ポジティブ・ディシプリン(ポジティブな子育て)とは?
日常の子育てにおけるポジティブ・ディシプリンって?
2009年、カナダのマニトバ大学、家族社会学科の児童臨床心理学者、デュラント・ジョーン・Eが、「Positive Discipline in Everyday Parenting」という著書で提唱したのがポジティブ・ディシプリン(前向きな子育て)です。
それを基に、Save the Childrenが「たたかない、怒鳴らない、ポジティブな子育て」の指針を示し、日本でも公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2009年から「ポジティブ・ディシプリン」を普及してきました。
2019年4月以降は、ポジティブ・ディシプリンのファシリテーター養成やプログラムを「きづく kids-ku /ポジティブ・ディシプリン日本事務局」が実施しています。
以下、Save the Childrenの資料から引用してみます。
ポジティブ・ディシプリンプログラムでは、手をあげたり、怒鳴ったりではなく、でも、したい放題にさせるわけでもなく、 日々の課題に子どもと同じ目線で向き合い 自信とちからを伸ばしていく子育ての考え方を提案しています。
子どもをたたいたり、怒鳴ったりしたら、どうなるのでしょう?疲れたりイライラしたとき、または子どもに教えるために必要と信じているときに、私たち大人は子どもをたたいたり、子どもを傷つけるような言い方をしてしまうことがあります。
このような接し方は、子どもが、
■身体的に傷つきます
■自信をなくします
■びくびくして落ち込みます
■攻撃的になります
■怒りや敵意を覚え、私たちとの関係を悪くします
子どもの体やこころを傷つけるような罰は、私たちが子どもに学んでほしいことを伝えません。
「ポジティブ・ディシプリンのすすめ」では、私たち親の一人ひとりができることとして、以下をあげています。
- 子育ての最終的、長期的な目標(人を尊重し、暴力を使わない大人になってほしい等)を心に留める
- 子どもの心理的・身体的な安心・安全を保障する (子どもに温かく接する)
- 子どもを尊重し、明確な伝え方をする (親が手本を示す)
- 子どもの視点を理解する
- 落ち着いた対応で課題を解決する
「ポジティブ心理学」とは?
ここ数年、ポジティブ心理学を応用した子育て論が各国で注目されています。
ポジティブ心理学は、幸せになる方法を科学的に検証する学問で、企業や教育機関、家庭での子育てに応用する研究がなされました。
ポジティブ心理学の研究では、「成功の先に幸せがあるわけではない」というエビデンスが報告されています。
親が幸せのメカニズムを理解し、学歴や成功は幸せの条件ではないことを知っていれば、子育ては今よりずっと楽になるのではないでしょうか。
ポジティブ心理学によって「子どものストレスが軽減された」「成績が上がった」「親子関係が改善された」「親自身が幸せになった」などの効果が発表され、世界中の専門家から注目されています。
2019年3月には、その子育て論を日本の親向けに紹介する「世界に通用する子どもの育て方」が出版され、大きな反響を呼んでいます。著者はウェルビーイング心理教育アカデミー 、
ニューヨークライフバランス研究所 代表の松村亜里氏です。
興味がある方は、是非手に取って読んでみてはいかがでしょうか。
著者の松村亜里氏は、母子家庭で育ち中卒で大検をとり、ニューヨーク市立大学に入学し、その後、コロンビア大学大学院修士課程で臨床心理学を学び、秋田大学で公衆衛生学を学んだ医学博士・臨床心理士・認定ポジティブ心理学プラクティショナーです。
幸せを自分でつくり出す人を増やすために、エビデンスに基づいた理論とスキルを紹介し、実践に落とし込む講座を展開しています。
現在、世界中の親に向けて「世界に通用する子供の育て方オンライン講座」「グローバル ペアレンティングサークル」を開催中です。
子育て中のパパ、ママ「自分の時間」持てていますか?
大らかで、ぶれない子育てをするには、親に心の余裕が必要です。そのためには、自分の内面を高め、省みる「時間」がなくてはなりません。
とはいえ、子育て中は、なかなか自分の時間がもてないですよね。
NHKの調査によると、80%以上の人が「自分の時間を十分に持てていない」と回答し、
35.5%は自分の時間が60分以下、30分未満と回答した人が8.9%でした。
一方で、自分の時間があると答えた人も、深夜や早朝など、子どもが寝ている時間を自分の時間にあてていると答えた人がほとんどでした。
自分の時間を楽しむ方法
読書をしたり、アロマや入浴を楽しんだり、テレビや映画を見たり、おしゃべりをしたり、音楽を聴いたり、散歩をしたり、、、一人の時間の楽しみ方はいろいろですよね。
ここで、一風変わった一人時間の過ごし方をご紹介しましょう。それは「音探し」です。
テレビなど音を消して、目を閉じて、耳を澄ませてみてください。どんな音が聞こえますか?「ストーブの音?」「猫の鈴の音?」「??」きっと毎回違った音が聞こえることでしょう。
おすすめは早朝です。少しだけ早起きしてみましょう。家族が起きてくる前の時間は一人時間を確保するのに最適な時間です。早起きがどうしても無理なら、家族が寝静まった夜でも構いません。自分が一番リラックスできる時間を確保しましょう。
さいごに
いかがでしたか?
ポジティブな子育てのヒントが見つかりましたか?
私たちはプラス思考で発想すると、「良い傾向は続き、悪い傾向は続かない」と考えます。同じ状況でも、マイナス思考で発想すると、「悪い傾向は続き、良い傾向は続かない」と考えてしまいます。
読者の皆さんの思考傾向はどちらでしょうか?コロナ禍の今、必要とされるのはプラス思考ですね。プラス思考をして免疫力を高めましょう。
そして、子どもはママやパパの様々な声に耳を傾けていることを忘れずに日々を過ごしましょう。
子ども達は驚くほど敏感にママやパパがポロッともらす独り言や、周りの人と話している内容をじっと聞き入っています。
ウイズコロナの時期はだれにとっても辛いのですが、ママやパパが意識してプラス思考で前向きに生活することで、子どもたちもその姿勢を吸収していきます。
普段の何気ない会話にこそ、子どもの心を育てるカギがあると、つくづく感じます。
記事でご紹介した「音探し」、是非実行してみてくださいね。音探しをしていると、心が空っぽになって、前向きになれるから不思議です。
子どもの幸せを願わない親はいません。でも、「何が幸せなのか」「どう育てれば、子どもが幸せになるのか」という問いに、自信をもって答えられる親は少ないと思います。
そのため、子育て情報に流され、溺れてしまいがちになります。記事で紹介した松村亜里氏の著書はエビデンスに基づく良書です。
皆さんの参考になれば幸いです。
参考
国立成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/news/2020/leaflet12.pdf
www.kids-ku.org
https://www.savechildren.or.jp/lp/kosodate/
https://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/positive_discipline.pdf