お家で食育してみよう!親子で楽しめる歌やゲームを紹介
食育の重要性
子どもたちが、さまざまな体験を経て「食」に対する知識や関心をもち、健全な食生活を送れるようにする教育を食育といいます。近年、偏った食事による肥満や生活習慣病などの健康面に関する問題や、食料の生産や輸入に関する課題などが増加しており、「食」をより身近な存在として考える必要性があります。
学校などでも食育は行われていますが、身近な学び場として家庭でも食育に取り組むことで、子どもも「食」への関心をもちやすいでしょう。大人になるまでに大きく変化する可能性のある「食」の環境を、楽しく生き生きと暮らすためには、子どものころから正しい知識を学び、自分で食事を選ぶ力や、健康な体と心を育むことが重要です。
いつでもどこでも遊べる手遊びや歌
体を使ってさまざまな表現を楽しむ手遊び歌は、道具がなくても楽しめるのがポイントです。特別な準備をしなくても子どもの興味を引くことができるため、家庭での食育にもピッタリです。手遊びのほかに、振りつけができなくても、歌うだけでお腹が空くような歌もいくつかピックアップしました。
サンドイッチも入れられる?“おべんとうのうた”
『これくらいの、おべんとう箱に~』という歌詞から始まる歌は、誰もが1度は耳にしたことがあるような手遊び歌です。
さまざまなサイズのおべんとう箱に、おにぎりやニンジンなどを詰めていきます。指で形や数字を作りながら、おべんとうのおかずを表現するユニークな手遊びで、実際の食材がたくさん出てくるため子どもにも親しみやすいのがポイントです。子どものおべんとう箱くらいのサイズにすると、本物のおべんとう作りなどにも興味を持ちやすいでしょう。
しかし、きざみ生姜やフキなど子どもには分かりにくく、大人も説明しにくい歌詞があります。もう少し分かりやすい食材を表現したいと思えば、歌詞をアレンジして少し違う食材にするのも良いでしょう。また、子どもにも身近な食材を使った、サンドイッチバージョンなどもあるので参考にしてみてください。
お店の商品が分かるようになってきたら!“やおやのおみせ”
子どもが野菜は八百屋さんで売っているなど、食材を手に入れるには何屋さんへ行くかということが分かるようになってきたら、売っている正しい商品を当てる手遊びがおすすめです。
お店に買い物に行って何が置いてあるか見てみようというスタイルの手遊びで、リズムに合わせて、店頭に置いてある食材を大人が順番に言っていきます。
子どもは、正解の食材ならあるある!と手を叩き、間違っているときはブーと言いながら手をバツにします。八百屋さんの野菜以外にも、果物屋さんやパン屋さんなどバリエーションを作りやすいので、食材の種類をたくさん覚えられる楽しい手遊びです。遊びに慣れてきたら、子どもがクイズを進める側になるのも良さそうですね。
リズミカルな“やさいのうた”
低年齢の幼児でも楽しめる歌は、家庭での食育にピッタリです。幼いときは食が細かったり、好き嫌いが多かったりと、なかなか食生活が整わないこともあるでしょう。言葉が未発達な時期は大人との会話も難しく、ご飯を食べてもらいたくても嫌がって進まないと悩むこともあります。
やさいのうたは『キャベツはキャッキャッキャ~』など、子どもも口ずさみやすい歌詞とテンポの良いリズムで、たくさんの野菜が登場します。メロディーがシンプルで、アレンジしやすいのが魅力です。
料理に使われる野菜を歌に合わせて楽しく学べば、子どもの嫌いな野菜や食事にも食べる意欲がわくかもしれません。
作って食べるまでの流れを楽しめる“カレーライスのうた”
料理を完成させるには、材料を揃えて調理する必要があります。料理が完成するまでの工程は、キッチンの作業を目にすることのない子どもには未知の世界です。食べ物の絵本などを持っていれば知ることができるかもしれませんが、歌ならもっと簡単に教えてあげることができます。
カレーライスのうたは、まずニンジンや玉ねぎなどのカレーライスに使用する材料がでてきます。歌が進むと鍋で具材を炒めたり、味を調節したりといった場面があり、子どもでも大人のような仕草でカレーライスを作る疑似体験ができるのが魅力です。
