トラブル防止!子どもへのネットリテラシー教育を徹底しよう
ネットリテラシーっていったい何?
最近よく耳にするようになった「ネットリテラシー」という言葉。
なんとなく「ネットを正しく利用する」ことだとは理解できるけど、ちゃんとした意味は知らない…という人も多いはず。そこでまずは、ネットリテラシーという言葉の意味を解説しましょう。
ネットリテラシーとは「インターネットを使用する便利さ・ルール・そして脅威をきちんと理解したうえで的確な情報を利用し、より良い情報発信が行える能力」のことです。
リテラシーは英語で読み書きの能力を意味する「literacy」のことですが、日本では「ある特定分野に関する知識及び理解能力」を指します。
つまり、ネットリテラシーを端的に言うと「ネットを有効活用できる能力」ということなのです。
(参考)
ネットリテラシー検定とは | ネットリテラシー検定機構
https://ssl.net-literacy.org/about/
リテラシーとは?意味や正しい使い方を解説 | SFA JOURNAL
子どもが巻き込まれやすいネットトラブル
まずは子どもがネットリテラシーを学ぶことなくインターネットを利用することで、どのようなトラブルに巻き込まれる可能性があるのか、解説しましょう。
ネットを利用したいじめ
SNSや無料通話アプリを利用したトラブルやいじめが多発しています。
特定の子の発言は無視する、特定の子以外でSNSグループを作成し、その子の悪口を言う、特定の子の画像や個人情報を流出する…。
ネットを利用したいじめは、メンバー以外にはなかなか気づかれないので、発見が遅れてしまうことが多いのです。
性犯罪に巻き込まれる
SNSやネットがきっかけで出会った人から危険な目にあわされる…というトラブルも少なくありません。
ネット上で会話が弾み、「この人はいい人だ」と信じてしまうことで警戒心が薄れてしまうのです。
ネットで知り合った人は想像と全く違う場合がある、と肝に銘じておかないと、取り返しのつかないことになる場合もあるのです。
個人情報の流出
SNSや掲示板に、気軽に自撮り写真を載せたり、プライベートな話題を書き込んだりすることで個人が特定されてしまう可能性があります。
特に子どもは、お友達との交換日記感覚でSNSに投稿してしまいがち。悪意を持った第三者に見られると、思わぬ事件やトラブルに巻き込まれてしまいます。
ウイルスやワンクリック詐欺によるトラブル
友人や業者を装ったメールに騙されて、添付ファイルを開いてしまたり、リンク先にアクセスしてしまい、高額のお金を不当請求される、個人情報が漏洩してしまう、というトラブルもあります。
このようなフィッシングメールとよばれるものはとても巧妙で、大人でも騙される人は少なくありません。メールには細心の注意が必要です。
動画の違法ダウンロード
個人で楽しむための映像や動画を、持ち主の許可を得ずにネット上にアップロードするのは犯罪です。
特に子どもたちは、仲間で楽しむために、と映画やアニメを動画共有サイトにアップロードするケースが多いのです。アップロードだけではなく、違法と知りながらダウンロードするのも犯罪になります。
また、SNSのアイコンに有名人の画像を使用する、友人の写真を許可なくネットにアップするのも肖像権の侵害となるので注意が必要です。
(参考)
総務省|教育情報化の推進|インターネットトラブル事例集ダウンロードページ
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html
青少年・児童| ネットリテラシー検定機構
ネットトラブルを回避するために気を付けること
ネットトラブルを回避するために、子どもたちにはネットを利用する際は以下のことに気を付けるよう、教えてあげましょう。
”ネットは世界中の人が見ている”と認識する
SNSや個人ブログは、なんとなく友達しか見ていないようなイメージを持ってしまい、ついついプライベートに関することを書き込んでしまいがちです。しかし、思わぬところから流失する可能性もあるのです。常に「世界中の人が見ているんだ」という気持ちで書くようにしましょう。
情報を鵜呑みにしてしまわない
ネットにはさまざまな情報があふれています。しかし、それが真実ばかりであるとは限りません。ネットの情報はすべてうのみにしてしまうのではなく、本当に正しいかどうか、しっかりリサーチするようにしましょう。
「顔が見えないから言っていい」言葉はない
顔が見えないからと言って、悪口や誹謗中傷を書き込んではいけません。相手がその言葉に傷ついて二度と立ち直れなくなってしまったり、さらにひどい悪口を言われたりする可能性があります。面と向かっていうことができない言葉は、ネット上でも書き込んではいけません。言葉の刃とはとても鋭利なものなのです。
