ICT教育ってどんな教育?実際にはどんなことをする?紙での学習との違いについても解説
ICT教育とはどんな学習方法?
デジタル化する社会に合わせて、教育現場での導入が急速に進んでいる「ICT教育」。最近よく耳にしますが、いったいどのようなことをしているのかご存知ですか?
ICT教育とは、紙媒体などを使いアナログで行っていた教育とは違い、タブレット端末などを活用しデジタル媒体で行う教育のこと。単に、SNSやメールを積極的に活用するわけではなく、ITスキルや情報処理能力を高めることを考えられた教育です。
では、なぜICT教育が進められているのでしょうか?関連性の高い「GIGAスクール構想」と一緒に解説していきます。
なぜICT教育が必要?
近年、世界に比べて日本の教育現場ではデジタル端末を扱う機会が少ないということが明らかになりました。そうした状況を変えるために、「GIGAスクール構想」という文部科学省が推進する取り組みがスタートしました。
「GIGAスクール構想」とは、教育現場で児童が一人一台PCやタブレット端末などを用いて学習できるようにする取り組みです。プログラミング学習の必修化とともに、子どもの将来に向けて、ITスキルの基礎を学ぶことを目的としています。
難しく感じてしまうICT教育ですが、導入することにより子どもにとって学習するうえで授業がわかりやすくなったり、効率的に学習できたりなどメリットが多くあります。また、教員にとっては業務を効率化し、負担を軽減するなどのメリットがあるようです。
ICT教育 5つのメリット
国全体で進めているICT教育ですが、実際に導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか?5つのメリットを具体的にご紹介していきます。
授業がわかりやすくなる
動画・音声・写真など、さまざまなメディアを使用して学ぶことができるので、今までの黒板や教科書だけの学習とは違い、よりわかりやすく学習内容を理解することが可能になります。
たとえば、理科の授業で実験の様子を実際に動画で見ることができたり、英語の授業では発音を何度も繰り返し聞いたりできます。
そのため、小学生の子どもたちにとってより学習内容を深めることが可能になるでしょう。また、ものごとへの探求心も育ち学習への意欲が湧くことも期待できます。
効率的に学習ができる
黒板に書いてあることをノートに写したり、教員が話すことをノートにメモしたりするうちに授業が終わってしまうこともあるでしょう。全員がノートに書き写すのを待っていたらかなりの時間がかかりますね。ICT教育を導入した場合、学習内容のデータなどを事前に児童へ一斉送信できるため、ノートに書き写す手間がなくなるのでより理解力や思考力を深める時間に費やすことができます。
教員の業務の効率化/負担の軽減
近年、教員の多忙化が問題視されていますが、ICT教育は教員にとってもメリットがあります。
たとえば、児童が解いた問題の丸付け作業や配布プリントの用意など手間だった業務が効率化されます。また、児童それぞれの苦手分野や、間違えたところをデータ把握することが可能になるため、個人のニーズに合わせたポイントでより丁寧に指導することができます。
個人学習/グループ学習が可能
紙媒体を使用しないことで、全員同じプリントで配布していた宿題などが個人の苦手分野・レベルに合わせて宿題を出せるようになります。
それぞれの児童が学びたいことを重点的に学べるようになるので、学習意欲の向上が期待できます。
また、ICT教育を活用することでグループ学習も容易に。タブレット端末を用いることで、視覚的に考えを共有できるからです。また、近くにいなくても個人の意見を簡単に共有し、整理もできるので思考を深めることができるでしょう。
情報リテラシーを養える
急速に社会のデジタル化が進む中で、これから生きていく子どもたちは情報活用能力を育む必要があります。
授業でタブレット端末を扱うことによって、子どもたちはデジタルデバイスに慣れ親しむことができます。社会に出ればデジタル端末を扱う仕事も多く、日常生活でも身近なことがほとんどです。ICT教育を取り入れることで、情報社会に対しての苦手意識を子どもの頃から払拭することが可能になるでしょう。
ICT教育 3つのデメリット
ICT教育にはたくさんのメリットがありましたが、反対にデメリットとなりうる場合もあるようです。デメリットを3つ解説します。
インターネットによるトラブル
