ギターを子どもにすすめたい!発達期におすすめのワケ
就学前の子どもに対する音楽活動のねらい
そもそも、音楽は幼児にどのような影響を与えるのでしょう。
文部科学省のレポートでは、幼児期の音楽活動は「表現力」を養うためだとされています。ここでの「表現力」とは、物の美しさなどに対して豊かな感性を持ち、子どもが感じたことや思ったことを自分の言葉で伝えたり、表したりして楽しめる力のことです。
幼児期は、その後の発達に向けての基盤を作る大切な時期。楽器を演奏する以外にも幼児期に音楽を聴いたり、歌を歌ったり、音楽に合わせてダンスをしたりなどの経験は、子どもの「表現力」「創造力」の発達に結びついていきます。
ギター演奏するメリットはなに?
まずは、子どもがギターを演奏するメリットを主に3つあげて説明していきましょう。
指の動きが脳によりよい刺激を与える
楽器を演奏するときは、脳全体が働きます。それは、両手を使い、楽譜の読み取りや理解を同時に行うことでそれぞれ脳の違う分野を刺激するためです。
そもそも、ギターの演奏は、6本の弦を左手でコードごとに押さえ、右手で弦をはじいて奏でるので、両手で全く違う動きをすることがポイント。その指先の動きは、日常生活ではしないギター特有の動きです。指先への刺激が常にある状態は、指先の感覚が研ぎ澄まされます。
聴覚が高まる
4~5歳くらいの時期に人間の聴覚は大きく発達するため、その時期になるべくたくさんの音楽を聴かせたり、歌を覚えたり、楽器を演奏する経験をさせるとよいでしょう。
ギター演奏は、チューニングするところから始まるのが特徴です。チューニングとは、各弦の音が正しく出るように音を調整すること。大人がサポートしながら、毎回注意深く正しい音に耳を傾けることで、些細な音の違いにも気づく能力がついてきます。その結果、普段の会話で聞こえる「単語」の音を聞き分られるようになるため「言語能力」がアップし、「外国語の習得」にも役立ちます。
表現力・感受性が向上する
「うきうきする楽しい曲」「ちょっと寂しい気持ちになる曲」など、さまざまな曲調を耳にしていると、感情や曲のイメージを自分が出す音で表現できるようになります。ギターの場合は、演奏に使う両手以外にも、足でリズムをとったり、身体を揺らしたりなど、身体全体でリズムや感情を表すことが可能です。
表現力がある子どもは、感受性が豊かで、自己表現はもちろん、友だちの気持ちを読み取ることも得意なため、友だちや先生とコミュニケーションをとるのも上手になります。
ぜひ子どもが演奏する曲について「楽しい気持ちになる曲だね」「どんな気持ちで弾いてみたい?」など親子で話す時間を設けて、子どもの表現力を伸ばしていきましょう。
ギターの魅力は他にも…
ギターの利点は他にもあります。持ち運びがしやすいので、どこでも練習や演奏が可能です。友だちの家や庭、公園など、好きな場所で音楽を楽しめるのは魅力のひとつといえるでしょう。
ギターに興味を持たせるには?年齢別のポイント
ここからは、子どもにギターの興味を持ってもらうための方法を年齢別に説明していきます。指が器用に動き始める3歳からを対象にまとめてみました。
3歳
3歳の場合、まずはおもちゃのギターやウクレレなど、弦をはじいて音を出す楽しさから始めるのがベストでしょう。子どもの好きなキャラクターや、子どもの指でも押さえやすい柔らかい弦のおもちゃは始めやすくおすすめです。手を伸ばせば届く距離に置き、いつでも演奏できる環境を整えるのが子どもの興味を引き上げるポイントになります。
4歳
大手のギター教室では4歳からキッズレッスンを設けています。一度体験レッスンを受けてみると、実際にギターを触り、生の音を聴く経験ができるため、子どもの興味がわくきっかけになるでしょう。教室でギターを習うと、変なクセがつくことなく、専門の知識と技術を持つ先生から教えてもらえ上達も早いメリットがあります。
5歳~6歳
子どもの体格によって、小さいサイズのミニギターがあるので、お気に入りのギターを探しても良い時期でしょう。おもちゃではなく、本格的な音色を奏でられれば、子どものやる気もアップしそうですね。
また、「楽しい」「悲しい」といった感情を音楽で表現する力も備わってきて、より表現力を豊かにして演奏を楽しめるタイミングでしょう。
自宅でギターを楽しむためには?
