子どもが勉強を好きになる!幼児期に大切な子どもへの関わり方
子どもと「学び」
勉強を含む「学び」に対して子どもが自分から取り組めるようになると、主体性や非認知能力が高まるほか、小学校での勉強にもより早くなじめるようになります。そのため、早めの段階で小学校に向けた学習準備をする家庭が多いようです。小学館が小学1年生の保護者を対象に行ったアンケートによると、学習準備を意識した年齢は「年少・年中から」が45%、「年長から」が42%となりました。
では、学習準備とはどんなことをすればいいのでしょうか。入学準備や学習習慣などを見据えた勉強というと、つい読み書きや数の数え方などを覚えさせたくなります。しかし、幼児期に大切なのは「遊びと勉強を切り離さないこと」です。「新しく学ぶことは楽しい」と子どもに気づかせることが、子どもが勉強を好きになり主体的に取り組むために必要でしょう。
楽しく学ぶための土台を作ろう
ここからは、遊びの中に学びを取り入れるための具体的な取り組み方をご紹介します。
子どもの遊び・興味関心から勉強に発展させよう
「遊び」と「勉強」は正反対のものだと思われがちですが、実は密接な関わりがあります。
子どもはたくさんの遊びの中で「なんでこうなるんだろう?」と疑問を持ったり「こうしたい!」と試行錯誤したりします。こうした子どもの興味感心を引き出して「学び」につなげることが、楽しく勉強するための第一歩。公園で見つけた花の名前を一緒に調べる、好きな動物の生態を図鑑で調べるなど、子どもの知的好奇心に寄り添うことが大切です。
その中で、子どもが好きなものの名前からひらがなの読み書き練習をしたり、ミニカーを使って数える練習をしたりすれば、勉強も遊びの延長として楽しめるでしょう。ワーク教材を使用するときは、遊びながら学べるものを選ぶのがおすすめです。
体験活動してみよう
自然体験や社会体験、文化的体験などの体験活動は、課題発見能力・問題解決能力を高めて学びに対する意欲を促進します。実際、自然に触れる体験後の学習意欲に関する調査では、勉強に対して「とてもやる気になる」「やる気になる」と答えた小学生の合計が91.5%に達しており、非常に多くの子どもが自然体験後勉強への前向きな姿勢を示しました。(平成14年度文部科学省委嘱研究「学習意欲に関する研究調査」より)
自然体験教室や博物館・科学館、音楽会やお仕事体験施設など、全国には多数の体験スポットがあります。また、特別な場所ではなくても、近所の山や川、自然公園で動植物に親しむのも体験活動の一環。子どもの興味に合わせて、親子で体験活動を楽しみましょう。
・文部科学省|1.1.体験活動の教育的意義
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm)
子どもを「勉強好き」にする親の関わり方
子どもが自分から勉強を始めたら親はどのようなことに気を配るべきか、チェックしていきましょう。
環境を整える
まずは勉強するための環境を整えてください。おすすめは子ども専用のミニデスクを設置すること。お絵描きや読書、ワークなど一人で集中する作業ができるミニデスクがあれば、子どもは楽しんで机に向かいます。また、勉強している間はテレビを消す・兄弟に邪魔されないよう工夫するなど、集中するための配慮が必要です。
小学校に上がると長時間席につく必要がありますが、じっと座っているのが苦手な子どもは少なくありません。幼児期から机に座って集中する習慣を身につければ、小学校に上がってからも勉強に集中でき、机での勉強も身近なものになるでしょう。
勉強のタイミングは子どもに任せる
勉強をやるか否か・いつやるのかは子どもに決めさせます。「〇時にやる」と子どもが決めたら、親は時間が過ぎるまでは口を出しません。時間が過ぎても始める様子がなかったら、「〇時になったよ」と声をかけたり、親が先にひらがなの勉強を始めたりして待ちましょう。
それでも興味を持たず勉強に取り組めないようだったら、「明日にしようか」と声をかけて切り上げることも大切です。無理強いして勉強をさせても、集中できないうえに勉強嫌いになりかねません。
「ほめる」を意識する
子どもが自分から何かを調べたり、問題を解いたりしたときは、たくさんほめてあげてください。「できたね!」「〇〇博士みたい!」などとほめられると子どもはよろこび、勉強に積極的になります。さらに「この問題わからなかった!教えて!」と子どもに尋ねると、喜んで説明してくれるでしょう。
また、子どもの勉強を見ていると、書き順や文字の形などつい気になって口を出してしまいがちです。しかしそこは飲み込んで、問題を解いたこと自体をほめてあげましょう。「結果ではなく過程をほめる」ことが重要です。
勉強の成果を「見える化」するのもいいでしょう。子どもが勉強を頑張れたらスタンプやシールをつけたり、ポイント制にしたりすることで、勉強へのモチベーションを高めることができます。
スモールステップを大切にする
