必ず知っておきたい、2022年海外の最新教育トレンド10選!
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oriori編集部
2023/09/05 04:09
流行やファッションなど日本で流行っている多くのトレンドは、その多くが海外から来ていることは間違いありません。そして教育の分野でも同じような流れがあります。昨今ではAIに代表されるような技術革新も多く、教育の形態も大きく様変わりしています。そんな海外の教育トレンドをキーワードを使ってご紹介していきます。
①STEM教育
STEMとは、2000年代にアメリカで始まった教育モデルで、
S:Science(科学)
T:Technology(技術)
E:Engineering(工学)
M:Mathematics(数学)
4つのテーマの頭文字を並べた言葉です。
IT社会とグローバル社会に適応するような国際的にも競争力の高い人材を育てるための教育システムです。その根底の思想には「自ら学び、自ら深めていく」というものがあり、知の拡張と知の深化を自主的に行っていくことを育みます。
また、これは高校生のときから始めても遅いと言われており、幼稚園や小学校の段階で自然科学や社会科学への興味を植え付けないと、習得が難しいと言われております。現在はあのNASAも、21世紀における宇宙開発のリーダーシップ人材開発を目指して、STEM教育を発展させるためのプログラムやカリキュラムを実施しています。
②STEAM教育
前述のSTEM教育に”アート”の頭文字の”A”を加えた言葉です。
技術や工学、数学などを用いて、創造的且つ想像的なアプローチで、課題設定し解決策を考えるという基本的な指導方針はSTEM教育と変わりませんが、Art(芸術)が追加されていることから、アプローチに「デザイン思考」や「デザインの原則」などを用いる手法も併せます。
「機械に代替される仕事や能力の話」が昨今のニュースでよく取り上げられますが、Artこそ機械に代替されない領域ではないでしょうか?
③MOOC(ムーク)
MOOC(ムーク)とは、Massive Open Online Courseの略で日本語訳すると大規模公開オンライン講義です。つまりインターネットを繋げば家の中で世界の名門大学の講義を受けられるいつでもどこでも受けられるというもので、その殆どが無償です。そしてそれが単に学習するのに留まらず、学校によっては、テストに合格すれば単位を取得したことを証明する修了証が発行される場合もあります。
有名なところでいうと、スタンフォード大学、プリンストン大学などの講義を配信する「Coursera」、MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学が参加している「edX」が挙げられます。また、グーグルなどが参加している「Udacity」では、IT業界に関連した講義を提供するオンライン大学としてユーザーから支持を得ており、教育の民主化が世界では進んでいると言えます。
④grit(グリット)
日本語に訳すと、「根性」「勇気」とされており、世の中ではやり抜く力と言われています。それは才能・努力に続く第3の成功因子とも言われており、現在非常に注目されています。昭和の体育会的な「根性論」ではなく、いかにしてその能力を育むのか?という点では科学的なアプローチを用いています。 また、測定方法も非常に簡易で、グリット・スケールという10個の質問に答えるだけで、自身の持ちグリッドをスコアリングすることができます。 グリットを育むのに重要なことは「成長意欲と自己肯定感を育むこと」「興味を育むこと」「継続した努力を続けること」「社会との接点を意識させること」などがあります。
⑤アクティブ・ラーニング
アクティブラーニングとは、授業を受ける生徒が、先生から一方的に聞くといったような”受動的”な形式で受ける授業ではなく、生徒自らが能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法のことです。具体的には討議形式の授業だったり、プレゼンテーション形式の授業、グループワーク形式の授業を指します。やはり、従来のような受動的な形式のみでは、「主体性」や「問題発見解決型スキル」などは身につきにくいでしょう。ただし、生徒側のモチベーションや取り組み姿勢によって授業の効用がアップダウンしてしまうことや、先生は従来型の「教える型の授業」ではなく、ファシリテーションを行わなければならない中で、「アクティブ・ラーニングをできる教師」が十分にいるわけではないことも課題です。
