おうちでできる簡単「花育」で子どもの感性を育もう!
花育とは?気軽に感性を育める親子の習慣
花育は主にお花を始めとした植物を通して、子どもの優しい心、感性、知識を育む教育のことです。平成19年には農林水産省により花育事業が制定されるほど、子どもの情操育成におすすめされている教育法でもあります。
生花に触れ、花の名前や産地、世話の仕方などを実際の体験を通して学ぶことで、優しさや美しさを感じる心が健やかに伸びて、大人になっても自然と花を飾るようになります。結果、生活の中での自然な美的感覚が養われるのではないかと期待されています。花にまつわることだけでなく、暮らしそのものを楽しむ心を育み、文化や教養をに親しむ下地を培えることも魅力です。特に自然の花や草木に触れる機会が少ない都市部の家庭においては、花を飾ることは意識して取り入れたい生活習慣でもあります。
季節の移り変わりの変化や、多様な花の種類、枯れていくまでの過程も含め、大人・子どもともに、多くの学びを得られます。
家庭で花育を楽しむ基本のやり方
ここからは家庭で花育を取り入れるための気軽なやり方をご紹介します。すぐに習慣づけられることなので、ぜひ子どもと一緒に花育に挑戦してみてください。
お花屋さんに足を運んでみよう
最寄りのお花屋さんに子どもと通うことを習慣にすると、花育がスムーズに定着します。
幼稚園や小学校の帰り道、お買い物のついでなど、気に入ったお花屋さんを見つけて足を運び、子どもに好きなお花を選ばせてあげましょう。季節ごとに店内に並んだ色とりどりの花々にきっと気分が上がります。
「どのお花がいい?」「今日は赤いお花がいいな」など会話を楽しみながらセレクトします。自分で店員さんにお花について質問してもらうのも良い花育になりますよね。
「これはなんていうお花ですか?」「どこから来たお花ですか?」など、お花の専門の方に直接教えてもらえるというのもお花屋さんでの花育の醍醐味でしょう。
野の花を摘んでみよう
お花屋さんで買うだけが花育ではありません。お散歩のときに偶然見つけた道端のお花を少しだけ摘んで持って帰るというのも立派な花育です。
自宅に持って帰って植物図鑑で種類を調べたり、花言葉を調べたり、自分で調べたいタイプの知識欲旺盛な子どもにとっては好奇心を広げるきっかけにもなるでしょう。
手に入れたお花は優しく持ち帰ろう
お花はとってもデリケートな存在です。乱雑に扱うとすぐに傷んでしまうので、お花屋さんではビニールや紙に包んで持ちやすくしてくれます。それを子ども自身に持って帰ってもらうことで、大切に扱う動作や注意深さも身につきます。
野に咲くお花を摘む場合は、自宅からチラシや新聞紙、輪ゴムをあらかじめ持参しておくと同様に包むことが可能です。
時には失敗して折れたり傷んだりしてしまうことがあっても、それ自体が学びにつながると思っておおらかに接することがポイントです。
花を飾るときのポイント
無事自宅にお花を持って帰れたら、好きなフラワーベースやガラス瓶などを用意して早速飾ります。家の中のどこに飾るかを子どもと一緒に考えるのもおすすめです。
例えば、トイトレ中の子どもならトイレに飾ると「お花を見に行こう」と誘導する際の一助にもなります。玄関に飾るなら、朝の出発時にお花に声をかけて出かけることを習慣づけるのも良いのではないでしょうか。
そして、せっかく手に入れたお花はできるだけ長く飾りたいもの。生花を長持ちさせるポイントは以下の通りです。
まずは水切りをして飾ること
持ち帰った花は茎先が乾かないうちに水の中で茎先を斜めにカットします。水の吸い上げ面を多くするための一手間です。
生けている水と茎先に菌を発生させないこと
花を長持ちさせる秘訣は、水と茎先の雑菌繁殖を防ぐこと。そのためには毎日の水換えと、茎先をちょっとずつカットして水の吸い上げ力をキープすることが大切です。また、菌を繁殖させないために水の中に界面活性剤入りの食器用洗剤をほんの少し入れたり、お酢や10円玉を入れたりすることも有効です。
直射日光やエアコンの風が当たらないところに飾る
切り花は強い風、急激な温度の変化で傷みやすくなります。お花はデリケートで温度が高いほどに葉や花から水分を蒸発させるため、より多くのエネルギーを消耗させるのです。できるだけ花にとって穏やかな環境に飾るよう、少し注意してみてください。
枯れてしまったら感謝して処分する
お花は私たちと同じように命を持って生きている存在。そのことを子どもに実感してもらうことも花育の重要な役割です。買ったときはイキイキとしてきれいだったお花でも、いずれは元気を失って枯れていきます。
