最近増えている「孫育て」って?祖父母に伝えておくべきことを解説
孫育てとは
孫育てとは、パパやママが育児で困ったときに、祖父母が子どもの世話を手伝うことを指します。子育て困窮世帯やひとり親世帯、働くママが増加したこともあり、祖父母による孫育てが期待されています。
2013年に内閣府が20代~40代男女を対象として「家族と地域における子育てに関する意識調査(※)」を行いました。この調査によると、子どもが小学校に入学するまでは、「祖父母による家事や育児の手助けが望ましい」と回答する人が8割ほどと、祖父母の手助けを必要としていることが分かります。
※ 内閣府|平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」報告書(https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13024511/www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h25/ishiki/pdf/2-2.pdf )
孫育てのメリット
孫育てはパパやママの育児をサポートできるだけではなく、子どもや祖父母にもメリットがあります。子どもやパパやママ、祖父母が孫育てで得られるメリットについて詳しく解説します。
祖父母にとってのメリット
孫育てをすることで祖父母が得られるメリットは多いようです。
- 楽しみや生きがいが増える
わが子が大人になり家を離れてしまい「空きの巣症候群」になっている祖父母も多いかもしれません。孫育てをすると子ども(孫)を介して祖父母間の会話が増え、催促をしなくとも子ども(孫)に会える機会が増えるでしょう。 - 若返る可能性も
孫と関わることで、祖父母の老化防止も期待できるようです。孫育てをしていると、幼稚園や保育園、習い事の送迎などでいろんな人と会う機会が増えます。中には、孫繋がりでできた友人と外出する人も。このような新たな刺激が、祖父母の若返りに一役買っているのかもしれません。
パパ、ママにとってのメリット
祖父母に孫育てをしてもらうことで、パパやママにはどんなメリットがあるのでしょう。
- 身体的、精神的に助かる
共働き家庭では、祖父母が助けてくれることで生活が回っている人も多いはず。子どもが病気になってしまったときに頼れる祖父母がいるだけでも、仕事と家事を安心してこなすことができます。孫育ての時間があるとパパやママのプライベート時間も確保しやすいので、子どもとも気持ちに余裕をもって向き合うことができるでしょう。 - 子どものことを相談できる
祖父母が常に子どもの世話をしてくれるため、子どものことを理解してくれています。そのため、祖父母に子どものことを相談しやすくなります。子育てで悩んだときの心強い相談相手として、的確なアドバイスや考え方を提案してくれるでしょう。
子どもにとってのメリット
もっとも重要となる子どもにとって孫育てのメリットをみていきましょう。
- 自己肯定感が高まる
例えば、子どもが友だちとケンカして落ち込んでいるとき、パパやママだと「○○(子ども)がこうしたらよかったじゃん」と子どもを説教するような言葉かけになってしまいがち。しかし、孫育てする祖父母は子どもの味方となって安心させてくれるでしょう。パパやママ以外からの愛情を与えてくれる祖父母は、子どもの情緒を安定させ自己肯定感を高めてくれる存在となるはずです。
- 思考の柔軟性が高まる
祖父母は、子どもに親以外の大人の価値観と考え方を教えてくれる存在です。
身近な大人の存在が親だけではなく、日頃から祖父母と関わることで、子どもの思考の柔軟性を高められるでしょう。
- 高齢者への理解が生まれる
日常的に祖父母の優しさに触れている子どもは、祖父母のような高齢者に対する理解や親切心が芽生えます。電車やバスなどで高齢者を見かけたときに座席を譲ったり、困っている人へ手を差し伸べたりする気配りができるようになるでしょう。
祖父母に孫育てを協力してもらうときの注意点
祖父母が孫育てしてくれることは決して当たり前ではありません。祖父母に孫育てを協力してもらうときに、パパやママが注意しておくべきことを解説します。
祖父母の体力面を考慮
パパやママがいつもやっているから、これくらいは祖父母に任せても大丈夫と思ってしまいがち。しかし、祖父母は体力面だけでなく精神面でもキツイと感じてしまうかもしれません。
