親子でデジタルデトックス!デジタル依存症の危険性もチェック
デジタルデトックスとは?
デジタルデトックスとは、身心のストレス軽減を目的とし、スマホやタブレットなどのデジタル機器と意図的に距離をおくことです。完全にデジタル機器を使わないということではなく、時間や期間を決めて使用を制限することで、健全なデジタル機器とのつき合い方を学ぶことができます。
デジタル機器の使いすぎによるリスク
スマホやタブレット、ゲーム機などのデジタル機器を使いすぎることで生じる影響は次のものがあります。
視力が低下する
スマホやタブレットなど電子端末の長時間利用は、目のピント調節機能の低下や、疲労の蓄積を引き起こし、視力低下のリスクを招きます。文部科学省の令和4年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子どもが、小学生で約38%・中学生が約61%・高校生者はなんと約72%という結果に。この数値は、これまでの調査と比べても過去最大です。幼少期のうちから、デジタル機器の扱い方に注意しなければならないことが分かります。
姿勢が悪くなる
スマホやタブレットを見ていると、身体が丸まり猫背になってしまいます。また、長時間のうつむいた姿勢は、首が直線に近い状態のストレートネックの原因にも。ストレートネックはときに頭痛や肩こりなどの症状を引き起こす可能性があります。
睡眠の質悪化や集中力の低下、情緒不安につながる
スマホやタブレットなどのデジタル機器からは、ブルーライトが発せられます。ブルーライトは目に負担をかけるだけでなく、睡眠を促進するセロトニンの分泌を抑えてしまう可能性も。
とくに夜の時間帯にブルーライトを浴びると寝つけなくなり、睡眠の質が低下したり、寝不足になったりするリスクがあるため注意が必要です。また、セロトニンの低下は、集中力の低下やイライラの増大、記憶力の低下をもたらします。
脳が疲れてしまう
スマホやタブレットなどの長時間使用は、脳を疲れさせ、判断力の低下や物忘れを悪化させます。脳は物事を同時並行でおこなうマルチタスクが苦手です。
テレビを観ながらスマホやタブレットなどをいじったり、さまざまなアプリを立ち上げて多くの情報を一度に見聞きしたりすることで、マルチタスクな状態になります。結果、脳の情報処理が追いつかなくなり、脳が過労状態になってしまいます。
デジタルデトックスにはこんな効果が!
デジタルデトックスで得られる効果はさまざま。おもに以下のものがあげられます。
- 脳の疲れが軽減されて気持ちがスッキリする
- 目の疲れが取れる
- 睡眠の質が向上する
- 集中力がアップする など
デジタル機器をなるべく使わないことで目や脳を休ませることができたり、健康的な生活を送れるようになったりします。他にも、デジタルデバイスに費やしていた時間を減らすことで、新たな気づきがあったり、他者とのコミュニケーションが生まれたりと、ポジティブな効果が満載です。
我が子は大丈夫?デジタル機器への依存度をチェック
デジタル機器に依存していると特徴的な行動が見られます。ここでは、スマホ依存特有の行動を紹介していきます。子どもだけでなく親自身もスマホ依存に陥っていないかチェックしましょう。
- 少しでも時間があればスマホを触っている
- スマホを使っている時に邪魔をされるとイライラする
- 夜、布団やベッドに入ってもスマホを触っている
- 手元にスマホがないと落ち着かない
- メールやSNSを必要以上にチェックする
- ネットサーフィンや動画を見るのにかなりの時間を費やす など
以上の項目で、当てはまる行動が多いほど、依存度が高い傾向にあるでしょう。
子どもにデジタルデトックスが必要な理由
身近にあると、その手軽さゆえにどうしても依存しがちなデジタル機器ですが、先に説明した集中力低下や睡眠障害などのリスク以外にも、子どもの学力や発達にも差が出てしまうことが分かっています。
ここでひとつ、文部科学省が実施した「令和6年度 全国学力・学習状況調査」の調査分析をご紹介しましょう。それによると、「デジタルゲームやSNSに費やす時間が一定数を超えると、数学リテラシーや読解力、化学リテラシーの3分野における問題正答率が低下傾向にある」と報告されています。
学力が下がる原因として考えられるのは脳の発達。スマホを一切使わない子どもよりも長時間スマホを利用する子どもの方が脳の発達か遅いそう。したがって、幼少期からデジタル機器との適切な距離の保ち方を身につけておくことが重要です。
デジタルデトックスするため4ステップ!
