「火育」で育む生きる力とは?火に親しみ、火を学ぼう!
火育とは?
子どもに火の正しい扱い方や注意点を教え、身につけることを「火育」と言います。
火を扱えるようになったことは、人類の発展に大きく影響を与えました。しかし、現代の子どもたちは火を扱ったりマッチを使ったりしたことがあまりなく、生活の中で火を見る機会が減少していると言われています。とはいえ、火の扱い方を学んでおかなければ、ヤケドを負ったり火事になったりしてしまいかねません。
危険だからと言って子どもを火から遠ざけるのではなく、火の正しい扱い方や注意点を教えて、火を使えるようにしてあげましょう。
火育のメリット
火育をすることで正しく火を扱えるようになると得られるメリットを詳しく解説します。
忍耐力を養える
焚き火をしたり薪に火をつけたりするには、まず枯れ葉や紙に火をつけ、そこから徐々に枝を加えて…と、辛抱強く取り組まなければいけません。そんな一筋縄にはいかない火を扱うことで、子どもの忍耐力や根気強さを養うことができます。
生きる自信に繋がる
お湯を沸かす、ご飯を炊く、部屋を暖める…昔は、これらをすべて火でまかなっていたということを、火育を通して知ることができます。
電気やガスが使えない時には火で代用できることを子どもが理解できていれば、どんなところでも生きていける力を身につけられるでしょう。その知識があるだけでも子どもの自信に繋がります。
災害への備えにもなる
火について理解するだけではなく正しく扱えるようになっていると、災害が起きた時にも活用することができます。ライフラインが途絶えた時に火を起こすことができれば、料理をしたり暖を取ったりできるでしょう。
また、火育では火の扱い方だけではなく火の怖さも理解できるので、火災予防にも繋がります。
火の恵みを感じられる
火を使うことで、得られる効果を体験することができます。火には、マイナスイオンを放出する効果や1/fゆらぎの効果があり、心を癒してくれます。そのため、暖炉などで火を囲んでいると癒し効果で親近感を持ちやすくなり、会話が弾むといったコミュニケーション効果も得られます。
火育を行う前に火の基礎知識を親子で確認しよう
子どもと安全に火育をするためには、正しく火を扱う必要があります。どのような点に注意するべきなのか、パパやママも子どもと一緒に再確認しましょう。
洋服や小物の素材に気をつける
化学繊維のポリエステルやナイロン素材を使った洋服を着ていると、火が燃え移りやすく危険です。ジャージ素材の洋服も熱で溶けてしまう可能性があるので、火を扱う時には、綿素材の洋服を着用させてあげましょう。
手袋をつける
焚き火やバーベキューなどで火育をする際は、手袋を準備しましょう。火を起こすための木の枝や薪でケガをしてしまうかもしれないので、革製の手袋がおすすめ。
大人用の手袋は子どもには大きくて指先が余ってしまい危険なので、子どもサイズの手袋を準備します。
風向きに注意する
煙を浴びたり火の粉が飛んで来たりしないように、火を使っている時は常に風向きを確認して、風下に立たないように注意しましょう。もしも、風が強くなってきた場合は危険なので火の使用を中止します。
屋外であっても、長時間煙を吸い込んでしまうと一酸化炭素中毒になってしまう可能性があります。また、杉の木を燃やした煙を花粉症の人が吸い込むと、刺激になってしまうこともあるので注意が必要です。
火を扱う前に周囲を片付ける
火を使う時には、燃えやすい紙類や枯れ葉、枝は火の近くに置かないようにします。
鍋などは燃えることはありませんが、高温になってしまいます。それに気づかず子どもが手に取ってしまえば、ヤケドしてしまうかもしれないので、火の近くには物がないように片付けましょう。
適切な方法で消火する
焚き火は鎮火したら水をかけて消火します。鎮火を待たずに燃えている焚き火に水をかけると、水蒸気によってヤケドしてしまうことも。花火はバケツなどに消火用の水を張り、終わった花火を水につけて完全に消火させます。火がついている炭や薪は水に沈めるか、火が自然に消えるのを待ちます。
火の種類によって消火方法が違うので、消火方法や必要になる道具などを事前に調べておきましょう。
火の回りでふざけない、走り回らない
焚き火や花火をしていると、大人も子どもも楽しくなって興奮状態となってしまいがち。しかし、火の周りでふざけたり走り回ったりしていると、ケガや事故につながりかねません。
火の周りでふざけたり、走り回ったりしないように子どもと約束をしておきましょう。
火の番は必ず大人がする
予期せぬトラブルが発生してパパやママが火の近くを離れなければいけなくなることも。そんな時、「少しの時間だからお願い!」と言って、子どもに火の番を頼みたくなるかもしれません。しかし、パパやママがいない間に、子どもだけで着火剤を追加したり薪を動かしたりして、危険な行動をしてしまう可能性があります。
子どもに火の番を任せる状況にならないように、事前にパパやママで話し合い、あらかじめ役割分担を決めておきましょう。
親子で火育を体験してみよう!