子どもが勉強を始めるときには、スモールステップで目標を設定します。はじめの頃は、簡単ですぐに終わる内容にすることが、勉強を長続きさせるためのコツ。いきなり長く勉強させると、子どもはすぐに飽きてしまいます。ひらがなを3つ書くだけ・ワークを3分だけやるなど、子どもが「まだやりたい!」と思うくらいで終わらせると、次回も楽しんで勉強に取り組めるでしょう。目標は時間で区切るよりも量を決めるほうがおすすめです。
勉強に慣れてきたら、子どもの様子を見ながら少しずつ目標を調整し、無理なく勉強量を増やします。毎日小さな達成感を積み重ねることで、子どものやる気もアップするでしょう。
親も一緒に勉強を楽しむ
子どもが机に向かって勉強や作業をしているときは、親も近くで机に向かって勉強や読書などを楽しむ姿を見せることが大切です。親が学ぶことを楽しんでいれば、子どもも勉強が楽しいものだと感じて集中しやすくなります。
また、子どもの勉強を見ているときにも親は笑顔で楽しむことを意識してください。例えば子どもが間違えたとき、親が険しい顔をしたり溜息をついたりすると、それを敏感に察知して悲しい気持ちになり、以後勉強に対してのモチベーションを下げてしまうかもしれません。親はいつでも笑顔で見守ることを心がけましょう。
子どものやる気を削ぐNG行動
どういった行動が子どもを「勉強嫌い」にさせてしまうのでしょうか?項目ごとに確認していきます。
勉強を無理強いする
嫌がる子どもに、勉強を強制してはいけません。「やりたくない」と思っていては勉強に集中できないだけでなく、勉強に対して不快な気持ちを持たせてしまうからです。
「勉強しなさい」「勉強しないとあとで困るよ!」など強い言葉で押しつけるのではなく、子どもが自分から勉強したいと思えるよう誘導しましょう。
長時間勉強させる
幼児期の勉強は、短時間で終えられる内容にしてください。小学校低学年までの子どもは、勉強時間が長くなるほど成績が下がる傾向にあります。短い時間であっても集中して勉強することが、子どもの能力を伸ばすポイントです。毎日5分程度でも、親子で集中する習慣をつけるようにしましょう。
ミスを責める
子どものミスや失敗を責めてはいけません。簡単な問題ができないときには、親は「どうしてできないの!」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし、そのイライラをぶつけてしまうと子どもは勉強への意欲を失ってしまいます。「一緒にやってみようか」と声をかけ、問題を解くサポートをしてください。
他の子どもと比較する
ほめるときも叱るときも、子どもをだれかと比べないようにしましょう。兄弟姉妹やお友だちと比べると、子どもは反発心や不満を抱いてしまいます。子ども自身の成長に注目し「昨日よりも3つも多くできたね!」「難しいのに諦めずに頑張ってるね!」など、過去のわが子と比べてほめてあげることが大切です。
子どもの意欲を引き出そう!ママたちの体験談
勉強への意欲を引き出す具体的な方法を、ママたちの体験談からご紹介します。
子どもの興味に合わせておもちゃを購入!(7歳男の子ママ)
小学2年生の息子は、小さい頃から数字や図形に興味を持っていました。そのため、おもちゃは時計のような数字が入っているものやパズルなどを意識的に購入し、YouTubeを見るときも数字のブロックのアニメをチョイス!
そのおかげか、就学前には簡単な計算や時計が読め、現在も算数の勉強が好きで積極的にドリルを解いています。
親が1人で絵本を読んでいると興味を持つように(4歳女の子ママ)
我が家はおもちゃよりも絵本が多く、2歳くらいから定期的に読み聞かせしています。3歳になっても0歳向けの本を読みたがりましたが、私が1人で新しい絵本を読むことを繰り返すと、興味を持って「読みたい!」と新しい絵本を持ってくるようになりました。最近は自分で音読することにハマり、私に絵本を読み聞かせしてくれることも。そのうち、自分で好きな本を読むようになってくれるといいなと思っています。
さいごに
子どもが前向きな気持ちで勉強に取り組むためには、勉強を楽しいものだと感じさせる親からの働きかけが欠かせません。肯定的な気持ちで勉強に取り組むことで、子どもの才能はより伸びていきます。遊びを通して子どもの興味・関心や勉強への意欲を育て、学ぶことの楽しさを伝えていきましょう。
参考サイト
- 文部科学省|1.1.体験活動の教育的意義
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm )
- ベネッセ教育情報サイト|勉強が好きになる子の幼児期の習慣とは
(https://benesse.jp/kyouiku/201603/20160324-10.html )
- ベネッセ教育情報サイト|子どもを勉強嫌いにさせている原因とNGワード4選!勉強へのやる気を高める親のサポート方法も紹介
(https://benesse.jp/kyouiku/202101/20210110-2.html )
- 学研教室|子どもに「数の概念」を理解させるには? 数の教え方のポイントをまとめます
(https://www.889100.com/column/column158.html )
- AKG|幼児期にこそ自然体験をさせたい4つの理由と大人のかかわり方