海外で研究された4つの子育てスタイル!あなたはどのタイプ?
子育てスタイル研究の歴史
「子育てスタイル」の研究は、 1966年にアメリカの発達心理学者、ダイアナ・バウムリンド博士によって始められました。
バウリンンド博士は100人以上の就学前児童を観察し、子育ての温かさ、厳しさ、コミュニケーションスタイル、親の期待、成長後の様子などを調べました。
バウムリンド博士は、子育てをする親の「責任感」と「要求」の度合いに基づいて、「3つの子育てスタイル」を提唱しました。
その後、1983年に、マッコービー博士とマーチン博士によって、もう1つのスタイルが加えられ、現在の研究では、次の「4つのスタイル」が確立しています。アメリカの文化内での研究ですが、どの文化にも当てはめて考えられる研究結果であると思います。
4つの子育てスタイル
それぞれの子育てスタイルにはさまざまな特徴があるので、一つずつ見ていきましょう。
1.権威主義的スタイル(独裁的子育てスタイル、Authoritarian Parenting Style)
子どもの意向や感情的ニーズに関わらず、有無を言わせず頭ごなしに子どもを従わせるスタイルです。従わない場合は、罰を与えます。
この子育てスタイルで育つ子どもは、一見、行儀良く「いい子」に見えますが、社会的なスキルが欠けていたり、将来的にも、不安感やうつや自己評価の低さに悩むことが多いとされています。
このスタイルの親は、ルールを設定し、子どもが例外なくルールに従うことを期待し、報酬と賞賛のシステムを使い、子どもが家族の規範に違反すると、説明を聞くことなく厳しく処罰します。従順を育むため、軍の養育様式としても知られ、暴力を行使することさえあります。
この教育スタイルで育てられた子どもたちは、親の定めたルールに従い、優れた学業成績を残していますが、社会的スキルが低下するリスク、自尊心の問題や、攻撃的になりやすいと言った問題を抱えることがあります。
2.寛容的・消極的子育てスタイル (Permissive Parenting Style)
子どもの意向中心に物事を進め、リミットを設定し守らせることに消極的な受身スタイルです。
子どもの感情的ニーズを包み込むといった温かみがあり、大きくなってから不安感やうつに悩むことも少なく、自己評価も高い傾向にあります。
ところが、様々な誘惑に負け易く、何かを成し遂げるということが難しいとされています。
このスタイルの親は、子どもたちの行動の基準を確立しておらず、非常に寛容的ですが、不安定であることから、状況をほとんど制御できないという特徴があります。
研究によると、この子育てスタイルの環境で育った子どもたちは、学業成績が悪い傾向があり、おそらく権威とルールを無視するため、より多くの行動問題がみられる可能性があることを示しています。
3.無関心スタイル(Uninvolved Parenting Style)
衣食住など最低限のニーズを満たすものの、リミットの設定をせず、子どもの感情的ニーズにも無関心なスタイルです。
この子育てスタイルで育つ子どもは、自尊心が育たず、知的面、情緒面、社会面のあらゆる面に問題を抱えがちです。
非行に走る子どもの多くが、このスタイルの家庭で育つとされています。子どもを育てる上で必要な支援をしたり、子どもたちを導くことがなく、研究によると、非常に有害なスタイルであり、子どもの発達にマイナスの影響を与えると報告しています。健康面でも、虫歯が多かったりする子どもが多いようです。
4.民主的なスタイル(Authoritative Parenting Style・Democratic Parenting style)
子どもの意向を尊重しつつ、かつリミットを設定し、ルールを守るよう促しながらも、親が期待することの理由を説明し、子どもの感情的ニーズにも責任を持って寄り添うスタイルです。
民主的子育てスタイルで育つ子どもは、感情を自制でき、優れた社会性に恵まれ、自分の能力にも自信を持つと、多くの研究が示しています。
このスタイルの親は、子どもに対してリミットを設定しますが、子どもの視点も考慮します。リミットに例外があると考え、罰を適用するのではなく、子どもに負の行動の結果を説明します。
子育て研究は、この教育スタイルで育った子どもたちは、決断力、自尊心、責任感が育ち、将来、幸せになり、成功する傾向があるといいます。
あなたの子育てはどんなスタイル?
それぞれの項目に答え、5段階評価で採点してみてください。4つのうち点数の合計が高いスタイルが、あなたの基本的な子育てスタイルの傾向です。
「かなり当てはまる:5点」
「当てはまる:4点」
「あまり当てはまらない:3点」
「当てはまらない:2点」
「まったく当てはまらない:1点」
1. 独裁的子育てスタイル
- 子どもに対し、親が怒りを爆発させ、怒鳴る。
- どうして?と聞かれると、「親の言うことを聞きなさい!」などと答える。
- 親の期待に答えられないと、あからさまに批判する。
- 親の望まない行為に対し、罰を与える。
- 好ましくない行為に対し、体罰を与える。
2.消極的子育てスタイル
- 駄々をこねたりして泣き出すと、子どもの言うとおりにする。
- 好ましくないことをしても、機嫌を損ねるような口出しをしたくない。
- 少しでも嫌がるならば、すぐに止めさせる。
- いつも笑顔でいて欲しい。
- 子どもの好きなようにさせている。
3.無関心な子育てスタイル
- 子どもがいてもいなくても、自分の生活は何も変わらないと思う。
- 子どもは自分のことは全て自分でするものと考えている。
- 親は自分のことで頭がいっぱいで、子どもについて考える余裕がない。
- 子どもに自由にさせている
- 子育てや子どもの発達に関心がない
4.民主的子育てスタイル
- 子どもが自分の気持ちや考えを表現できるよう、励まし、親の意見とは違っても、子どもと話し合う
- 子どもが動揺していたら、気持ちに寄り添ってやる
- リミットやルールの背景を説明し、子どもが守るよう導く
- 親が何かをして欲しい時は、子どもの意向や気持ちを考慮し、親が子どもに期待することの理由を説明する
- 一緒に楽しむ時間を持つ
さいごに
皆さんの子育てには、どんな傾向が見られましたか?
パパとママで子育てスタイルが違っていても、何ら問題ありません。むしろ、子育てスタイル間で行ったり来たりしながら、バランスを取ることが大切です。そのため、一つのスタイルに夫婦とも固まらないほうが良いと言えます。
他の記事で、各国の子育てをご紹介してきましたが、中国では学業成績を伸ばすために独裁的子育てスタイルによって、良い結果が出るという報告もされています。
とはいえ、民主的子育てスタイルを中心にした子育てが、文化の違いを乗り越えて、より健やかな子どもの成長に繋がることは間違いないスタイルではないでしょうか?