小一プロブレムを未然に防ぐための親の接し方とは?
小一プロブレムとは?
小学校に入学したばかりの子どもが学校生活に馴染めない状態が数か月間続くことを小1プロブレムと呼びます。
より詳しく知りたい方はこちらの記事を見てみてください。
小一プロブレムが起こる原因
小一プロブレムが起きる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 保育機関と小学校での過ごし方の違い
- 自分で行動する力が求められる
- 集団行動をしなければいけない
順番に解説をしていきたいと思います。
保育機関と小学校での過ごし方の違い
小学校に入学すると、幼稚園や保育園とは大きく違う過ごし方をしなくてはなりません。小学校では1日の予定が詰まっており、スピーディーに行動することが求められます。
幼稚園や保育園などでは自由遊びの時間も多くあるため、子どもは精神的に余裕があります。しかし、小学校の授業では45分間椅子に座ってじっとしていなければいけません。慣れるまでは子どもにとってかなり厳しいと言えるでしょう。
また、小学校に入学すると主な活動が「勉強」へと変化します。今までと違って、かなり頭を使うので疲れると思います。勉強をする中で、わからない問題などにぶつかれば子どもにとって大きなストレスになりますよね。
こういった過ごし方の違いが、小一プロブレムにつながっていく原因となります。
自分で行動する力が求められる
保育・幼稚園では、次に何をすべきかを先生が常に指示してくれることが多いです。何かをしてうまくできなかったとしても、先生が優しくフォローしてくれることでしょう。
しかし、小学校に入学すると常に自分で考えながら行動していくことが求められます。何をすれば良いか、先生がいつも指示してくれるわけではありません。分からないことがあれば、自分から周りの友達に聞いたり、友達の様子を見たりして判断していく必要があります。
また、小学校に入学すれば叱られることもあると思います。スピーディーに行動できなければ、強く怒られることもあるでしょう。こういった経験がトラウマとなり、「自分は学校になじめないんだ!」と感じてしまう子どももいます。
集団行動をしなければならない
小学校に入学すると、集団で行動する機会が多くなります。授業では班ごとの活動やクラス全員で一緒に動く場面が増えます。
授業以外にも「給食当番」「掃除当番」など仲間と分担して活動しなければいけないことが出てきます。こういった、集団行動になじめず、小一プロブレムを抱えてしまう児童がいるのも事実です。
近年、集団行動を苦手とする子どもは増えてきています。
ゲーム機の普及などによって「友達と一緒に遊ぶ」機会が少なくなっていることも理由の一つです。核家族化が進み祖父母との関わりが減っているのが原因とも言われています。
集団行動に馴染めるように、工夫をしていかなければいけないですね。
小一プロブレムを防ぐための接し方
では、どうすれば小一プロブレムを防ぐことができるのでしょうか。
大切なのは、「小学校での生活をあらかじめ家庭で体験しておくこと」です。
小学校入学前の親の工夫しだいで解決できるケースもあります。
小学校での生活をあらかじめ家庭で体験させておくとは?
先ほども述べた通り、「小学校に入学して急激に環境が変化すると、小一プログラムは起きやすい」ということが言えるので、環境の急激な変化をなくすために家庭であらかじめ疑似体験をさせておくことは、小1プロブレムの防止に効果的だといえます。
たとえば、簡単な学習(ひらがな・カタカナなど)で構わないので、家庭で取り組んでみるのも手です。勉強のために、長時間席に座ることは幼稚園や保育園ではほとんどなかったでしょう。最初は5分、10分などの短い時間でいいので座って学習に取り組むべきですね。徐々に小学校の授業時間である45分座っていられるようになるのが理想的です。
また、小学校では自分で考えて行動していく事が求められると書きました。これについても、家庭である程度トレーニングができるでしょう。
たとえば、「学校の準備をできるだけ1人でさせること」などはどうでしょう。学校で必要なものを子どもに考えさせたり、次の日の準備を子ども自身でさせることは自分で考えるトレーニングになりますね。
親としては「学校に忘れ物をしてほしくない」という思いから、ついつい子どもに指示をしてしまうと思います。ですが、まずは子ども自身で考えさせるようにして後で親と一緒にチェックをするというルールを作ると良いのではないでしょうか。
ほかにも、集団生活についても慣れておく必要があります。集団生活の機会も、親が意図的に作ることができますよね。たとえば、親が友達と一緒に遊ぶよう子どもに促すのも一つです。ママ友同士の交流を増やすなどができれば、友達の家に行く機会もできて一緒に遊べるようになるかもしれません。
地域の行事に参加してみるのもオススメです。
学区内の行事であれば、同じ学校の友達と会う事ができます。
さらに、年齢の違う人とも関わることになるので人付き合いの練習にもなります
どんな形であれ、集団生活ができるよう人とのつながりを多く作ってあげることが理想でしょう。
小一プロブレムを解消するための動き
今まで述べてきた小一プロブレムを解消するために、いろいろな改革の動きも出てきています。いくつか紹介したいと思います。
学校での取り組み
品川区にある「中延保育園」と「中延小学校」では小学校の空いている教室を保育園の分園にしています。分園には5歳の子どもたちが入り、小学生の友達と交流をしたり給食を一緒に食べたりしています。
また、足立区では保育・幼稚園と小学校との連携を深めるために積極的に研修を開いています。お互いの学校を見学する機会も設けており、子どもたちがスムーズに入学できるような工夫がなされています。
他にも、小学校によってはクラスの人数が多いところへ教員を多く配置して子どもたちを細かく見られるようにしたところもあるようです。
いずれも、ステキな取り組みですよね。
文部科学省の取り組み
文部科学省も、小一プロブレムをなくすためにさまざまな工夫をされています。
そのうちの、「スタートカリキュラム」は代表的なものです。
「スタートカリキュラム」とは子どもの発達に合わせて、授業の時間を調整したりクラスの人数を変えたりすることです。遊びの時間を確保するために、生活科の時間を増やすことなども挙げられます。
保育・幼稚園と小学校が共同でカリキュラムを作っているところも多いようです。
現段階では、取り組みの状況は差がありますが、これから小一プロブレムが少なくなっていくことが期待できるのではないでしょうか。
今後の動きも楽しみなところです。
さいごに
いかがだったでしょうか。
小一プロブレムは大きな課題になっていますね。
とはいえ、入学前に親ができることもいくつかありそうです。
実際の学校生活を想定しつつ、前もって親がサポートすることで解決できることも多いでしょう。
お子さんが楽しく学校生活を送ることができるように応援しております!