ギターは、ピアノのようにすぐに出したい音が出ない楽器です。コードの押さえ方や、弦をはじく「ストローク」を何度も練習することで、「音が出た!」と喜びを感じられます。子どもにも分かりやすく、また飽きないように練習するにはどうしたらよいのでしょうか。
技術より楽しさ重視
まずは、コードもリズムも気にしないことです。
どんな音が出るのかな?という好奇心を優先して、子どもが好きなようにギターに触ってみることが大事。1本ずつ弦をはじいたり、なぞったり、つまんだりして、ギターに慣れていきましょう。
また、子どもの集中力は大人ほどありません。5分でも10分でも子どもが楽しくできる時間を見極めて、無理なく続けていけるよう注意が必要です。
分かりやすい色つき弦
まだ数字をよく理解できていない子どもにも分かりやすいように、色付きの弦が販売されています。ギターの6本ある弦は、一番下の弦を「1弦」、一番上の弦を「6弦」と数字で呼ぶのが通常ですが、子どもには視覚で理解できる方が始めやすいでしょう。
YouTubeをうまく活用
自宅で気軽に始めるのなら、YouTubeコンテンツで好きな先生を探すのもひとつの方法です。オンラインレッスンもありますが、子どものやりたいタイミングでできるYouTubeはギター練習の強い味方になるでしょう。特に就学前の子どもの集中力やイヤイヤな時期を考えると、自由度の高い環境は親の負担も減らせます。
親にとっても、子どもにギターを教える場合始めになにをするべきか、ギターに詳しくなくても分かりやすいギターの選び方を説明してくれる動画などあり勉強になるでしょう。
ここで、ひとつ参考になる動画をご紹介します。子どもにギターをやりたいと言われたときどうすべきか?気になる方は視聴してみてください。
体験談
それでは実際に初めてギターに触れた子どもは、どのような反応を示したのか体験談を聞いてみました。
0歳の頃からギターが近くにあった3歳女の子
母である私の趣味がギターでした。そのため、子どもが赤ちゃんの頃から、簡単な曲を演奏して聴かせたり、子どもがお昼寝時に練習したり、ギターの音色をよく耳にする環境だったと思います。リビングの壁にギターを吊り下げているので、常に目に触れる環境でもありました。
子どもが1歳半くらいになると、親の真似をしたい時期になり、よくギターを触りたがるようになったため、まずはおもちゃのギターを購入。しかし、力加減がまだ分からない子どもは1週間と持たずに破壊。ギター以外にピアノのおもちゃでもよく遊んでいますが、3歳になった現在もギターをやりたい気持ちは強いようです。
言葉の理解がついてきたので、今は大人用のアコースティックギターを前に弦の数を一緒に数えたり、「優しく触ってみよう」「強く弾いてみよう」と声をかけたりしながら、ゆっくりギターに慣れていっているところです。弦に触れて音がジャーンとなる度に、子どもは笑顔になるので、そんな姿を見て親も嬉しい気持ちになります。
3歳ながらに、アンパンマンの曲を自分で演奏してみたいという明確な目標ができたので、そろそろ娘のギターを検討中。指の痛さや集中して練習する壁を乗り越えていけるよう、親もサポート体制を整えようと思っています。また、保育園から帰宅後は多くの時間を動画視聴で過ごしていましたが、ギターに集中してくれる時間になればいいなと、密かに期待しています。
さいごに
ギター演奏は、子どもの脳の発達に活発な働きをすることが分かりました。身体の大きさや内面の発達がまだ整っていない未就学児の場合は、まずギターという楽器に慣れるところから始めればハードルも低く感じ、気軽に挑戦できます。子どもが分かりやすいように練習方法を工夫しながら、音楽をより楽しめる経験ができればよいですね。
参考サイト
- ハシモトギター教室|なぜ多くの脳科学者が習いごとに楽器演奏をすすめるのか?(https://www.hashimotoguitar.com/%E6%A5%BD%E5%99%A8-%E6%AD%8C%E3%82%92%E3%82%84%E3%82%8D%E3%81%86%E3%81%8B%E8%BF%B7%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8/%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%AE%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%81%8C%E7%BF%92%E3%81%84%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%AB%E6%A5%BD%E5%99%A8%E6%BC%94%E5%A5%8F%E3%82%92%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B/ )
- 島津楽器|【音楽】幼児期の子どもへの音楽の必要性とは? さまざまな効果とその重要性について(https://shimazu.co.jp/musicshop/shimazudayori/the-importance-of-music/ )
