海外の子育て事情とは?日本の子育て・しつけとどう違う?
アメリカの子育て・しつけ
アメリカでは、子育ての最終目標は「子どもの自立」と考えられているといいます。そんなアメリカでは、子育て・しつけにどのような特徴があるのでしょうか?
赤ちゃんから子ども部屋で過ごす
日本では小学校低学年以降に子ども部屋を与える家庭が多いですが、アメリカでは赤ちゃんの頃から子どもは子ども部屋で過ごすといいます。添い寝の文化が浸透している日本とは違い、ママやパパとは別室で眠るのが一般的なのだとか。
赤ちゃんの様子がわかるよう、子ども部屋にはベビーモニターなどを設置しておき、子どもが泣いたら対応するようです。
褒める頻度が多い
謙遜の文化がある日本では、とくに人前では子どもをなかなか褒めないという家庭も少なくありません。しかしアメリカでは「Good boy!/Good girl!(いい子ね!)」「Excellent!(すばらしい!)」「Nice try!(よく挑戦したね!)」などの声掛けで子どもを頻繁に褒めるそうです。
ほかにも「I’m proud of you」というフレーズも使われることが多いといいます。直訳すると「私はあなたを自慢に思う」ですが「頑張ったね」「やったね」などの意味合いで使われることが多いのだとか。
子どもを褒めることは、子どもの自信や自己肯定感を育むことにつながるといわれているので、日本の子育てでも取り入れていきたいものですね。
タイムアウトで反省を促す
アメリカの子育てというと「タイムアウト」を思い浮かべる人も少なくないのではないでしょうか?日本でも度々話題にあがるしつけ法ですが、具体的にどのようなものなのか気になりますよね。
子どもが危ないことや悪いことをしたとき、ママやパパが注意してもまた同じ行動をとることもあるでしょう。そんなとき「子どもの年齢×1分」を目安に、自分の部屋や部屋のすみなどで過ごさせ、落ち着かせるのがタイムアウト法です。
感情のまま子どもを叱ってしまうと、子どもも大人もヒートアップしてしまいがちですが、一度冷静になる時間を作ることで、互いに気持ちを落ち着けることができるでしょう。また興奮している子どもにとって、大人の話をしっかりと聞くのは難しいため、落ち着いてから諭したほうが理解がしやすいかもしれませんね。
しかしなかには、子どもがタイムアウトを罰だと認識してしまったり、孤独感や恐怖心を感じてしまったりすることもあるといいます。そうならないよう、タイムアウト前にタイムアウトをする理由を説明し、タイムアウトが終わったら褒めたり抱きしめたりして子どもへ愛情を伝えてあげましょう。
タイムアウトの目的は、あくまで「気持ちを落ち着かせること」なので、押し入れに閉じ込めるなど恐怖心を煽るようなことがないように注意が必要です。
自己主張を重視する
アメリカでは、自分の意思を自分自身で伝えることが重視されるといいます。そのため子どもに関することは、基本的に子ども自身に選ばせるのだとか。日本では自分の意見をはっきりと口にせず、遠回しに伝えて察してもらう風潮がありますが、アメリカでは受け身で察してもらうことは難しいでしょう。
お金についての教育を徹底している
アメリカでは義務教育である高校を卒業したあとは、家を出て自立するのが一般的だといいます。日本では大学や専門学校などの学費を保護者に用意してもらうことが多いですが、海外ではそうした学費も学生ローンなどを利用して子ども自身が用意するケースも少なくないのだとか。
そんな経済的な自立のため、金銭感覚を養う教育を早くから始める家庭が多いようです。お手伝いや何かを努力したときの対価としてお小遣いをもらったり、欲しいものができたら自分でお金を貯めて買ったりするだけでなく、なかには小学生から株をする子どももいるというのだから驚きですね。
大人と子どもが対等に話す
日本では、小さな子どもに対して声のトーンや言葉遣いを変えて話しかけることが多いですが、アメリカでは言葉が理解できない子どもに対してでも、大人に接するときと同じように話すのだそうです。
また大人が子どもに対して悪いことをしてしまったとき、日本では軽く謝って済ませることも多いですが、アメリカでは大人同士のときのように丁寧に謝るというのも大きな違いといえるでしょう。
イギリスの子育て・しつけ
イギリスでは、どのような子育てやしつけが行われているのでしょうか?
体罰は法律で禁止されている
イギリスはもともと体罰に対しておおらかな考えがあったそうですが、1986年に法律によって公立学校での体罰が禁止されたといいます。それによって、学校ごとに生徒を叱る基準を設けるようになったようです。
日本の学校では、そうした基準は担任の方針によって左右されるところも多いため、学校全体で指導のガイドラインを徹底しているという点はイギリスの教育の大きな特徴といえるかもしれません。
またイギリスでは、学校での叱り方も一風変わっていて、軽い注意を受けても改善が見られない場合、サッカーのレッドカードシステムのように、警告を受けた回数に応じて三種類のカードを渡すのだといいます。
厳格なマナー教育
イギリスでは礼儀が重んじられていることから、マナー教育を徹底しているそうです。日常的な挨拶はもちろん、お礼やお詫びをするときのマナーや食事の際の礼儀作法、目上の人との接し方などを小さいころから教わるといいます。
子どもと両親は別室
イギリスでは生後半年頃までは両親と同室で過ごすことが多いそうですが、それ以降は子ども部屋でひとりで眠るトレーニングを始めるといいます。日本に比べて夫婦の時間が重視されているという理由だけでなく、子どもの自立を促す意味もあるのだそうです。
フランスの子育て・しつけ
フランスには、どのような子育て・しつけの特徴があるのでしょうか?