美の有限さや儚さ、短いからこそ慈しんで楽しむことの大切さをしっかりと感じながら、枯れてしまったお花に感謝をして処分してあげてください。
このように、お花との出会いから別れまで一連のお世話やお手入れを、子ども主導で行ってもらうとより花育の学びが深められるでしょう。
花をアレンジして長く楽しむアイデアも
飾ったお花が枯れてしまう前に、自宅で押し花やドライフラワーにアレンジして長く保管する方法も花育の一環としておすすめです。
基本の押し花にアレンジ
ここからは自宅で押し花をつくる基本方法をご紹介します。
お花をティッシュで優しく挟み、新聞紙でさらに挟んでシリカゲルと一緒にジップロックに入れます。その上から重たい辞書や図鑑などクッション性のある重しを置いて、2〜7日程度放置、水分がしっかりと蒸発すれば押し花の完成です。取り出す際に押し花が壊れてしまわないように注意してくださいね。
完成した押し花はラミネートして栞にしたり、フレームに入れてインテリアとして飾ったりすることで長い時間子どもと楽しめます。
電子レンジでドライフラワーにアレンジ
お花は風通しの良い場所に吊るして自然とドライフラワーになるのを待つというのも一つの方法ですが、色鮮やかさを保って短時間でドライにしたい場合には電子レンジを使うという方法もおすすめです。
やり方は次の通り。
- 電子レンジOKの容器の中に、シリカゲルをまんべんなく敷きつめます。
- お花部分だけを残すように、茎部分を切り取ったものを重ならないように並べます。
- お花全体を隠すように、シリカゲルを投入して覆います。(このとき、花弁の隙間にもシリカゲルが行き渡るようにしっかりと入れましょう。)
- そのままフタをせずに電子レンジ600ワットで加熱し、20秒ごとに止めて焦げていないか様子を確認して下さい。
- トータルで1分半ほど加熱し、さっとシリカゲルを取り除いたら簡単ドライフラワーの完成です。
完成したドライフラワーは髪飾りなどにアレンジして子どもにつけてあげても良いですね。自宅のインテリアとして飾るなら、大きめのガラスケースなどを用意して花育のたびに数を増やしていくというのも、コレクション要素が増して面白いかもしれません。
アレンジ次第では、処分する以外にも様々な活用方法が思い浮かぶというのもお花文化の間口の広さならでは。ぜひ子どもといっしょに、お花をアレンジするか、そのまま飾って枯れるまでを楽しむか、というところも話し合いながら挑戦してみてください。
花育のお供におすすめの本をご紹介
続いては花育に役立つおすすめ書籍をご紹介します。本棚の手に取りやすい場所に置いておけば、子どもが自主的にお花について調べるきっかけになるでしょう。
小学館の図鑑 NEO 花
子ども向けの図鑑として定番なのが「小学館の図鑑NEO」シリーズ。こちらは白背景で美しい花々の写真が詳細な説明と共に掲載され、年齢問わず知識を深めやすい工夫がされています。ドラえもんのオリジナルDVDもついているので、楽しくお花の勉強ができること間違いなしですよ。
花屋さんで人気の421種 大判花図鑑
お花屋さんでの購入をメインに花育を深めていくなら、こちらの書籍がおすすめです。お花屋さんにラインナップされている花の種類を幅広く網羅し、市場価格や時期、長持ちするアレンジなど、お花のある生活を実践するための情報がぎゅっと詰まっています。
ちいさな花言葉・花図鑑
花言葉の視点からお花への興味を深めるというのも一つの手。こちらの書籍ではお花屋さんで手に入る花、197種類の花言葉を厳選して紹介しています。綺麗な言葉並びが満載なので、小学生くらいの子どもと一緒に読むと語彙の勉強になることも魅力です。
まとめ
花育と聞くと少しハードルが高そうな印象がありますが、実はとっても気軽に挑戦できる教育法です。難しい勉強や訓練を行わなくても、「暮らしを楽しむ心」「小さな命を愛でる心」を日常の習慣の中で深められます。ぜひお花屋さんや散歩の途中でお花と触れ合って、子どもの柔らかな感性を育ててあげてくださいね。
参考
- 農林水産省『特集1 花のある暮らし(7)』https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/0908/spe1_07.html
- 青山花茂BLOG『切り花を長持ちさせるには?老舗生花店がお答えします』https://www.aoyamahanamohonten.jp/blog/2020/07/28/keep-flowers-fresh/
- Creema『プロに教わる押し花を綺麗に作るコツ。アイロンやレンジで簡単!押し花の作り方』https://www.creema.jp/blog/631/detail