深刻な子どもの視力低下。子どもの近視の原因は?
深刻な子どもの視力低下
文部科学省の「2019年度学校保健統計調査」によると、小学生の裸眼視力1.0未満の割合は、2017年度の32.46%から34.57%に、中学生が56.33%から57.47%と、悪化の一途をたどっています。
40年前と比べると、約2倍にもなっていることは深刻な問題です!
文部科学省は、調査結果を「近い距離でスマートフォンの画面を見たり、読書をしたりすることが一定の影響を与えている可能性がある」と分析し、2020年度に数千人規模の実態調査を初めて行い、対応策を検討するとしています。
子どもは大人より視力低下の進行がはやい
乳幼児の目は軽度の遠視で、眼球が成長するにしたがって正視となり、学童期以降に近視が進行するのが一般的です。
子どもの近視は、その進行が大人より早く、早い場合は6歳未満から近視になることもあります。
一体、何が視力低下の原因なのでしょうか?
近視の原因は遺伝?環境?
近視の原因には遺伝説と環境説があります。アジア人には近視が多く、片親が近視の場合は、両親とも近視でない子どもと比べて2倍、また、両親が近視の場合には約5倍の確率で子どもも近視になりやすいと言われ、近年では近視に関連する遺伝子の解析も行われています。
最近の台湾での研究でも、親に強度近視があると子どもが早いうちから強い近視を生じることが報告されています。
環境要因としては、近くを長時間見ることや屋外活動が少ないことがあげられます。
日本だけでなくアジアの国々や米国でも小・中学生の近視が増えており、スマートフォン、ゲーム機などの普及が関係しているのではないかと言われていますが、はっきりした関係は今後の研究によるエビデンスが必要です。
最近の研究では、この2つのうちどちらかだけが原因というわけではなく、どちらも近視の原因として関係していることがわかってきました。
視力低下をおさえるには?
最新の研究成果をふまえ、「外で遊ぶことが近視予防として効果的とされている」と、筑波大学眼科、大鹿哲郎教授は指摘しています。
例えば、一つのグループに1日40分間、屋外で遊ぶ時間を追加すると、そのグループでは近視の進行が遅かったという研究結果が報告されました。
(2015年、中国の研究)また2016年のイギリスの疫学研究では、太陽光(特に紫外線B波)に長い期間当たった人たちのグループが、近視になりづらかったという報告も出ています。
さいごに
いかがでしたか?昨今、全世界的に近視の子どもが増えています。
特に台湾・中国・日本・シンガポールでは非常な勢いです。
子どもの近視の原因には、もちろん遺伝の影響もありますが、環境によっては近視が進んだり、逆に進行がおさえられたりすることがあるということが最近の研究から明らかになっています。
予防として、屋外で太陽光を浴びるほど、近視は進行しにくいと言われるので、大いに戸外で活動しましょう。
その他、きちんと椅子に座って、正しい姿勢で読む、暗いところで読まない、あまり近くで本を読まないなどに気をつけましょう。