運筆力とは?幼児期に身につけておきたい理由やメリット、運筆練習の種類も紹介
運筆力とは?
運筆力とは、えんぴつなどの筆記具を自由自在に操れる技術のこと。ひらがなやカタカナ、漢字など、文字をかくための基礎となるスキルです。ただ文字をかくだけではなく、キレイな文字をかいたり、すらすら文字をかいたりするためにも運筆力が必要になります。
運筆力は子どもに必要?
最近では、ドアノブや水道の蛇口などが自動センサー式になっているものも多く、生活が便利になっているため、子どもが手や指を使用する機会が少なくなっていると言われています。そのため、子どもの手や指の力が衰えて筆圧が弱くなってきているようです。
筆圧が弱くなると文字を上手にかけなかったり、筆記具でかいた文字が薄くて読みづらくなったりするなど、文字をかくことが苦手になる可能性があります。運筆力がないまま小学校へ入学してしまうと、ひらがなを覚えたとしても思うようにえんぴつを動かせず、文字をかくのに時間がかかり、勉強に苦手意識を持つ可能性も。
幼い子どものうちに運筆力を身につけることは、文字をかくことに対しての苦手意識をなくすためにも効果的と言えるでしょう。運筆力を鍛える時期は、えんぴつやクレヨンなどを正しい持ち方で握れるようになったときがおすすめです。子どもがかくことに興味を示さなくても焦らずに、子どもの「かきたい」という気持ちを大切にしましょう。
運筆力のメリット
運筆力は、キレイな文字をかけるようになるのはもちろんのこと、そのほかにもさまざまなメリットがあります。そのメリットを3つ紹介します。
手先が器用になる
えんぴつは親指と人差し指、中指の3本を使って持ちます。文字や絵などをかく動作は指や手の筋肉を使用するため、手先の器用さを高めます。また、指や手を動かすことは脳の働きにも良い影響を与えて、その後の学習能力の向上にもつながるでしょう。
認知能力が向上する
認知能力とは、成績やIQといった数値化できる能力のこと。ひらがなやカタカナ、漢字などは、文字のカタチやかき順が異なります。運筆は文字の形状とかき順を学び、かき進めた終わりには、どういう文字ができるのか予測する力を養えるため、認知能力の向上にもつながるでしょう。
想像力が伸びる
手や指を自由自在に操れる力がつくため、自分のかきたいことや思っていることを、筆記具を使って表現することが可能になります。例えば、絵をかくときに色の濃淡をつけたり、次はどのようにかこうかなと考えたりすることができるため、子どもの想像力が育ち絵をかくことが楽しくなるでしょう。
運筆力を高める練習
子どもに運筆力を身につけさせるためには、手や指を動かすことが大切です。ここでは、運筆力を高めるための練習を紹介します。
なぐりがき
子どもがはじめて絵をかくときは、なぐりがきをするのが第一ステップです。大きめの紙を用意して、子どもに好きなようにかかせてみましょう。
線や文字の練習をする前に、大きな紙にぐちゃぐちゃと線をかく動作は、運筆練習を行うときに必要な手指の筋力を鍛えてくれます。
ぬり絵・お絵かき
縦や横といった線を子どもがかけるようになったら、次は自由に絵をかかせてみましょう。太い線や細い線などをかきわけたり、ぬるときに色の濃さを調整したりすることで、子どもは筆圧のコントロール力が身につきます。
また、ぬり絵の枠からはみ出さずに色をぬる作業や色を選ぶ作業は、集中力や想像力を育むことに効果的です。
なぞりがき
なぞりがきとは、あらかじめかかれている文字や図形などのガイドラインに沿ってかくこと。簡単なひらがなやカタカナをなぞりがきすることで、文字の正しいかき順を子どもが覚えることにもつながります。
点つなぎ
点と点を線でつないでいくことを点つなぎと言います。始点と終点を意識してかくことは、文字をかくときのハネやはらいの練習にもなります。また、はじまりの点をみて次の点へと線を引くことで、子どもの集中力や注意力が養われます。
迷路
迷路にはスタートからゴールまでに、わかれ道や行き止まりなどがあり、ゴールまでのルートをどのように進めていけば良いかを考えるため、子どもは判断と選択を繰り返します。
ゴールまでのルートに線を引いていくことで、判断力や集中力、空間認識能力が高まります。ゴールできたときの達成感も味わえるので、子どもの自信にもつながるでしょう。
運筆練習のときに注意すること
運筆練習を行ううえで、注意することを紹介します。
持ち方を意識させる
親指と人差し指、中指の3本を使用して筆記具を正しく持てるように、はじめから子どもに教えておきましょう。また運筆練習と平行して、毎日の食事のときにフォークやスプーンを3本の指で持てるように練習するのがおすすめです。
クレヨンからはじめる
はじめて運筆練習を行うときは、クレヨンを使いましょう。クレヨンは、えんぴつより太くて短いので、小さい子どもにとって握りやすいです。
また、クレヨンを購入するときは、子どもが誤って口に入れても安全な素材や、服や机についても水で落とせるものを選ぶと良いでしょう。
好きにかかせる
大きな紙を用意して、子どもの好きなようにかかせましょう。かくことに慣れてきてから、縦や横の線をまっすぐかく練習をさせます。
