「サイレントベビー」の原因や特徴は？パパママが知っておきたい心構えも

なるか

2024/09/17 11:09

サイレントベビーという言葉を耳にしたことがあるパパやママもいるのではないでしょうか。サイレントベビーは主に泣かない赤ちゃんを指す言葉として、インターネットの子育て情報サイトや育児にまつわる本などでたびたび表現されています。パパやママにとって気になる「サイレントベビー」は、具体的にどのような特徴があるのでしょう。悩みを抱える前に知っておきたい対処法や、サイレントベビーになるとされている原因なども併せて解説します。

サイレントベビーは医学的な根拠がない言葉
サイレントベビーと呼ばれる赤ちゃんの特徴
サイレントベビーになってしまうのはどうして？
泣かせっぱなしにしてしまった…サイレントベビーになる？
泣くのが当たり前でない赤ちゃんもいる
サイレントベビーについて不安がよぎったときの対処法
さいごに
参考サイト

サイレントベビーは医学的な根拠がない言葉

サイレントベビーとは文字の通り静かな赤ちゃんという意味です。ですが、この言葉には医学的根拠はなく、医療業界で使われるような専門用語でもありません。

1990年に小児科医である柳沢慧氏が提唱した俗称で、著書に記したことがきっかけで世の中に広まりました。

30年前に提唱された言葉が、インターネットやテレビなどの様々なメディアからの聞き伝えで、今でも当たり前のように残っているのです。

筆者も1歳の娘がいますが、妊娠中にインターネットでこの言葉を知りました。そして医学的根拠がないことを知らないまま娘が産まれ、わが子がサイレントベビーにならないようにと意識していた経験があります。

疲れているときでもわが子が泣くのを必死にあやし、思いつくかぎりの言葉を語りかけるなど、今思えば気にしすぎていたかもしれません。

サイレントベビーと呼ばれる赤ちゃんの特徴

産まれたばかりの赤ちゃんは一般的に、泣くことで心地の悪さや気持ち悪さ、痛みなどの不快感をパパやママに伝えます。機嫌がよいときは手足をばたばたと動かしたり、笑ってくれたりすることもあるでしょう。

一方でサイレントベビーには、次のような特徴があると言われています。

おむつが汚れて交換が必要なのに泣かない
お腹がすく頃なのに泣かない
あやしても笑わず無表情
表現が乏しく、喜怒哀楽がわかりづらい
話しかけていても視線が合わない
一人にしても不安がらずにじっと過ごせる
赤ちゃんの手足の動きが少ない

これらの状況が続くと、コミュニケーション能力が育たずほかの子とうまく付き合えなくなる、おとなしいことで心身の発達に支障をきたすと言われていますが、いずれも医学的根拠はまだありません。

当てはまったからといって、自己判断でご自身の赤ちゃんがサイレントベビーだと決めつけないようにしましょう。

サイレントベビーになってしまうのはどうして？

サイレントベビーは、パパやママが赤ちゃんに無関心であることが原因とされています。

泣いている赤ちゃんを無視して放置することで、赤ちゃんは「泣いても何もしてもらえない」と少しずつ理解しはじめ、最終的に自分の欲求や気持ちを表すことをあきらめてしまうからです。

ほかにも、話しかけたり笑顔であやしたりすることなく、テレビやスマホに長い時間子守をさせることも良くないとされています。

両親からのコミュニケーションが消極的で、赤ちゃんが「構ってもらえない」と思うことで、無口で笑わないなど感情表現が乏しくなると言われているためです。

泣かせっぱなしにしてしまった…サイレントベビーになる？

例えばパパやママが家事やきょうだいのお世話で忙しく、赤ちゃんが泣いていてもすぐに駆けつけられない場合があります。大人には赤ちゃんが泣いている理由がわからずに、テレビやスマホを見せることもあるでしょう。

だからといって、赤ちゃんがすぐにサイレントベビーなるわけではないので、パパやママが自分を責める必要はありません。

すぐに抱っこが難しいときは「ちょっと待っててね」とやさしく声をかけたり、テレビやスマホは時間を決めて長時間見せないようにしたりと、落ち着いて赤ちゃんに接するといいでしょう。

筆者も娘が泣いていても料理の手が離せなかったことや、何をしても泣き止まないためにテレビに頼って、後ろめたい気持ちになった経験があります。

ですが、サイレントベビーを過度に気にして、ストレスをためながら赤ちゃんに接することもあまり良いとは言えません。

泣くのが当たり前でない赤ちゃんもいる

赤ちゃんが泣かないことで、サイレントベビーのほか、病気や障がいがあるのではないかと悩みを抱えるパパやママもいるかもしれません。しかし現代の医学では、泣きかただけで赤ちゃんに問題があると確定することはできません。