子どもと一緒に気軽に実践できる、デジタルデトックスの4つのステップを紹介していきます。
どれくらいスマホを使っているかを把握する
まずは、親子でどれくらいの時間デジタル機器を使っているのかを、チェックしましょう。機器によっては、使用時間を確認できる機能があります。
実際に使用時間を確認してみると、思っているより、時間を費やしていることに気がつけるでしょう。
デジタルデトックスする日時を決める
デジタルデトックスをする時間や期間をあらかじめ決めましょう。最初は「2時間だけ」その次は「3時間」など、徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。
そのうち、「毎週土曜日」「土日」など日にちを設定するのもいいでしょう。スクリーンタイムを使用して使用制限を設けるのもひとつの方法です。
デジタルデトックスゾーンを決める
寝室や食卓にはデジタル機器を持ち込まないなど、使用しないエリアをあらかじめ決めましょう。また、スマホやタブレットを指定の位置におく習慣をつけるのもおすすめです。
デバイスを立ってとりにいかなければならない状況をあえてつくり、少し面倒な行動をとらせることで、つい手を伸ばしてしまうという状況を回避できますよ。
キャンプに出かけてみる
不便な環境に身をおくキャンプは、デジタルデトックスに最適!ご飯をつくる、テントを建てて寝床を確保するなど、ひとつひとつの工程に時間がかかるキャンプは、デジタル機器に触る時間を減らすのに一役買ってくれるでしょう。
また、虫や木々など自然に接することができます。子どもの五感を刺激し、好奇心をかきたてる経験ができるのも魅力ですよ。
デジタルデトックスをしている間の過ごし方のコツ
ここからは、デジタルデトックスに取り組む時のコツを紹介します。
家族全員でルールを守る
デジタルデトックスをおこなううえで大事なポイントは、家族全員でルールを守ることです。親がしっかりと子どものお手本となり、よりよい時間をつくれるようにしましょう。
また、親は、子どもと触れ合う時はスマホを手放すことが大切。子どもの目を見て接することを心がけましょう。
図鑑や本を活用する
分からないことがあれば、スマホですぐに調べられます。簡単に調べられてとても便利ですが、その手軽さゆえ、記憶に残りづらいのが難点。
しかし、図鑑や本を活用するとどうでしょう。調べたい情報にたどり着くため、図鑑や本のページをめくり五感を使うことが、記憶の残りやすさにつながるそう。
代わりに楽しめる活動をリストアップしチャレンジする
スマホやタブレットで時間を使う意外に楽しめる、旅行やキャンプ、家族で楽しめるスポーツなどの活動をリストアップし、それにチャレンジしてみましょう。家族みんなで楽しめるアクティビティを取り入れることで、親子間のコミュニケーションも深まり、子どもにとっても楽しい時間になりますよ。
デジタルデトックスの体験談
デジタルデトックスを普段から意識しているパパママの体験談を紹介します。
子どもの前でのデジタル機器の使い方を親が徹底!(4歳男の子・6歳女の子ママ)
わが家では、基本的には子どもの前ではスマホ・タブレットを大人も触らないようにしています。
大人が触っていると子どもも気になるかなと思い、夫婦で話し合いそのようなルールに。仕事や調べものなど、どうしても使いたい時は「今から調べものをします」と言ってから触るようにしています。
また、子どもが受診した眼科で「子どものタブレットの使い方には気をつけて」と言われました。それをきっかけにYouTubeやアニメなどの動画は、朝15分、夕方20分と時間を決め、タブレットではなくテ レビで見るようにしました。
子どもたちとゆったりとした時間を堪能(5歳女の子・3歳男の子・0歳の男の子ママ)
子どもたちの体調不良が続くとどうしてもタブレットやテレビに頼りがちなわが家。私自身、耳と目が疲れてしまい、デジタルデトックスを決行しました。
朝からテレビのリモコンを隠し、タブレットの電源を切って目につかないところへ。子どもたちには、パパが仕事から帰ってくるまで使わない約束と伝えました。私もスマホをおいて1日アナログ生活を実施。お絵かきや工作、カードゲームに料理など、1日子どもたちとしっかり向き合うことができてとても楽しかったです。その日は結局パパが帰宅してからもタブレットやテレビをつけることなく過ごしました。
1日中子どもたちと向き合ったり、遊びを提案したりしなければならないのが大変ではあります。しかし、いつもより時間がゆっくり感じられ、子どもたちの成長にもたくさん気づけた1日になりました。
キャンプでデジタル機器に触れる時間をあたえない!(3歳・5歳の男の子ママ)