母乳にこだわらない家庭が多い
日本では母乳育児にこだわりを持つ人も少なくありませんが、フランスでは早くから粉ミルクに切り替えて子育てをする家庭が多いといいます。共働き家庭が多く産後の社会復帰が早いことはもちろん、胸の形の変化を気にする女性も少なくないことも大きな理由の一つなのだとか。その分フランスでは、粉ミルクの種類が豊富なのだそうです。
ただし近年は母乳育児にも注目が集まっており、以前と比べ母乳育児を続ける人が増加傾向にあるといいます。
赤ちゃんから挨拶のしつけを徹底
日本では、小さな子どもがきちんと挨拶をできなくても「恥ずかしいのね」などとおおらかに済ませることが多いですよね。しかしフランスでは挨拶は「するべきもの」として認識されており、0歳から「挨拶のときに手を振る」といった挨拶のしつけを行っているといいます。
子どもが挨拶をしない場合、ママやパパに限らず周囲の大人が挨拶をするよう注意するというのだから、徹底されていますよね。さらにフランスの挨拶ではアイコンタクトが重視されているため、よそ見していてはマナー違反になるようです。
ただしフランスの挨拶というと、頬へのキスをイメージする人も少なくないかもしれませんが、キスをするかどうかは子どもの意思にゆだねられ、強要されるものではないといいます。
子どもを過度に子ども扱いしない
日本では「子どもは子どもらしく」という風潮がありますが、フランスでは早くから大人社会に適応させるものだと考える人も多いようです。言葉で意思疎通を図ることに重きが置かれているため、未就学児でも大人と同じような口調・言い回しで自分の権利を主張することも少なくないといいます。
ただし子どもはそうした主張をきちんと聞いてはもらえるものの、最終的な決定を下すのは大人の役割なのだとか。
フィンランドの子育て・しつけ
フィンランドは共働き世帯が多い国ですが、仕事と私生活双方の充実に対する意識が高いことから残業の習慣がなく、日々の親子の時間は平均3時間と長いのが大きな特徴かもしれません。そんなフィンランドでは、そのような子育て・しつけが一般的なのでしょうか?
家族の時間を重視する
フィンランドには、残業の習慣がないとご紹介しましたが、子どもを塾に通わせる風潮もないといいます。そのため、夕方以降は家族の時間となり、食事をしながらたっぷりとコミュニケーションをとるそうです。
大声はマナー違反
日本では「多少子どもが騒いでしまっても仕方がない」という考えがありますが、フィンランドでは子どもが大きな声を出さないよう、厳しくしつけるといいます。日本で推奨されるような「元気に大きな声で挨拶をする」というのも、フィンランドではマナー違反に当たるのだとか。
また子どもだけでなく、大人も人前で子どもを大きな声で叱るのは控えるべきと考えられているそうです。
中国の子育て・しつけ
子どもの自由を尊重する中国では、どのような子育てやしつけが行われているのでしょうか?
食事に関するマナーはおおらか
中国では、子どもの自由を尊重するという考えから、子どもの食事のマナーに対して寛容だといいます。食事を残したり、食事の途中で遊んだりしても叱らない家庭が多いようです。
トイレトレーニングの時期が早い
中国では、トイレトレーニングを1歳になる前から始める家庭が多く、1歳を過ぎるころにはおむつが外れているケースが多いのだとか。一方で、周囲にトイレがない場合は木陰などで済ませることも珍しくないようです。
一部の地域では、ズボンを脱がずに排泄ができる「カイタンクー」という股割れズボンを活用することもあるといいます。
質問形式で叱る
中国では子どもを叱るとき、さまざまな質問を投げかけながら何がいけなかったのか説明するといいます。子どもにとってわかりやすい言葉で、論理的に諭していくことで、子どもも何が悪かったのか、どうすればよかったのか理解しやすそうですね。
また中国はもともと「叱る文化」が根強く子どもを厳しくしつける家庭が多かったそうですが、一人っ子政策によって子どもの数が減少したこともあり、近年は厳しいしつけを行う家庭は減少しているようです。
家庭教育に国が介入
中国では、近年子どもに関する規制が度々出されているといいます。「18歳未満の子どものネットゲーム利用制限」「子どもの宿題・塾通いの負担を軽減する双減政策(宿題の減量および塾・家庭教師等の禁止)」のほか、細かなしつけや保護者の責任にまで言及した「家庭教育促進法」も2022年より施行されています。
さいごに
国によって子育てやしつけに対する考え方の違いは大きいため、海外の子育て事情に驚いた方も多いのではないでしょうか?ただし、日本人にとって当たり前の子育ても、海外では考えられないものだとされることも。
例えば、日本では異性であっても親子でいっしょにお風呂に入ることも多いですが、海外では虐待を疑われてしまうこともあるといいます。さらに日本では子どもだけで留守番をさせることも少なくありませんが、海外では子どもを一人にすることは禁止されていることも多いため、短時間であっても罰せられる可能性があるのだとか。
ホテルの部屋や自宅であっても、子どもの留守番を禁止している国や地域は少なくないため、海外旅行などの際には注意してくださいね。