子どもの使った習字の筆は洗う?洗わない?習字をすることによるメリットと正しい筆のお手入れ方法も紹介
子どもが習字から得られるものとは?
子どもが習字をするメリットは、ただきれいに文字を書けるようになるだけではありません。習字で文字を書くときは、書き順、文字のバランスやとめ、はね、はらいなど、注意して書く必要があるため集中力が必要になります。子どもが正しく文字を書こうとすることで、集中力向上にもつながるのです。
また、キレイな文字を書くためには、正しい姿勢で書くことが大切です。正座をして背筋をまっすぐ伸ばして書くことで、自然と日常の生活でも正しい姿勢を意識するようになるでしょう。
習字に使う道具
習字をはじめるうえで必要になるのが、習字道具です。ここでは、習字に使用する6つのアイテムを紹介します。
筆
習字をはじめて行う子どもには、大筆と小筆を揃えます。筆は楷書を書くのに適した、少し毛が硬めでハリのあるものを選ぶと良いでしょう。
また、筆の穂先が尖っていて、全体的に毛がまとまっているものがおすすめ。筆によっては毛先がすぐに割れてしまうものもありますが、筆のお手入れ方法によっては筆の劣化に影響するので、お手入れはしっかり行いましょう。
墨
墨には、液体タイプと固形タイプがあります。はじめのうちは、すり出して使う固形墨ではなく、手軽に書きはじめられる墨液がおすすめ。
固形墨を使用する場合は墨液になるまで手間がかかりますが、水から墨へと変化することを、子どもは楽しむことができるでしょう。
硯(すずり)
硯とは墨を水でするために使用する、石・瓦などで作られたもの。プラスチックでできた硯もありますが、固形墨をすって使う場合は、必ず石の硯を使用しましょう。
硯は墨や紙と違い消耗品ではないため、正しく使用し、しっかりとお手入れすることで長く使用できます。
紙
習字で使用する紙には大きさや素材、値段など、さまざまな種類があります。そのなかでも、半紙は子どものころから使用する一般的なサイズのため、はじめて準備するときは半紙を購入すると良いでしょう。
半紙によって紙の厚さはさまざまですが、薄過ぎると書くときの筆圧や墨の染み具合でやぶれやすくなるため、はじめての人には向きません。
筆運びに子どもが集中できるように、少し厚みのある半紙を選ぶことがおすすめです。
下敷き
下敷きは習字を書くときに、紙の下に敷くもの。フェルト製で紺色や黒色のものが主流ですが、文字を書く位置がわかりやすいように、ガイドとなる線が入っているものもあります。
はじめのうちはガイドのある下敷きが書きやすい場合もありますが、ガイドなしでも書けるようになるのが理想的です。
なお、フェルト製の下敷きは机の上で滑りやすいため、裏側に滑り止めのついたものが良いでしょう。
文鎮
文鎮は、書くときに紙がずれないよう、紙の上に置くおもしのこと。半紙は薄くて軽い紙なので、書くときに紙を抑えるものがなければ、簡単にずれてしまいます。
文鎮は滑りにくくて錆びにくいものを選ぶことがおすすめ。紙がずれないことで、子どもの気が散らずに、集中して文字を書くことができるでしょう。
筆のおろし方と洗うタイミング
新しい筆を購入したときは、使用する前の準備が大切になります。そのため、筆のおろし方や洗うタイミングをチェックしておくと良いでしょう。
まず、大筆の場合はぬるま湯に筆先をつけてやさしくほぐしていき、筆ののりが取れたら、布でていねいに水分を拭き取ります。
小筆の場合は、穂先の3分の1くらいを目安とし、ぬるま湯につけていきます。そして、大筆のときと同様に、手でていねいにほぐして布で水分を拭き取りましょう。
水分を拭き取るときは、布の上で回転させながら拭き取っていくことがポイント。筆を長持ちさせるためには、使用したあとは毎回筆を洗うようにしましょう。洗いすぎるとすぐに筆がダメになるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、しっかりと洗っておくことで筆の劣化を防げます。
習字道具の基本的なお手入れ方法
ここからは、子どもの習字道具をなるべく長くキレイに使えるよう、基本的なお手入れ方法を紹介します。
大筆
大筆を使用したあとは容器に水をためて、そのなかで筆をふるように動かし、筆についた墨を落としていきます。
筆の根元の墨が残っているときには、根元をやさしくもみほぐすように洗うことがポイント。何回か水をかえながら、毛をもんでも墨が出なくなるまで洗いましょう。
洗ったあとはやさしく筆の毛の水分を取り、筆先の形を整えてから筆を吊るし、自然乾燥させます。しっかりと乾燥させることが切れ毛防止のコツです。
小筆
小筆はもともとのりで筆の毛が固められた状態で売られており、全体ではなく毛先の3分の1程度をおろして使用するため、使い終わったあとに洗う必要はありません。
ティッシュペーパーや使わない半紙などの紙に水分を少し含ませ、そこに毛先の3分の1程度の部分だけを寝かせるようにして墨を拭き取ります。紙に墨がつかなくなったら、筆の毛の形を整えて筆を吊るし、自然乾燥させましょう。
硯
使い終わった半紙や新聞紙などである程度墨を拭き取ってから、ぬるま湯で残りの墨を流します。墨が硯に残っていると墨がガチガチに固まってしまうため、隅々までしっかりと洗いましょう。
洗うときに強くこすりすぎると、硯が割れる原因になるため、ぬるま湯とスポンジを使用し、やさしく洗い上げることがポイント。さいごに、自然乾燥させてお手入れ完了です。
下敷き
習字用の下敷きは基本的には洗わないようにします。下敷きについた汚れは濡れた布などで拭き取るか、ぬるま湯でやさしく汚れている部分をほぐしながら汚れを落とします。ぬるま湯で汚れを落とした場合は、しっかり水分を取ってから陰干して完了です。
どうしても汚れが気になって洗いたいときは、洗剤を使用せずに洗いましょう。
習字道具は家のなかのどこで洗う?
