学習の底力になる国語力を劇的改善!能力を伸ばすコツとは?
国語力とはどんな力?
まずは国語力とはどういったことを指すのか見ていきます。
今後求められていていく国語力とは、「考える力や感じる力、想像する力、表す力など、言語が中心となった情報を処理し操作する能力」と、これらの力を支える基盤となる「国語の知識や教養や価値観、感性」などのことです。
国語力は生涯を通して使うため、自己を形成していく上でも重要な要素となると言われています。(参考:文部科学省『これからの時代に求められる国語力』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/003.htm)
なぜ国語力は必要なのか?
ではなぜ国語力が必要なのか、具体的にみていきましょう。
コミュニケーション力を磨くことができる
現代やさらにこれからの時代は、国際化が進み見知らぬ人とも意思疎通が求められる機会が増えていきます。
また少子高齢化も進んでいることで、異世代とのコミュニケーションもさらに増えていくでしょう。
こうした多様な状況下で強く求められる能力であり、能力の根源となる国語力が身についていることで、自分の気持ちをしっかり言葉で伝えたり、相手の考え方や人格を尊重したりすることができます。
また人と人との関りが求められる社会生活においても聞いたり、話したり、読んだりといった国語の力をなくしては成り立ちません。
こうしてコミュニケーションを通して人間関係を築いていくことができるのは、国語力の影響が大きいと言えるでしょう。
心を豊かにするためにも必要
そうなの?と思われるかもしれませんが、美的な感性や心を豊かにする情緒力も国語力とは切っても切り離せないものです。
何かを見てキレイだなと感じたり、人の痛みを分かち合えたり、うれしいや恥ずかしいといった感情や感性などを自分のものにする力も、国語の力を基盤にして体得されていきます。この情緒力を磨き確実に形成していくことは、教養を養っていくことにも繋がっています。
また、誠実や礼節、愛や勇気といった気持ちや情緒が形になって表れたものも、文学といった国語を通して身につけられるのです。
思考力や表現力などを養うため
これからの国際社会で生きていく上では、自分の意見を持ち述べることが必要になります。そのためには、論理的に物事を考える力や、考えを表現する力を身につけておくことが重要です。
表現のちょっとした違いにより、誤解を生じたり逆に人の心を動かしたりすることがあります。語彙力を増やすことや、教養を自分のものとしておくことが、そのような場合にも役立っていくでしょう。
また情報化社会では膨大な量の情報があふれています。莫大の量の情報を判断し処理する能力も大切です。情報を読み取り的確に判断しまとめていくことも国語力を要します。
国語力をアップするためのおすすめ方法
ではここからは国語力を伸ばすためには、どんな方法があるのかを具体的に見ていきましょう。
たくさん本を読んであげよう
国語力を育てるためには、まずは読書が挙げられますが、小さい子どもには読み聞かせがおすすめです。
読み聞かせは、子どもの言葉を発達させるためにも重要です。時に子どもは、同じ本を何度も読んでと言ってくることがあります。繰り返し読んでいると子どもの反応が様々になり、対話パターンを覚えたり驚きや発見したことを自分の声に出して言ったりします。
同じ本を繰り返し読んであげることは物語の世界をイメージしたり、絵本の面白さを味わったりすることにもつながっていきます。大人が大好きな歌を何回も聞くのと同じようなものです。繰り返し絵本を読むことに、上手につき合ってみましょう。
また年齢が上がると、読み終わった後に絵本の内容はどんなものだったか聞いてみましょう。そうすると、絵本の内容をまとめていく力もついていきます。
会話を楽しもう
家庭内でのコミュニケーションも子どもの言語能力を伸ばす方法です。
核家族化や共働きなので、以前とは家庭の環境も変化しているのが現状です。なかなか時間が取れないということもあるかもしれませんが、たまにはテレビを消す時間を作る、インターネットやゲームをしない時間を作るなどといったことからコミュニケーションを図る時間を確保してみましょう。
また3歳くらいまでの乳幼児期には親子のコミュニケーションが言葉の獲得に大きく関わっています。家庭の中でも言葉を育てるということを意識しておく必要があります。
子どもの話に質問をしてみよう
子どもが大きくなるにつれ、会話の中にさらに国語力をアップさせる効果的な声かけを加えてみるのもポイントです。
