【小学校受験】ペーパーでよく出る「回転図形問題」徹底解説
回転図形とはどのような問題?
回転図形とは、簡単に言えば問題に描かれている「形」が右側や左側に回転をしたときに、図形の向きはどのように変わるのか?を問われている問題なのです。実際の問題例としては次のような形になります。
この図形を、矢印の方向に2回、まわすとどうなりますか?右の4つのマス目の中から正しいものを選んで〇をつけてください。(問題例)
言い回しは多少変わっても出題意図としてはこのような表現方法になります。まずは問題の形式に慣れることが肝心です。
回転図形を上達させるためのコツは?
マス目を使った問題の場合で説明します。
お手本になっているマス目は4つです。
次のようなルールがありますのでしっかりと押えておいてください。
- 右上の図形が基準になる
- 基本的には時計回りに動くことを覚えておく
- 1回転がす=1マス下に移動
- 2回転がす=時計回りに2マス移動
- 3回転がす=時計回りに3マス移動
- 右、左に動かす(転がす)という指示があった場合には聞き逃さない
順に説明します。
1.右上の図形が基準になる
これは文字通り、基準になる場所を抑えるということです。
2.基本的には時計回りに動くことを覚えておく
これは問題にもよりますが、慣れていない場合にはまず時計回りのケースで覚えましょう。
3.1回転がす=1マス下に移動
下図のように、1回転がすということは一つ下のマスに動くということになります。
4.2回転がす=時計回りに2マス移動
2回転がすと一見複雑ですが、実際には時計回りに2マス移動するだけです。
5.3回転がす=時計回りに3マス移動
3回転がすと、さらにもう一マス動かすことになります。
6.右、左に動かす(転がす)という指示があった場合には聞き逃さない
ここが大切になりますが、問題が読まれたときにどちらに動かすのかをしっかり聞き取りましょう。
回転図形の「発問方法」を確実に覚えることが大切
問題の中でお手本の図形を「逆さまにすると・・」という表現がよく使われています。この「逆さま」という表現にまずは慣れさせてください。
これは、画用紙などに図形を書いて実物を逆さまにして教えると、意外と早く理解してくれるようになります。言葉の表現だけでは、なかなか、問題の意図が頭に入ってこないことが多いのです。
「逆さま」=回転させるという概念にたどり着けるようになるまでには、時間の鍛錬が必要になりますので、親もそのあたりは理解しておいてください。
- 1回転がす→90度の回転
- 2回転がす→180度の回転
言い回しに子どもが少しでも早く慣れて理解できるように親が何度も実演をしてあげてください。実際の出題と同じ言い回しをしながら図形を回転させて覚えさせる方法一番適していると言えます。
旗のような図形を使った問題
問題の中には、マス目の図形だけではなく、旗を使った問題もあります。
答案用紙には「旗」のような絵が描かれています。そして、その旗は半分のところで上は黒、下は黒の配色になっています。これを「逆さまにするとどのような形になりますか?」という問題があった場合の考え方です。
必ず正解以外の絵が描かれているので間違わないように、明らかに回答とは違うものは、消去しながら進めていくことが大切です。
まずは旗の軸は逆さまにしても絶対にずれません。したがって軸が最初からずれている絵は除外できるわけです。このように時間短縮のために、明らかに紛らわしいものは消去していくという方法を塾では積極的に教えていきます。家庭でもできるだけその方法を試しつつ、問題を進めてみてください。
家庭でできる回転図形の訓練法
回転図形の問題を解くときには、
- 図形をしっかりと捉える観察力
- 回転の意味を理解したときの様子を予想する力
が必要になります。
何度図形が回っても、元の形を見つけられないといけません。ここが回転図形のポイントなのです。
さらに具体的にペーパーテストの問題を積み木などで再現して、子どもと答え合わせをするとより効果的です。
例えば長方形の積み木に一か所だけシールを貼ります。それを1回まわすと、シールがその位置に移動するのか?を目で確認させるのです。
子どもは意外な実物の回転を見ながら、理解をするようになります。これを納得するまで何回でも繰り返し学習をさせることに意味があるのです。
さらにわかりやすくするために辺にテープを貼る
図形が回転するということは、「倒れて又起きる」ということを繰り返すことを指します。つまり、「シールで印をつけた部分がどのように移動するのか?」という観察とともに、シールを貼り付けた辺にカラーテープをさらに貼り付けるだけで、かなりわかりやすくなります。これは家庭でできる実験方法ですので、是非とも取り組んでみてください。
家の中にあるものを使って、回転図形の練習をすることはとても大事なことです。正方形の折り紙に線を入れて、図形の回転を繰り返して練習を続けてください。回転をするときに「1」「1,2」と、回転の数だけカウントをしながら図形の回転の概念を徹底的に頭に叩き込むという訓練も非常に有効です。
回転図形を親が教える時のポイントは?
まずは出来る限りペーパーテストの問題に近いものを、積み木や画用紙などで再現しておきます。それを子どもと一緒に回転させながら、答え合わせをするような形にすると、かなり理解度がアップするはずです。
複雑な六角形のような形の問題があった場合でも、画用紙に再現をして図形の回転を実演してみれば、子どもも納得して問題に取り組めるようになります。
幼児の間は、机の上の勉強だけがすべてではありません。特に、回転図形の問題の場合には、パズル感覚で問題に取り組む方と上達が早いので、親も協力をして子どもと一緒に回転図形に取り組んでみてください。
回転図形の問題は試験本番では頭の中で回転させて答えなければいけません。準備段階では実物を使って検証をして回答を導けるのですが、年長に上がる時期には、自分の想像力で回答を導く必要もあるので、一般的には高度な知識が必要な分野と言えます。
大切なことは、
- 試験当日も目印をつけて回転図形を考えること
- 考えられる時間は限られているのでとにかく問題に取り組むこと
です。
回転図形ではあまり難しく考えこないことも大事なポイントです。考えても答えはそうそう簡単に出てくるものではないからです。
5歳の頃にはようやく、回転図形の内容が把握できるような力がついてきます。それまでの間は、実物を使って検証をすることを繰り返しながら、理解を深めることをおススメします。頭の中で図形をイメージできるまで訓練を積んでください。
回転図形は最初から得意!と感じられる子どもは圧倒的に少ない領域です。誰もが躓きやすい単元であるともいえます。苦手な分野だと感じる子どもや親が多いのも事実です。実際には有名私立小学校、国立小学校での出題も非常に多いの現状です。
親が意気込んで詰め込み式で回転図形を教えようとしても、子どもの方が、乗ってこないのは目に見えていることです。画用紙に書いた実物を使いながら問題を解く方がよほど、集中力が続くのです。また細かな図形の回転問題にはペーパーナプキンやパラフィン紙を活用させて、回転させるとその図形はどのようになるのか?を親子で実験を重ねることで習熟度も高まります。
さいごに
図形を回転させた後の形を推理するのが、問題の意図です。最初に、図形の一か所だけ目安にして、回転をさせた時の形を想像するのがコツです。回転図形は実際に問題を回転させることや、実物を回転させることで、回答を導くことが肝心です。何よりも回転図形はトレーニングが必要な単元ですので、出来るだけ多くの回転図形を演習してください。