赤ちゃんが泣かない理由として、産まれつきの個性であるという医師の見解があります。同じ環境で育った家族でもきょうだいで性格が違うように、好奇心旺盛でよく動く子もいれば、内向的で静かに遊ぶのが好きといった子もいるでしょう。

また、赤ちゃんが不快を感じる前にパパやママがおむつを交換したり、お腹を満たしてあげたりすることで、赤ちゃんにとって常に快適な環境が用意されているために泣く必要がないのでは、といった見解もあります。

サイレントベビーについて不安がよぎったときの対処法

産まれてくる赤ちゃんがサイレントベビーになったらどうしようと不安になることがあるかもしれません。一方で、わが子があまり泣かないために、サイレントベビーなのではと心配になることもあるでしょう。そのような場合に、赤ちゃんへの接し方が悪いのだと自己判断で決めつけないようにしてください。悩んだときに知っておきたい心構えや、対処法を紹介します。

泣かなくても時間を決めてお世話しよう

赤ちゃんが泣かないからといって好きな時間にお世話をするのではなく、赤ちゃんに合ったタイミングを見極めて、時間を決めて授乳やおむつの交換をしましょう。

昨今の紙おむつは性能がよく、汚れても不快に感じない赤ちゃんもいるようです。2～3時間に1度チェックするなどして、気にかけてあげるといいでしょう。

お世話するたびに、抱っこやベビーマッサージなどでスキンシップをとるのもおすすめです。

赤ちゃんとの関わり方を工夫する

一般的に、赤ちゃんに語りかけたり、歌を歌ったりすることは発達に良い影響を与えると言われています。しかし言葉の話せない赤ちゃんと、毎日会話をしようと努めるのは難しく感じることもあるかもしれません。「今日は空が晴れているね」「おむつを今から替えますね」など簡単な実況中継や、「今は何を考えているのかな？」とパパやママの心の声をそのまま語りかけてみましょう。赤ちゃんが「あー」や「うー」と声を出した際は、大きく反応してみてください。赤ちゃんの反応が薄くても、大人が反応していることは伝わっているはずです。

小さなコミュニケーションを積み重ねることで、万が一赤ちゃんに病気や障がいなどの傾向がみられた場合にも気が付きやすくなるでしょう。

日々観察しながら、無理のない範囲で触れ合うことが大切です。

泣かないからといって放置はNG

赤ちゃんが泣かないからといって「手のかからない、おとなしい良い子」と捉えて放置するのは良くありません。

両親が赤ちゃんを放って趣味やスマホに没頭する、赤ちゃんを置いて外出するといった状況が続くことは、ネグレクト（育児放棄）だとする専門家もいます。

また抱き癖がつかないようにあやさない育児法もありますが、サイレントベビーと同じく、医学的根拠はないと言われています。

テレビやスマホはうまく取り入れて

赤ちゃんにテレビやスマホを見せたからといって、すぐにサイレントベビーになるわけではないですが、見せっぱなしは成長に悪い影響があると懸念されています。

テレビやスマホを見せるときは時間に気を付けて、教育番組など赤ちゃん向けの内容を選ぶようにしたいですね。

何を見せるか、見せる時間はいつまでにするかなど、家庭でルールを決めて共有しておくといいでしょう。

病院や公的機関に相談する

泣かないことや笑わないことが続いて思い悩んだら、かかりつけの小児科や地域の保健師などに相談してみましょう。身体の病気が隠れていないか、検査を行う場合もあります。不安に感じたことをメモしておき、乳幼児健診で相談してみることもひとつの方法です。

サイレントベビーという言葉に惑わされない

産後のママはとくに、身体に負担がかかる中でお世話に追われ、赤ちゃんに関する様々な心配ごとで気持ちにゆとりがなくなりがちです。サイレントベビーという言葉にとらわれず、リラックスして育児ができる環境をつくりましょう。赤ちゃんが泣いたときの対処方法や夫婦の役割についてパパと話し合ったり、周囲や家事・育児サービスに頼れるような体制を整えたりしておくと安心かもしれません。

さいごに

サイレントベビーについては医学的な根拠はありません。メディアの情報の中にはパパやママの不安を煽るものもあり、そういった論調を疑問視する専門家もいます。泣かない赤ちゃんに不安に思うことがあっても、悩みすぎないようにしましょう。サイレントベビーは考え方のひとつなのだと覚えておき、赤ちゃんに寄り添った方法で、愛情あるお世話ができるといいですね。