墨の汚れは、なかなか落ちにくいもの。家庭で習字道具を洗うときに、墨の汚れが目立ちそうなまっ白な洗面台などで洗うと、墨の汚れが落ちなくなる可能性があるため注意が必要です。
家のなかで洗う場合は、ステンレス製のキッチンの流し台で洗うと良いでしょう。家に庭がある場合は、庭の排水溝などで洗うのがおすすめです。
お手入れしていても筆が傷んだら?
「お手入れしてるのに筆が傷んでしまった」という方もいるかもしれません。ここからは筆の根元ののりが取れてしまった場合や、毛先が割れた場合の対処法を紹介します。
筆の根元ののりが取れてしまった場合
購入したときについている筆の根元ののりが取れてしまうと、毛がボサボサになり広がってしまいやすくなります。熱いお湯やせっけんでゴシゴシ筆を洗い、毛の油分やのりも流れ落ちてしまうことが原因です。
毛が広がってしまったときには、毛の根元のほうから毛先に向けて隙間なく糸を巻いて吊るし、保管すると良いでしょう。
毛先が割れた場合
筆を洗わないまま放置したり洗い残しがあったりすると、毛先に残っている墨が固まり、毛先が割れてしまうことがあります。その場合は、ぬるま湯に毛の部分をひたしてほぐし、墨の固まりをもみだすように、ていねいに墨を取り除きましょう。
お手入れに役立つおすすめの便利グッズ
最後に、習字道具のお手入れにおすすめのグッズを紹介します。
呉竹『洗って落ちる書道液練習用』
墨が服につくと、洗濯してもなかなか落ちにくいもの。そこで、おすすめなのが『洗って落ちる書道液練習用』の墨液。墨を洗濯で落とすことができるのはうれしいですね。
リピカ『筆用洗浄剤 筆シャン』
筆の根元に墨が固まることで筆先が割れるのを防ぎたいときにおすすめの商品。墨に含まれている筆の毛を硬くする成分を、天然由来の植物酸を配合した洗剤で取り除いてくれます。
ゴッドハンド『神ふで ブラシメンテグルー ふでのり』
筆先お手入れの仕上げ用に開発された、安全な水溶性のりです。ばらけてしまった筆先のカタチを、キレイに整えるときに役立ちます。
さいごに
子どもが習字をすることによって得られるメリットを最大限に引き出すためには、道具を正しく使わなければなりません。
筆の毛がパサパサしていては、キレイな文字を書くことができないでしょう。そのため、しっかりとお手入れをすることが大切です。習字道具のお手入れをていねいにすれば、長く使いつづけることができます。
また、時間がたった墨の汚れは落ちにくいため、早めに墨の汚れを落としておくとお手入れがしやすくなりますよ。習字をするときの汚れ対策やお手入れグッズも、ぜひ参考にしてみてくださいね!
参考サイト
- カジドレ|書初めの後に汚れた筆はどう洗う?!習字道具のお手入れのコツ | https://www.kajidore.com/columns/column81/
- 樵雲学園|書道を始めるために必要な道具と選び方。書道セットも併せてチェック!|https://shoun.e-nippon.co.jp/blog/2
- 書道用具ならキョー和|書道用品の基礎知識!筆のおろし方・洗い方・扱うときの注意点|https://kyowa-online.jp/html/page36.html
- 【おもいやり繪】|書道を習うメリットとは |https://omoiyarikai.jp/column/detail/21062103243613/
- キョー和|文鎮の役割や種類とは?おすすめの文鎮や1本組と2本組の特徴について|https://kyowa-online.jp/html/page34.html