⑥アダプティブラーニング
アダプティブ=適応、ラーニング=学習、つまり適応学習のことで、生徒者一人ひとりの学習の進み具合や理解の程度によって、そのときに行う学習内容や学習レベルを都度都度調整することで、より生徒個々人の理解が深まるような仕組むを用意する授業形式です。よく活用されるのはタブレット型の端末やPC端末で、生徒それぞれが別々の難易度の問題を解き、質問がある場合に先生にアプローチするという形式もあります。また、システムを使うため、生徒それぞれの習熟具合や結果をログに残すことができ、それをさらに次回の授業内容に活用することができます。
⑦マスタリーラーニング
マスタリーラーニングとは、1960年代後半にモデル化された教育方法で、生徒全員がその時行う学習の内容を完全に習得するための学習理論です。「生徒の出来不出来の差は、生徒個人の資質によるものではなく、学習に必要な時間をかけなかったことによる」という考えに基づいて、B・S・ブルームが提唱しました。
具体的なやり方としては、通常の授業と同じように学習過程でテストを行います。そして、当初設定した目標に対してどの程度達成しているかを確認します。ここまでは一緒ですが、ここからが違います!達成していない生徒に対しては、補完教材を提供したり、個別指導を行ったり、更に時間をかけて勉強するように指導をしたりします。それを繰り返す事によって、学習の完全なる習得を目指していきます。ちょっと厳しいですかね?(笑)
⑧ニューロサイエンス
主にはビジネスの世界で話題になっているニューロサイエンスですが、教育の領域でも非常に注目されています。そもそもニューロサイエンスとは、まだまだ未知のことが多い脳の機能を科学的に解明していき、学習の仕方をそれらに合わせて最適化することによって、才能の発掘及び開花、学習パフォーマンスの向上、トレーニングの最適化などを行っていく研修テーマです。現在はまだまだ一般化されておらず、我々の子どもたちの教育に明日から活かすことはできませんが、昨今注目されており、実用化も近いと言われています!
⑨イエナプラン教育
イエナプラン教育とは、ドイツ発の教育手法で、イエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターゼン(Peter Petersen)が 1924年に同大学の実験校で創始した学校教育です。
その特徴としては、「①学級は異年齢の子どもたちによって構成されること」「②学校での活動は、会話・遊び・仕事(学習)・催しという4つの基本活動を循環的に行うこと」「③教室をリビングルームとして捉える」ということがあります。最近ではオランダで普及しており、日本でも非常に注目され始めています。先生たちの役割は、一方的な授業や知識の伝達ではなく、生徒たちが、主体的に学びたいという意欲を持つようになるための環境づくり、ということが非常に重要視されています。また、学習教材についても、絵や写真などといったデジタル化された情報のみならず、できるだけ、本物の自然や事物に触れる機会を用意してくれます。そのために、学校の校舎の作り方や、校庭のデザインの仕方、学校菜園や動物飼育の場、校外での探索の機会、などが積極的に取り入れられるようです。
教育業界においても、ITの世界同様日々新しいものが生まれています。もし興味深いテーマがありましたら調べてみてはいかがでしょうか?!
⑩サードプレイス教育コミュニティ
新型コロナウィルスの影響で気軽に外出がしにくくなってしまい、それに伴い子どもたちにとってのコミュニティも、以前よりは作られにくくなりました。そこで改めて注目を浴びたのが「サードプレイス教育コミュニティ」です。
「サードプレイス教育コミュニティ」とは、自宅と学校以外の「居場所」での教育コミュニティのことで、子どもたちはいつもとは違う人間関係のなかで心地よく過ごすことができます。
子どもが自発的に問いを立て、試行錯誤することができる「プレーパーク」もサードプレイス教育コミュニティですし、あるテーマに対して興味関心を持った子どもたちが集まる「オンラインコミュニティ」もサードプレイス教育コミュニティとして機能しています。特にオンラインコミュニティについては、学校内でオンライン授業が実施されてからは、様々な種類のコミュニティが形成され、参加者も増えてきています。
成績や評価・競争から解き放たれ、誰とも比べられるようなこともなく、自分の好奇心に従い、試行錯誤しながら自分のなかに生まれる好奇心の種を形にできるような場所があることで、子どもたちにとって「VUCA時代を生き抜くためのスキル」が身につくのではないかと期待されることもあります。