子どもがパパやママに話しかけてくるとき、5W1Hがなくて何を言っているのか分からないときはありませんか。そんなときは、「誰が」「なぜ」など不足している部分を質問して補ってあげてください。子どもは自然とストーリー展開のある会話ができるようになってきます。人に何かを伝えるコミュニケーションの場面でも役立ちます。
また会話が膨らむような質問をしてあげましょう。例えば、子どもに「今日は幼稚園でどんなことをしたの?」と聞き、子どもが「ねんどで遊んだよ」というと、どんなものを作ったのか、誰と一緒に作ったのか、次は何を作りたいかなど、会話を膨らませてあげると想像力や表現力、語彙の獲得など国語力アップにつながっていきます。
ゲームや遊びで語彙力を増やしてみよう
国語力に必要な語彙力を増やすために、楽しく遊んで学べるゲームもあります。ゲームなら子どもも楽しく語彙を覚えることができますよ。
おすすめのひとつが、しりとりです。しりとりは、子どもも積極的に言葉を使い覚えようとします。「3文字」や「食べ物」などの条件を加えてみれば、想像力も鍛えられます。
またお遊びの中でも語彙力を伸ばすことが可能です。例えば、落ち葉を見つければ何の葉っぱなのか、どんな草なのか、なんという名前の花なのか、一緒に覚えていくことができます。また親が知らないものがあっても大丈夫です。一緒に図鑑で調べてみると良いでしょう。
ゲーム感覚で名文を暗唱するのも語彙力の獲得に効果的です。いま注目のユダヤ人の教育の中でも「素読」は非常に大切にされています。時代を経ても色褪せない平家物語の冒頭部分や、寿限無寿限無などのリズムのある文を覚えてみるのもおすすめです。
文章を書くことを始めてみよう
国語力には書く力も含められています。ひらがなを上手に書くというよりは、自分の感情や考えを文章にするということになれるのが目的です。
一日の出来事を親がインタビューして、子どもがそれを文章で書いてみたり、お手紙の交換をしてみたりするのも良さそうです。
文章を書く習慣やひらがな、カタカナの読み書きができるようになっておけば、小学校に入学した際にも学習がスムーズに入っていきます。
いろいろな体験をさせよう
国語力に直接関係ないように思われますが、好奇心を持つ子どもたちに様々な体験をさせることで言葉が育つ環境が作られます。
体験の中で芽生えた感情を誰かに伝えたい、楽しかったことを友達と一緒にやりたいという欲求は、言語を発達させるうえでも重要なことです。
例えば、保育園や幼稚園であった出来事を家庭でパパやママに伝えるということもそれと同様です。
子ども達が話す内容を熱心に聞いてあげることで、またさらに話そうとすると言語の表現力を獲得していくことに繋がっていきます。
親も言動に気をつけよう
幼児期の国語力の発達には、周囲の大人の影響も多く受けます。
単語だけで話すのではなく、助詞もきちんと使用した正しい文章で会話することを心がける必要があります。
例えば、「今日何したの?」ではなく、「今日は何をしたの?」など、「てにをは」を省略せずに話しかけましょう。
また子どもが知らない言葉は使わないのではなく、積極的に使っていくことも大切です。親の言葉を吸収していくことで、子どもの言葉の知識も増えていきます。
そして、絵本の読み聞かせが重要だということを先に述べましたが、親が本を読む姿勢を見せることも重要なポイントです。親も本を読むことで、子どもも本に慣れ親しみ本を好きになってくれる可能性が高くなります。
このように、親の言動も子どもの国語力に大きく影響しているため、普段から少し意識することが大切です。
まとめ
国語力はこれからの時代にも欠かせない能力です。国語力を育てるには、幼少期から読み聞かせをしたり、会話の言葉遣いに気をつけたりと、大人のちょっとした意識改革も必要です。子ども達が大きくなるにつれ、さらに重要度を増す国語力を、今のうちから伸ばしていきませんか。
参考
加藤ひとみ・大國ゆきの(2015)『幼児期の言葉の獲得〜幼児期の発達特性と幼稚園での教育〜』東京成徳短期大学(https://tsu.ac.jp/Portals/0/site-img/tandai/bulletin/bulletin48_03.pdf)
文部科学省『これからの時代に求められる国語力』(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/003.htm)
NHK『知りたい! ことばの育て方 - NHK すくすく子育て情報』(https://www.nhk.or.jp/sukusuku/p2016/671.html)