- EarPeace Japan|楽器を演奏すると脳が喜ぶ:音楽を聴くこと、演奏することはなぜ良いのか?(https://www.earpeace.jp/blogs/earpeace-japan-%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A8%E8%84%B3%E3%81%8C%E5%96%9C%E3%81%B6-%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%82%92%E6%BC%94%E5%A5%8F%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AE%E5%8A%B9%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 )
- Bunne Japan Official Page|楽器演奏が与える脳への影響|ブンネ・ジャパン(https://www.bunnemusic.jp/column/benefits.html )
- Beeギター教室|ギター演奏が脳の働きに及ぼすメリットを徹底解説(https://www.bee-music.jp/guitar/column/how-the-brain-works/ )
- ララボ 習い事マガジン|ギターに興味を持っている子供さんへ。ギターの簡単なはじめかた(https://lelabo.co.jp/media/music/19#%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%82%92%E7%BF%92%E3%81%84%E4%BA%8B%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E4%B8%AD%E3%81%A7%E3%80%81%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AB%E3%82%AE%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%92%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81%E3%81%99%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1 )
- 子ども音楽ニュース EYS-kids|子どものギターは3歳から始められる?練習方法や注意点も解説(https://eys-kids.com/art-college/music/media/234-2/ )
- 島村楽器の音楽教室|子様向け キッズギターコース(https://www.shimamura.co.jp/lesson/course/kids/kids-guitar/ )
- 島村楽器|ミニギター?ギター?お子様がギターをやってみたい場合どんな楽器をえらべばいいの?(https://www.shimamura.co.jp/shop/kyotokatsuragawa/product/20210206/6904 )
- 子ども音楽ニュース EYS-kids|子どものギターは5歳からがベスト!練習方法とおすすめキッズギター(https://eys-kids.com/art-college/music/media/236-2/ )
- 子ども音楽ニュース EYS-kids|【4歳のギターの練習方法と注意点】おすすめの子ども用ギターも紹介(https://eys-kids.com/art-college/music/media/235-2/ )
- Happy Jam|脳科学で解明せよ!脳&心が喜ぶ“楽器演奏”のメリット(https://www.shimamura.co.jp/happyjam/post/6944 )
- フォレストヒル|ミュージックスクールQ&A(https://www.foresthill-morioka.com/school-qa/index.html )
- ヤマハ音楽教室公式サイト|パーソナルレッスン 幼児科(https://www.yamaha-ongaku.com/music-school/music_school/course_4-5/hennyu/ )
- ライトギターミュージックスクール|楽器練習(ダンス)で脳が発達。いい効果と変化【音楽の脳への影響】(https://lightmusicschool.jp/brain/ )
- 文部科学省|幼小接続期における音楽表現活動の検討(https://core.ac.uk/download/pdf/143641524.pdf )
- 文部科学省|幼児による音楽演奏を通じた感情的意図の伝達(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmpc/12/1/12_1/_pdf/-char/ja )