線がかけるようになると、丸や三角、や四角をかけるようになり、それを組み合わせることで、さまざまな図形を子どもはかけるようになるでしょう。
【年齢別】運筆練習を行うときのポイント
子どもの発達の段階によって、かくレベルは異なります。ここからは子どもの年齢ごとの運筆練習を行うときのポイントを紹介します。ただし、子どもの成長はそれぞれ異なるため、子どもの成長に合わせて行いましょう。あくまでも目安として参考にしてみてくださいね
1歳半から
1歳半くらいの子どもは、クレヨンなどを紙にたたきつけて点をかいたり、手を前後左右に動かしてなぐりがきをしたりするころ。筆記具の持ち方はまだ気にせず、子どもが「かくの楽しい!」と思うように、自由にかかせることがポイントです。
2歳から
2歳ごろからは、クレヨンなどをしっかりと握って動かし、縦や横などの線をかけるようになります。クレヨンでかけるようになったら、太めの握りやすい三角えんぴつを使うと良いでしょう。
2歳後半になると、なみ線やななめ線をかいたり、線でさまざまな表現ができるようになったりと、かく種類がさらに増えていきます。
3歳から
3歳ごろになると言葉や形、迷路遊びに興味を持ちはじめ、閉じた丸をかけるようになります。この時期から、えんぴつを親指と人差し指、中指の3本を使用し持てる練習をスタートさせるのがおすすめです。
4歳から
4歳ごろの子どもは、四角や三角などの簡単な図形をかけるようになります。この時期に、点つなぎの練習を取り入れることがポイント。
また、だいたいこの時期には、文字のなぞりがきもできるようになるので、ひらがなの練習を少しずつはじめてみると良いでしょう。
運筆練習におすすめのアイテム5選
最後に、子どもの運筆練習におすすめアイテムを紹介します。
あおぞら『ベビーコロール ベーシック・アソート(6色)』
幼い子どもがはじめてのお絵かきでも握ってかくことができるクレヨン。手が汚れにくく、クレヨンが折れにくいのが特長です。積み木のようにして重ねられるカタチになっているので、遊びながら色を覚えることもできるでしょう。
サクラクレパス『クレヨン水性12色ハニーBee』
クレヨンの材料にミツバチの巣から採れるミツロウ入りのクレヨン。なめらかなかき心地で、従来のクレヨンと変わらず、濃くかけます。手や顔などにクレヨンがついても、水などで簡単に洗い落とせるのもうれしいですね。
学研ステイフル『さんかくえんぴつ 6B』
やわらかく濃い6Bの芯は筆圧が弱い幼児期の子どもでも濃くかけるため、はじめてのえんぴつにおすすめ。幼い子どもでも持ちやすい、短くて太めの軸となっているため、クレヨンからえんぴつに移行するときに最適です。
トンボ『Yo-iおけいこえんぴつセット(6B)』
えんぴつをはじめて使う小さな子どもの指が安定しやすい、短くて太めの三角軸となっている商品。えんぴつの軸には、どの指をどこに置くのかがわかりやすいようにイラストがプリントされており、そこに指を合わせることで、子どもがえんぴつを上手に持てるようになっています。
くもん『くもんの はじめてのおけいこ(大型本)』
運筆力を高めるためのさまざまな線をかくことができます。はじめてえんぴつを持つ子どもに、ぴったりなドリルです。
さいごに
文字をかくうえで必要な運筆力。幼児期に運筆力を高めることで、集中力や認知能力の向上など、さまざまな効果が期待できます。運筆練習を取り入れるときは、お勉強としてではなく、楽しい遊びのひとつと子どもが認識できるよう、親のサポートも大切です。
幼い子どもが集中できる時間は短いので、まずはかくことへの興味を持たせましょう。そして、子どもの成長や発達に合わせて、運筆の練習を行うことが重要です。ぜひ、この記事を参考に運筆練習を取り入れてみてくださいね。
参考サイト
- 天神メディア|幼児の運筆力を伸ばすための練習はいつから始める?練習の種類、メリットと注意点を紹介します|https://www.tenjin.cc/education/pre/writing-ability-child/#index_id8
- 学研ステイフル|学力向上にもつながるってホント? 小学校入学前に身につけたい『運筆力』|https://www.gakkensf.co.jp/enpitsutopics02/
- Gymboree(ジンボリー)|入学前に必要? 子どもの「運筆力」を鍛える方法|https://www.gymboglobal.jp/column/296
- 七田式LAB|就学前に焦らない!2歳から始める、文字書きに必要な運筆力を育てる方法 ~子供が鉛筆を好きになる、5つのポイント~|https://www.shichida.co.jp/magazines/2019072204/
- 英語育児note|運筆ドリルはいつから?2歳から始めた娘のおすすめ教材と進めかた|https://eigoikuji.blog/unpitsu/
- 七田式公式通販|クレヨン水性12色ハニーBee【知育玩具】|https://www.shichida.com/category/T_TYPE_05/123024.html