インターネットの普及により、違法サイトにアクセスしてしまったり、タブレット端末などを長時間使用することによって生活リズムが乱れてしまったりなどのトラブルが発生することがあります。そのため、ICT教育の導入と合わせて、情報モラルの教育を強化することも大切と言えるでしょう。
子どもたちがインターネットを扱うにあたり、まずは保護者・教員が情報モラルについてしっかり認知することが必要です。
思考能力の低下
学習に意欲的ではない子どもの場合、自分で考える力が低下してしまいます。自分で考えなくても、わからないことがあるとすぐにインターネットで調べることができるからです。
たとえば、英文を翻訳する宿題が出たとしましょう。そこでインターネットの翻訳機能を使えば、自分で考えなくてもすぐに可能になってしまいます。また、授業でタブレット端末を用いることで、授業中にゲームなどで遊んでしまう可能性も。
そのためICT教育の学習の仕方と合わせて、子どもたちに適切な指導していくことが大切です。
家庭環境によって学習の差ができてしまう
簡単に持ち運べるタブレット端末ですが、家庭にインターネットの環境が整っていないと学習することができません。また、保護者がデジタル技術についていけない場合、子どもが課題に取り組むためのアドバイスができず、宿題に取り掛かることができない可能性もあります。ICT教育を導入するにあたって家庭との連携もしっかりと行うことが必要です。
コストがかかる
タブレット端末が故障した際、修理のコストがかかるのもデメリットの一つです。特に、小学生であれば、気をつけていてもうっかり落としてしまったり、扱いが雑になってしまったりすることもあるでしょう。しかし、タブレット端末は素人が簡単に直せないことがほとんど。また、修理する際に多額のコストがかかってしまう場合があります。その場合、修理代の負担に悩むことが予想されます。
ICT教育と紙学習との違いはなに?
ICT教育にはたくさんのメリットがありましたが、馴染みのある紙学習にはメリットはなかったのでしょうか?また、ICT教育と紙学習との違いはいったいなにでしょうか?
紙学習のメリット・デメリットを合わせてご紹介します。
紙学習のメリット
紙学習では、問題を解く過程が残るため自分がどこで間違えたのか、ひと目で気づくことができます。たとえば、算数ならどのように計算をしたのか紙に残っているので、どこで間違えたのか、なぜ間違えたのか、自分が苦手なことを把握できるでしょう。また、漢字の書き順などは、実際に書いてみないと身につかない場合もあります。
紙学習のデメリット
紙学習では、学習に向き合うために、鉛筆・ノート・教科書など、いくつか準備する必要があります。そのため、学習のやる気が起きたとしても、行動にうつすまでに時間がかかってしまいます。
ICT教育と紙学習を上手く活用しよう
ICT教育にも、紙学習にも、メリット・デメリットがあることが明らかになりました。どちらか一方だけを学習方法と決めつけてしまうのではなくて、学ぶ内容に合わせて選択していくことが大切です。
たとえば予習や復習などは紙学習でおこない、学びのきっかけ作りではICT教育を活用するなどの臨機応変な使い分けです。このように、2つの学習方法を上手く活用していくことで、子どもの学習意欲を高め、自ら学ぶ力を育むことにもつながるでしょう。
さいごに
急速に変化する社会のデジタル化に合わせて、子どもの学習方法も変えていく必要がある現代。ICT教育には児童にとっても、教員にとってもメリットが多く見つかりましたが、反対にデメリットもありました。ICT教育と紙学習、両者のメリット・デメリットを大人がしっかりと理解をし、子どもたちに提供することがポイントです。また、子どもによってそれぞれの学習法に向き、不向きもあるでしょう。それぞれの子どもたちに合った学習方法で学習意欲を高めていきましょう。
参考サイト
デジタル・ナレッジ|ICT教育とは(https://www.digital-knowledge.co.jp/about/esi/icte/)
全家研月間ホピー|紙学習とデジタル学習、メリット・デメリットは?|(https://www.popy.jp/topics/01.html)
プロクラ|小学生のタブレット学習の長所・短所は?子ども用タブレットを選ぶコツ|(https://www.programming-cloud.com/column/children/2023-10-23/ )