そこで、祖父母に孫育てを協力してもらうときは「今日は大丈夫だった?」「○○したいって言ってるんだけど、任せてもいいかな?」など祖父母の体力面や精神面を気にかけながら、祖父母に無理のない範囲でサポートしてもらいましょう。
祖父母の手助けに感謝する
祖父母だからと言って、孫育てをしてもらえることは決して当たり前ではありません。孫育ては、体力を使うことが多く大変です。しかし、祖父母はパパやママの負担を少しでも軽減しようと、頑張ってサポートしてくれています。そんな祖父母に対して常に感謝心をもち、「協力してくれてありがとう」と言葉などで表現することも大切です。
育児に関する世代間のギャップを理解する
祖父母が子育てしていた時代と比較すると、子育てに関する常識は変化しています。お風呂への入れ方、離乳食やおやつの与え方など、あらゆる場面で祖父母がもつ子育ての常識に違和感をもつこともあるでしょう。
祖父母に子どもを預ける前に、パパやママは事前に今と昔の子育てに関する常識の違いがあることを知っておきましょう。そして、祖父母に子どもの世話をお願いするからには、ダメ出しはNG。子育てでどうしても譲れないことがあるなら、祖父母に事前に伝えておくのが孫育てのマナーです。
今と昔の子育ての違いとは
祖父母の子育てに対する常識と今の子育ての常識には違いが多くあります。今と昔の常識の違いを5つご紹介します。
抱っこ
昔は、「抱っこ癖がつくし、少しくらい泣かせておいた方が子どもの肺も鍛えられる」という考えで、子どもが泣いてもすぐに抱っこしていませんでした。
しかし現在は、子どもの肺が強くなるという医学的根拠もなく、子どもの泣き声によるご近所トラブルを防ぐためにも、子どもをすぐに抱っこすることが多いです。子どもは泣くことで「眠い」や「お腹が空いた」、「オムツが汚れていて気持ち悪い」などを訴えています。そんな子どもの気持ちを落ち着かせるためにも抱っこは必要と考えられています。
スキンケア
祖父母時代の子育てでは、お風呂上がりの子どもには汗疹(あせも)を防ぐために、肌が真っ白になるくらいベビーパウダーをつけていたそうです。しかし、ベビーパウダーを多量につけると毛穴をふさいでしまい、汗の排出を妨げてしまいます。今は肌が白くなるくらいベビーパウダーをつけることは推奨されていません。子どものお風呂上がりは、肌の乾燥を防ぐためにベビーオイルやベビーローションをつけて、肌ケアをしてあげましょう。
日光浴
昔は、子どもには日光浴をさせて、体内でビタミンDを生成して栄養を補うことが推奨されていました。しかし、現在では紫外線が強く、肌へ悪影響を与えてしまいかねません。今は、体に直接日光を浴びせる日光浴ではなく、外の光や空気に触れる外気浴が主流です。
卒乳
卒乳しなければ歯並びが悪くなるからと、子どもが1歳ごろには卒乳すべきだと言われていました。しかし、実際には歯並びが悪くなるという医学的根拠がないこともあり、今は子どもが母乳を欲しがっているのならいつまで与えてもOKとされています。
白湯や果汁
昔は、お風呂上がりには子どもに白湯を飲ませたり果汁を与えたりすることが推奨されていました。しかし、子どもに白湯や果汁を与えてしまうと満腹になってしまい、ミルクや母乳の栄養補給の妨げになってしまいます。また、アレルギーや虫歯のリスクを高めてしまう可能性があるので、今の子育てでは生後6カ月未満の子どもに白湯や果汁を与えるのはあまり推奨されていません。
孫育てをしてもらう祖父母とあらかじめ共有しておくこと
祖父母が安心して孫育てできるように、パパやママはあらかじめ子どもに関する必要な情報などを伝えておくことが大切です。孫育てをしてもらう祖父母には事前にどのようなことを伝えておくべきなのか、また、教えてもらっておくべきなのかを詳しく解説していきます。
孫育てを協力してもらえる時間を教えてもらう
祖父母が孫育てに協力してもらえる時間を教えてもらっておきましょう。子どもがまだ小さいと幼稚園や保育園などで病気をもらってしまい、思わぬ時間にお迎えが必要になってしまうなど、想定外の出来事が起こることも多いでしょう。そんなときに祖父母の予定が分かっていると、パパやママが仕事で動けなくても、祖父母に協力してもらえるかもしれません。
子どもの好きなものや苦手なものを伝えておく
小さい子どもは思いがけないものごとで怖がったり、予想外のものを好んだりすることがあります。子どもの苦手なものや好みのものを祖父母が理解していると、子どもと祖父母のコミュニケーションもスムーズに進むでしょう。
