乳幼児の新型コロナウイルス感染症対策
6子どもが新型コロナウイルスに感染した時の症状
子どもの感染者数は成人と比較すると少ないですが、感染しやすさは成人と変わらないことが現時点でわかっています。（2020年8月1日）
そのほとんどは、家庭内感染で、発熱、乾いた咳がでます。鼻汁や鼻づまりなどは比較的少ないとされています。
成人と同じように、発熱が続き、肺炎になる例もあり、嘔吐、腹痛や下痢などの消化器症状もあるようです。
成人のように嗅覚や味覚の異常は子どもでは少ないようですが、欧米では、しもやけのような症状や、発熱、腹痛・下痢、発疹を認め、具合の悪くなる子どもが報告されています。
感染していても無症状である場合も報告されていますが、子どもは正確に症状を伝えることができないので、親は注意が必要です。
子どもの新型コロナウイルス感染症は重症化するのか、心配ですね。成人と比べると少ないようですが、成人と同じように呼吸状態が悪くなることもあり、２歳未満の子どもは比較的重くなる傾向があるようです。
厚生労働省は以下のように小児の新型コロナウイルス感染症の特徴をまとめています。
- 家族内感染が多い
- 潜伏期が成人よりやや長い（小児：∼6.5日, 成人：5.4日）
- 便中のウイルス排泄が長い傾向がある
- 全患者に占める割合が低い（10歳未満、10〜20歳未満とも1%）
（Jiatong S, et al. J Med Virol. 2020)
原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしているなどの様子が見られるときは、新型コロナウイルス以外にも様々な病気が考えられますので速やかな受診が必要です。
子どももマスクは必要？
大人でも息苦しく、不快になるマスクを2歳以下の子どもに着けさせるのは無理ですよね。しかし、4～5歳になると必要な場面だけ短時間マスクをつけさせることはできます。
といっても、マスクを嫌がる子どももいますので、パパやママが丁寧に教えてあげましょう。
母乳はやめておいた方がいい？
母乳中からウイルス遺伝子が検出されたという報告はありますが、感染性のあるウイルスが母乳に分泌されるかどうかは不明で、母乳の安全性については、現時点では分かっていません。
日本産婦人科学会では、もし母親が発熱し、感染していることが分かっている場合は、授乳を控えた方が良いとしています。
母親が感染していた場合、ウイルス血症（血液中にウイルスが入り込んでいる状態）になっている可能性があったり、接触や咳を介して子どもに感染するリスクがあります。
日本産科婦人科学会では、解熱後3日までは感染力があるとして、授乳再開の目安を解熱後4日目としています。
身の回りのものの消毒・除菌を徹底しよう！
食器・手すり・ドアノブなど身近な物の消毒には、アルコールよりも、熱水や塩素系漂白剤、住宅用・台所用洗剤でも、効果が期待できます。
次亜塩素酸ナトリウムって？
市販されている家庭用漂白剤、次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性で強い酸化作用を持ちます。以下、0.05%の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方をお伝えします。
次亜塩素酸ナトリウムを成分とする商品は多数あります。一例として、花王の「ハイター」や「キッチンハイター」は、水１L に25mL（商品付属のキャップ 1 杯）が目安です。
なお、次亜塩素酸ナトリウムは、一般的にゆっくりと分解し、濃度が低下していくため、購入から３ヶ月以内の場合は、水 1Ｌに本商品 10ml（商品付属のキャップ 1/2 杯）を利用しましょう。
次亜塩素酸ナトリウムは素手で取り扱ったり、吸入したり目に入ったりすると健康に害を及ぼす可能性がありますので、絶対に行わないでください。
次亜塩素酸水って？
次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水は異なります。次亜塩素酸水は、酸性で同じく強い酸化作用を持ちます。出荷される野菜の洗浄等に用いられています。
拭き掃除には、有効塩素濃度８０ｐｐｍ以上のものを使いましょう。アルコールとは使い方が違います。アルコールのように少量をかけるだけでは効きません。
- 汚れをあらかじめ落としておく
- 十分な量の次亜塩素酸水で表面をヒタヒタに濡らす
- 少し時間をおき（２０秒以上）、きれいな布やペーパーで拭き取る
塩素系漂白剤と混ぜたりすると、塩素が発生する危険があります。また、開栓時は、塩素が既に発生している可能性に注意して、人が吸入しないように注意してください。
空気中の浮遊ウイルスの対策には、消毒剤の空間噴霧ではなく、換気が有効です。
食器や箸などは、80℃の熱水に10分間さらすと消毒ができます。
子どもは外出や友達と遊ぶことを避けたほうが良いの？
子どもにとって遊ぶことは、心身の発達においてとても重要です。同居している兄弟姉妹、家族等同士で遊ぶこと、屋外では、他人との接触を避けることを守れば、大丈夫です。
以下は日本小児科学会、予防接種・感染症対策委員会からのアドバイスです。
日本小児科学会、予防接種・感染症対策委員会からのアドバイス
〈屋外における遊び〉
屋外の遊びであれば感染伝播のリスクは低いと考えられますが、以下の点を確認し注意して下さい。
- 風邪症状（のどの痛み、咳、発熱など）があるときは、外出は控える
- みんながよく触れる場所に触った後は手洗いをする
- 飲食の前にも手洗いをする
- 食事をするときは対面にならないように工夫する
〈屋内における遊び〉
屋内における遊びについては、屋外よりリスクが高くなりますので、以下の点を確認し注意して下さい。
- 周囲に明らかな感染者がいない
- 遊ぶ場所に高齢者や基礎疾患のある方がいない
- 本人や家族に風邪症状（のどの痛み、咳、発熱など）がない
- 少人数である
- 保護者同士の了解が得られている
- みんながよく触れる場所に触った後は手洗いをする
- 飲食の前にも手洗いをする
- 食事をするときは対面にならないように工夫する
- 最低1時間に1回換気してください
さいごに
新型コロナウイルス感染症については、まだわかっていないことも多く、これからウイルスの性質が変わる可能性も十分あるので、注視していきましょう。
日本では、乳幼児は比較的、新型コロナウイルスには感染しづらく、万一、感染しても重症化しづらいと言われていますが、海外では幼児の重症化例も報告されています。そのため、秋以降は、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの両方の予防が必要です。
子どもの患者の多くは、家庭内において保護者から感染しているので、保護者が感染しないこと、感染した人から2メートル以上の距離を保つことが子どもの感染予防につながります。
また、ウイルスに汚染されたおもちゃや本などに触れた手で、口や鼻、目を触ることでも感染しますので、是非、記事を参考にして、徹底した消毒も行ってくださいね。
参考
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 （2020年8月27日更新）
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326
厚生労働省
新型コロナウイルスに関するQ&A（一般の方向け）（2020年年９月17日更新）
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q4-2
