小学校受験後の進路は?意外と多い中学外部受験をする子
御三家中学校の出身小学校を知っていますか
中学受験には御三家と呼ばれている学校があり、偏差値の高い中学校を男子校、女子校それぞれ3校をまとめて、男子御三家(開成、麻布、武蔵中学校)、女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉中学校)と言います。
今回は、例として、開成中学校の出身小学校にスポットを当てたいと思います。開成中学校に入学した新入生に、出身小学校を尋ねると国立、私立小学校出身の生徒が多い事に驚かせられます。
中学受験に特化した私立小学校と言われる、国立学園小学校、精華小学校だけではなく、学習院初等科、暁星小学校、埼玉大学附属小学校など、様々な国立、私立小学校出身の生徒が入学してきます。
保護者の方は、6年後の中学受験を見据えて学習院初等科に入学させた訳では無いと思います。幼い頃からの学習習慣と、本人の意欲から、徐々に開成中学校に挑戦してみようという気持ちになったのでしょう。
近年、私立小学校の上位層が、よりステップアップを目指し中学受験するという事が、よくある事となっております。仕事においても、条件の良い会社への転職、早期退職など、働き方が多様化しているのと同じことが、子ども達の世界でも起きているのです。
女子もステップアップする時代
女子の場合はどうでしょうか。
女子最難関中学校といわれる桜蔭中学校で、新入生に出身小学校を尋ねると、開成中学校と同様に、国立、私立小学校出身の生徒が多数います。
お嬢様学校と言われている聖心女子学院初等科、日本女子大学附属豊明小学校など、一昔前なら、迷いもなく小学校から大学までエスカレーター式で進んだ名門小学校からも進学しているのです。
親も、"女の子だから…"という考え方ではなくなり、子どもの意欲を応援している結果でしょう。勿論、開成も桜蔭も、公立小学校出身の生徒の割合が1番多いのは事実です。しかし、日本全国の国立小学校の割合は0.34%、私立小学校の割合は0.97%と言われているのに対し、開成、桜蔭共に、国立、私立小学校出身者の割合が毎年2割前後いるので、最難関中学校には多くの国立、私立小学校から進学しているという事がわかります。
又、何処の私立中学校にも、一定数の国立、私立小学校出身の生徒はいます。偏差値だけ見ると、在籍していた小学校の併設の中学校の偏差値と変わらないにも関わらず、敢えて中学受験しているのは何故でしょうか。
おそらく、お子様により合う校風の学校へ受験しているのだと察します。沢山の情報が手に入る現代、その時、その時のお子様の状態に合わせて、学校を変えていくという事は、よくある事になっているのです。
一方、学年トップでも内部中学校へ進学するという選択も
附属の私立小学校に通いながらも、中学、高校進学を機に、今の自分に合う学校へステップアップしていく子がいる反面、学年トップでも、そのまま内部進学するお子さんがいるのも事実です。内部進学された御家庭に話を伺ってみると、御家庭ごとの考え方がある事に気付かされます。
- お友達関係も充実し校風も気に入っているので、敢えて外部受験する必要性を感じなかった。
- 受験するとなると、今、熱中している習い事を中断して、塾通いをしなくてはならないと思うと、外部受験することに魅力を感じられなかった。
- 偏差値の高い学校に進学した事で成績下位層となるより、内部進学し、成績上位層でいる方が、本人の性格にも合っていると感じるから
等、それぞれの御家庭の価値観に基づいている事がわかります。
つまり、お子様の進路に対して何を重要視するかを見極める事が大切です。
私立小学校に通っているけれど、塾の先生に御三家中学への受験を勧められたから等、はっきりとした意志が無いまま流されることが無いようにしたいものですね。小学校受験をする、しないにおいても、周りのお友達が受験するから…等、自分の意志に基づかない選択をする事によって後悔することが無いよう、お子様にとって何を重要視したいかを、今後もその都度、御夫婦で話し合うことが必要となります。
海外の学校も選択肢となる
私立小学校へ進学したものの、お父様が海外転勤になった…とはよくある話です。
学校によって復学制度は様々ですので、そのような可能性がある御家庭は、そのあたりの学校の制度も確認しておく必要があります。
又、国内、海外転勤のある御家庭こそ、復学制度を上手に利用して、小学校受験をさせるという考えもあります。お父様が急な転勤となっても、復学制度により戻れる学校があるというのは、何よりの安心感となります。
私立小学校を退学させて、海外の学校で学び、帰国子女枠で中学受験をさせたというお子様もいらっしゃいました。御家庭によって、今後起こりうる可能性は異なると思います。色々なパターンをシミュレーションして、幼いうちから情報を集める事は大切となります。
海外留学への興味が出てくるお子様も、成長するにつれて出てきます。
中学、高校によっては、留学制度を設けている学校もあり、1年規模の長期留学をしても留年せずに卒業出来る制度を設けている学校もあります。学校の知名度だけではなく、お子様にどのような環境を与えたいかを考えて、学校選びをすることをお勧め致します。
進路が定まらない幼いうちからの”受験”は無い?
ここまで国立、私立小学校に進学したけれども、進路変更するお子さんは多いと話してきました。それなら、まだ、進路が定まらない幼いうちから受験する必要は無いのでは…との意見も聞こえてきそうですが、実際、そのような現実を知った上でも小学校受験する御家庭は後を絶ちません。
それは何故か。
「小学校6年間の環境を整えたい」という親の想いからです。
勉学の環境だけではなく、安全面、交友関係、情操面など御家族によって大切に思う環境が整っている学校への進学を希望しているのです。
教育(机上の学習だけではなく、生活全ての学び)は後からは与えることは出来ないと言われています。勿論、地域社会に根付く公教育の良さを重要視し、敢えて、公立小学校への進学を希望される御家庭もいます。我が家にとって大事な事は何かという事に基づいて、周りに流されることなく、学校選びをする事が大切です。
気をつけなければならない事として、6年間の環境だけを考えて学校選びをしないようにする事です。
ある御家庭は、「小学校選びをする際に、併設している中学の説明会にも足を運んだ」と伺ったことがあります。お子様が中学生になった時、高校生になった時の様々なパターンをシミュレーションし、中学、高校の情報も得ながら、小学校選びをすることは極めて重要になりますね。