子どもへのプレゼントは事前に確認してもらう
孫に誕生日プレゼントを贈ることを楽しみにしている祖父母も多いはず。子どものために張り切っているのはパパやママももちろん嬉しいでしょう。
しかし、プレゼントするものがかぶってしまうと、パパやママだけではなく祖父母や子どもも複雑な気持ちになってしまいます。また、そのプレゼントがパパやママの意向にも沿っているか分からないので、子どもにプレゼントしたいものは事前に相談してもらうようにしておきましょう。
孫育て活用グッズ4選
祖父母が孫育てをするときに活躍してくれるグッズをご紹介します。パパやママが子どもの孫育てをお願いするときに、この孫育て活用グッズをプレゼントするのもいいかもしれませんね。
だっこふとん
生まれたばかりの子どもを抱っこするとき、首のグラつきを予防し、腕の力が弱っている祖父母でも長時間抱っこしやすくしてくれるグッズです。
広げると、お出かけ先でも寝かせてオムツ替えができます。また、抱っこふとんなら子どもがすやすや眠っているので、抱っこのバトンタッチがスムーズにできます。
ほほほ ほ乳瓶
視力が低下してくる祖父母が子どもにミルクをあげるために作られた哺乳瓶。普通の哺乳瓶に比べて目盛りが大きく書かれているので、湯量の測り間違いを防ぎ、子どもの火傷を予防できます。また、哺乳瓶の本体の表面には凹凸があり、握力が低下してしまっている祖父母でも安心してミルクを与えることができるでしょう。
車用ステッカー
孫育てをしている祖父母は、子どもの送迎や、お買い物に車で行くことがあります。そんなときに、祖父母の車に「たまに孫がのっています」というステッカーを貼ってもらっておくと、事故などのトラブルに巻き込まれてしまったときも安心です。
祖父母手帳
孫育てをする祖父母のために作られた祖父母手帳。日本助産師会が出版している「おまごのほん」では、今と昔の子育ての変化、絵本やおもちゃの選び方など、さまざまなコンテンツに対して助産師が答えており、初めて孫を迎える祖父母におすすめの1冊です。
祖父母手帳は一部の自治体では無料配布されているところもありますので、お住まいの地域で配布されているか、一度確認してみてくださいね。
おまごのほん|日本助産師会
さいごに
時代に合わせて育児のスタイルも変化し、増えてきた孫育て。喜んで孫育てを引き受けてくれる祖父母も多いかもしれませんが、なかには孫育てを頑張りすぎて無理をしてしまう祖父母も。孫育てに協力してもらう際、パパやママは祖父母の体調を気遣い、祖父母に感謝の気持ちを伝え、そして子どもにはたっぷり愛情を注いで育てられる環境を整えてあげましょう♪
参考サイト
- 悩まにゅある|孫育ては楽しいけど疲れる?祖父母が自分の人生も大切にしながら孫育てをするコツ(https://nayami-manual.com/1735/ )
- なごくら|【孫育の不安解消!】昔と今の育児の違い7選(https://nagokura.com/apps/note/ikujinochigai20211221/ )
- Hanako|「孫育て」にも役立つ、今と昔の子育ての違い (食事編)(https://hanako.tokyo/mama/339146/#heading-1 )
- NPO法人 孫育て・ニッポン|孫育て10カ条(https://www.magosodate-nippon.org/10kajo )
- Reライフ|孫のためにできることは? 主な方法や注意点、参考事例を紹介(https://www.asahi.com/relife/article/14879343 )
- 内閣府|平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」報告書(https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13024511/www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h25/ishiki/pdf/2-2.pdf )
- ダイヤ高齢社会研究財団|祖父母による孫育てと子どもの発育(https://dia.or.jp/disperse/dianews/pdf/dianews_no97_04.pdf )