ネットに掲載されたものは決して消えない
ネットに掲載されている文章や画像は、誰でも自由に保存することができます。例え問題がある文章や画像を削除しても、誰かが保存したものは削除されません。「デジタルタトゥー」という言葉がしめすように、ネットに掲載された画像や発言は、決して消えることはありません。
ネット上の行動は記録が残る
ネット上で行った行動は「通信記録」という形で残されています。ばれないようにこっそり誰かの悪口を書き込んだつもりでも、通信記録を見ると即わかります。犯罪予告をした人が逮捕されるのも、通信記録があるからです。「ネット上の行動は、決して秘密にできない」ということを覚えておきましょう。
(参考)
ネットリテラシーの基本 | インターネットトラブル | 千葉県警察
https://www.police.pref.chiba.jp/cyberka/safe-life_cybercrime-20.html
家庭でできるネットリテラシー教育
では、子どもがネットリテラシーを身に付けるために、家庭でどのように指導するべきかをご紹介しましょう。
まずは親がネットリテラシーについて理解する
いくら学校の授業でネットリテラシーについて学習しても、実際に子供たちが自宅でネットを利用する際に活用できなければ意味がありません。そのためには保護者の協力が不可欠です。まずは、親がネットリテラシーについて理解を深め、わが子にはどのように教えていくのが効果的なのか?を考えることからはじめましょう。
ルールを決めて使用させる
まずは各家庭で「ネットを使用するときのルール」を決めましょう。
例えば以下のようなものはいかがでしょうか?
- 自分やお友達の名前や顔写真、学校名などは載せない
- 人の悪口は書かない
- インターネットで調べ物をするときは親の横で、開いていいサイトかどうかをチェックしてもらう
- ネットを利用する時間を決める
このとき、一方的に親がルールを決めて子どもに押し付けるのでは意味がありません。ひとつひとつ、「なぜこう決めたのか。それによってどのようなトラブルを防げるのか」を説明することが大切です。
また、年齢とともにネットの利用目的も利用方法も変わってきます。学年が上がるごとにルールは見直し、適宜追加、変更していきましょう。
(参考)
ネットリテラシー教育 パート2【講義スライド付き】 | 弁護士法人戸田総合法律事務所
検定や診断を受ける
最近ではネットリテラシーを高めるための検定や診断がいくつかあるので、それを受けてみるのもおすすめです。
ソフトバンクではスマホデビューする子どもに向けた「全国統一スマホデビュー検定」を開設。保護者用と子ども用に分かれており、それぞれ14問出題されます。
設問ごとに、検定を監修した千葉大学教育学部の藤川大祐教授の解説が表示されるので、スマホについて正しい知識を身に付けることができます。
KDDIでは小学4年生~中学生の子ども向けに「ネットスキル診断」を開設しています。安心ネットづくり促進協議会「安心協ILAS」による出題で、問題に回答するとネットスキルをタイプ別に診断してくれます。
ネットリテラシーについて学べるサイト
ネットリテラシーについて学べるサイトを親子で閲覧してみるのはいかがでしょうか。子どもにもわかりやすく解説しているサイトがたくさんあるので、それを親子で見ながら話し合うのもおすすめです。ここでは主なサイトをピックアップしてご紹介しましょう。
IIJキッズ インターネットQ&A | インターネットイニシアティブ(IIJ)
初めてスマホを持つ子どもに向けて、ネットの仕組みやスマホの利用方法について解説しているサイトです。
I-ROIのネットリテラシー教材|インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI=アイロイ)
ネットの正しい利用方法を学べるサイトです。自分が主人公になって物語を進行する教材や、かわいらしい動物が主人公のアニメ教材など、年齢に合わせた教材を選択できます。
総務省|教育情報化の推進|インターネットトラブル事例集ダウンロードページ
実際に起こったネットトラブルの事例を交えて「子どものインターネットの正しい使い方」が学べる総務省作成の資料です。誤った利用法でどんな怖いことが起こるのか、回避するためにどうすればいいのか、を親子で話し合うのにぴったりです。
まとめ
インターネットは便利で楽しいものですが、利用方法を誤ってしまうと、取り返しがつかない事態を招きます。子どもが犯罪や悪意に巻き込まれないためにも、ネットリテラシー教育は今や子育ての必須事項といえるでしょう。安心で快適なネット生活を提供してあげること、これも親の役目のひとつなのです。