歌いながら作ったカレーライスを食べたら力がわいてきたというラストで、食育の見本になるような楽しい歌です。
旬の食材を題材にした季節の歌
日本には四季があり、季節ごとにおいしさの増す食材が存在します。旬の食材は、安く購入できたり、栄養価が高かったりとメリットが多く、大人になって旬を覚えていると食材の選択肢が増え、食事の幅が広がります。そのため、子どものうちから楽しめる歌で旬の食材を学ぶのもおすすめです。
夏にはすいかがテーマの『すいかの名産地』を歌ってすいかの産地はどこなのか調べてみたり、
秋にはジャンケンと焼き芋を組み合わせた『やきいもグーチーパー』で遊んで、焼き芋はさつまいもで作られていることを教えたりと、歌と旬の食材をからめて知識を増やすこともできます。
スーパーのチラシなどを使ってゲーム
家庭で食に対する知識を学ぶなら、クイズやゲームも良いでしょう。食育の方法として『食育かるた』などを作成している団体や自治体もあります。郷土色や食文化などを題材にして作られており、子どもにも理解しやすいような工夫がされています。
食育かるたなどを活用するのも良いですが、家庭にあるものを使うのもおすすめです。買い置きの食材や食事を作る過程を見せて、これから何ができるか?というクイズで「食」に対する興味を持たせることもできます。
危険なものが多いキッチンは子どもには近寄りがたいスペースであるため、毎日の食事がどのようにして作られているかを子どもが知るチャンスはなかなかありません。食育の一環として大人が意識的に、調理作業などを見せてあげると子どもも親しみやすいでしょう。
子どもと一緒にスーパーなどに買い物へ行き、食材を探しながら何が作れるか考えるのも、単純ですが「食」に関心をもつきっかけになります。スーパーでは1年中手に入る食材も多いですが、旬の食材などがピックアップしてある場合もあるため、食材の知識を得るには良い環境です。
また、スーパーのチラシなどがあれば、食材の部分をひとつずつ切り取り、組み合わせたらどんな料理が作れるか考えるといったゲームができます。明確な答えがなくても大人の分かる範囲で答えることができ、実際に食材を見ることができなくても楽しめる遊びです。
親子でできる料理の下ごしらえや食事の準備
1歳を過ぎるとスプーンなどを持つことができるようになる子どもが多く、だんだんと自分でやりたいという気持ちが増えていくため、料理の下ごしらえなどを手伝ってもらうのも食育におすすめです。
親子でじゃがいもをつぶして混ぜ、ポテトサラダを作ったり、あらかじめ計量した調味料を混ぜてドレッシングを作ったりすると、がんばって作ったから大切に食べようという気持ちや、自分でも食事が作れるという自信に繋がります。絵本を参考にして、ホットケーキなどを作って親子でおやつタイムを楽しむのも良いですよ。絵本の中のできごとが実際に起こるのは、子どもにとっては大変興味深い体験になります。
子どもだけで料理をするのは難しいかもしれませんが、大人と一緒にやれば危険な行為も防ぐことができます。また、料理を手伝うのが難しければ、箸やコップなどを並べて食事の準備をしたり、食べ終わった食器をキッチンまで運んだりするのも食育の一環です。
食事が出てくるのを待つだけではなく、準備や片付けに関わることで、食事のマナーや食事を作る人への感謝を学ぶ徳育などに繋がります。食べ物にまつわる歌で遊びながら、親子で食事の準備をする習慣をつけるのも良いですよ。
さいごに
子どもが遊びに夢中で食事を始めようとしなかったり、嫌いな食べ物が多くて食事が進まなかったりするなら、まず食事は楽しいという雰囲気をつくりましょう。クイズや歌は、楽しんだ後の食事を、実際に登場したメニューにしてみるなど、日々の生活とも結びつけやすいのがポイントで、家庭での食育もスムーズに行うことができます。子どもの偏食などが気になり、もっと食育に力を入れたいと思っている人は参考にしてみてくださいね。