっかり受け止めましょう。そして、子どもの気持ちにピッタリ合った言葉で表現し共感し、解決策を一緒に考えてあげてください。

そして、日頃からネガティブな感情について親子で理解し共感し、上手に付き合っていけるといいですね。

参考サイト

    この記事の著者
    ますたにまこ(peekaboo)
    ライター
    男の子3人を持つママです。手を抜くところは抜いて、頑張りすぎないように育児と家事、仕事をこなす毎日。自分の機嫌は自分で取りながら息子たちと、わちゃわちゃ楽しく過ごしています。
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