デジタルデトックスを目的に、我が家ではキャンプを実施。家にいるとどうしても、親はスマホに触ってしまったり、子どもはYouTubeを見たがったりしてしまうからです。
キャンプはテントの設営から始まり、ご飯づくり、焚火など、ひとつひとつに手間がかかり、暇を持て余すことがありません。お手伝いをさせたり、思う存分走り回らせたりするため、子ども達は夜にはくたくた。日常では味わえない非日常の環境で、自然の空気に触れ、親も子ども達もリフレッシュできます。
さいごに
スマホやタブレットなどのデジタル機器は便利なゆえに使いすぎてしまうのが難点。デジタル機器に頼りすぎた生活で、知らず知らずのうちに身心にダメージを蓄積している可能性があります。
デジタルデトックスは、デバイス機器から距離をおくことで、さまざまなストレスから解放されるのが魅力です。手軽に始められるものも多いので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
参考サイト
- DIGITAL DETOX JAPAN|デジタルデトックスとは?
(https://digitaldetox.jp/digitaldetox/)
- 東邦大学医療センター大森病院 メンタルへルスセンター|スマホ依存について
(https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/mentalhealth/mental/smartphone_dependence/index.html)
- 久里浜医療センター|IAT(インターネット依存度テスト)
(https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/iat.html)
- トーンモバイル|大人も子供も要注意! スマホ依存症の症状と対策
(https://tone.ne.jp/column/howtouse/smartphone-addiction-2/)
- 養命酒製造株式会社|集中力低下の原因はスマホの使いすぎによる脳疲労?セルフチェック&解消法
(https://www.yomeishu.co.jp/health/4018/ )
- 磐田市総務部情報政策課|使いすぎに注意!スマホの使用による健康への影響
(https://www.city.iwata.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/606/10.pdf)
- 文部科学省|令和4年度学校保健統計(確定値)公表(プレス資料)
(https://www.mext.go.jp/content/20231115-mxt_chousa01-000031879_1a.pdf)
- アキュビュー® 【公式】|ブルーライトと目の関係とは?目の疲れや睡眠への影響について
(https://acuvuevision.jp/memamori/how-eyes-work/074#heading2-2)
- 文部科学省|全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/)
- 国立教育政策研究所|令和6年度全国学力・学習調査 調査結果について
(https://www.nier.go.jp/24chousakekkahoukoku/report/data/24summary_shitumon.pdf)
- 再春館製薬所|デジタルデトックスとは?
やり方やその効果について解説
(https://www.saishunkan.co.jp/goodaging/lifestyle/027/)
- はたかな|【2022年】夏休み、スマホの使い過ぎ予防!親子で「デジタルデトックス」に挑戦
- ていねい通販|話題のデジタルデトックスも叶えられる!今から準備を進めてこの夏こそ【キャンプ】デビュー
(https://www.teinei.co.jp/teinei-tsushin/detail/398)
- DIGITAL DETOX JAPAN|GW中のスマホ依存を防ごう。家族でデジタルデトックスをする方法
(https://digitaldetox.jp/column/family_digitaldetox_goldenweek/)
- NHK|スマホ脳過労” 記憶力や意欲が低下!?
(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4249/)
- NEWSポストセブン|スマホ・タブレットの子供への影響 使用時間が長いと学力下がる傾向、国語より算数がより顕著か
(https://www.news-postseven.com/archives/20220828_1787014.html?DETAIL)