火を扱う際の注意点まで把握できたら、いよいよ実践です。子どもと一緒に火育を体験してみましょう。
マッチを擦る
パパやママでも、ライターやチャッカマンは使ったことがあるけれど、マッチを擦って火をつける機会があまりないという方が多いかもしれません。そこで、親子でマッチを擦って火をつけてみましょう。
まずは、パパやママが子どもにお手本を見せてから、子どもにチャレンジしてもらってくださいね。
火を起こす
バーベキューの火起こしを子どもに体験させてあげましょう。パパやママも経験したことがないのなら、子どもと一緒に体験してみるといいかもしれません。着火剤があると早く着火する理由やうちわであおぐ理由、タイミングなどを親子で話しながら、楽しく火起こしができるでしょう。
親子で火を使って料理をする
IHコンロしかない家庭では、火を使って料理するだけでも子どもは驚くかもしれません。バーベキューやキャンプで料理をするとカセットコンロや炭火、バーナーなどさまざまな熱源を体験できます。
焚き火をする
ただ焚き火をするのではなく、どのように薪を組めば火がつきやすいのかを親子で一緒に学んでみましょう。実際に燃焼時間や木の燃え方、空気と火の関係などにも触れながら焚き火をするのも◎。焚き火をしている時の音や火の粉も、火を始めて見る子どもには新鮮に映るはず。
プレーパークで遊ぶ
子どもが自分の責任で自由に遊べる、禁止事項のない公園「プレーパーク」。この施設では火に触れ合って遊ぶことができます。もちろん消防署の許可を取っているので安全です。
焼き芋や火起こし、焚き火などのイベントが開催されていて、気軽に火育を験できますよ。
火育イベントに参加する
キャンプ場やガス会社が主催する火育をテーマにしたイベントが、全国各地で開催されているので、親子で参加してみるのもおすすめです。他にも、防災をテーマにしたイベントで火に触れる体験することもできます。
パパやママが情報収集して火育を実践するのもいいですが、キャンパーや火を扱う専門家から学ぶと、新たな知識を得られるかもしれません。
人生初めての花火【体験談】
筆者の子どもが初めて火を体験したのは、祖父母の家での手持ち花火でした。
自宅のキッチンにはIHコンロしかなかったので、3歳ごろまで娘はあまり火を見る機会がありませんでした。そんな娘が4歳になった夏、祖父母の家の庭で手持ち花火をすることに。娘は花火だけでなく、火を目の当たりにするのも初めてだったので、祖父が手に持ったライターから火が出ると、びくっとして固まってしまったのです。
それからは火を怖がって花火を握ろうとしなかったので、筆者と一緒に握った花火に火をつけました。最初は花火を見て「怖い」と言っていましたが、3本目くらいからは一緒に花火を持てるように。その時、娘に「花火キレイだけど、火の近くは熱いね」「火の近くを持ったら、ヤケドしちゃうから気をつけようね」など、火の扱い方について話すことができました。
最後は、水を張ったバケツに花火を入れて消火。「ジュッ」と音を立てて火が消えていくのを一緒に見ました。この花火体験によって、正しい火の扱い方ができれば火は怖くないということを娘は学んでくれたと思います。
さいごに
火の正しい扱い方を学んで使えるようになると、子どもの自信に繋がるだけではなく、実際に火を起こすことによって忍耐強さなども養うことができます。子どもに火を使わせるのは怖くて躊躇してしまいますが、火を使って料理するだけでも立派な火育。いざという時のためにも、家庭でできる火育や火育のイベントなどをとおして、子どもが火に触れる機会を作ってあげてくださいね♪
参考サイト
- ウチコト|今こそ子どもに伝えたい【火育】とは? 災害時にも役立つ「火」を学ぼう(https://uchi.tokyo-gas.co.jp/topics/5064)
- TOKYO GAS NETWORK|五感を使って火の力、火の恵みを感じよう(https://www.tokyo-gas.co.jp/network/hiiku/enjoy/index.html)
- キャンプとアウトドアの楽しみ方|火育で自然の恵みを学ぶ(https://takibi.click/fire-education%E2%86%92-learning-the-benefits-and-risks-of-fire/)
- 全国農業協同組合連合会 とやま県本部|家庭で「火育」(https://www.zennoh.or.jp/ty/service/gas/fire_education/)
- リーフラス スポーツスクール|夏休みだからこそ教えたい火の扱い方、「火育」とは(https://sport-school.com/largeha/%E5%A4%8F%E4%BC%91%E3%81%BF%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%93%E3%81%9D%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%84%E7%81%AB%E3%81%AE%E6%89%B1%E3%81%84%E6%96%B9%E3%80%81%E3%80%8C%E7%81%AB%E8%82%B2%E3%80%8D/)
- Sports navi|【アウトドアで得られるもの】キャンプで火育(https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/202101060012-spnavido)