内向的な子どもを理解しよう!内気な子を育てるうえで注意するポイントを紹介
子どもの気質とは?
人間には「気質」というものがあります。気質とは、心理学用語で人間の性格の中心にある精神面や感情面の傾向のこと。「活発」or「おとなしい」、「頑固」or「飽きっぽい」などの気質は生まれたときから備わっているもので、基本的には一生変わらないことが多いようです。
気質と意味が似ている言葉で「性格」があります。性格は家庭環境や親の育て方、周りの環境、子ども自身の経験によって変わることがあります。
気質は、子どもがリラックスできる家のなかで現れる傾向が多く、恥ずかしがりやでお母さんから離れなかった、ひとりで遊んでいることが多いなど、家で過ごしているときの様子に子どもの気質が隠れているのです。
内向的な子どもの2つのタイプ
内向的な子どもの特徴については、さまざまな研究があります。ここでは以下の2つのタイプを紹介します。
内向型
ひとりを好み、マイペースな傾向にある子どものこと。みんなと一緒にいるのがストレスになるタイプです。
HSC型
HSCとは、Highly sensitive child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)を略した言葉で、生まれつき敏感で周りの影響を受けやすい子どものこと。HSC型の子どもは、他のタイプに比べて刺激を受けると辛い体験になりやすいタイプです。
内向型の良い点
それでは、内向型の良い点を紹介します。
自分なりの考えがある
自分で理解したり推測したりして、慎重な行動をとり自分なりのやり方に調整します。いつも見直しをし、もっと良い方法を模索することができます。
自分の世界観がある
内向的な子どもは、どんなことでもよく自分で考えます。人に言われたことをそのまま受け入れず、自分にとっての価値や意義をじっくりと考えてみたいのです。
責任感がある
自分のことは自分で決めたいと思い、一度決めたら納得するまでやり抜きます。芯が強いため、流されず妥協しません。
葛藤する力がある
葛藤とは、心のなかに2つ以上のゆずれない感情や考え、欲求などが存在し、そのどれを選ぶか迷うことを意味します。葛藤するためには、2つ以上のことを心に抱えて迷い、考えるだけの心の容量が必要です。
心の容量が少ないと葛藤することができないので、他人の意見に流されたりラクなほうを選んだりしてしまうかもしれません。葛藤する力がある内向型の子どもは、迷いつつも自分でしっかりと考えることができる、ということなのです。
HSC型の良い点
次に、HSC型の良い点を紹介します。
思いやりがある
HSC型の子どもは、相手の気持ちや考えに共感することができます。相手が困っていたら自然と助けようとしたり気遣ったりして、思いやりのある言葉をかけるでしょう。
人の気持ちを理解できる
HSC型の子どもは、相手がどんな気持ちでいるのかを理解するのが得意です。親がイライラを顔に出していないつもりでも、「なにか怒っているみたい…」と隠された気持ちに気づくでしょう。
洞察力がある
普段よく話す相手があまり話さなかったとき、「なにかあるのでは?」と考えるなど、HSC型の子どもは洞察力があり、「ものごとの本質はなにか」を理解しようと努めます。嘘を見抜くことも得意かもしれません。
感受性が高くて想像力がある
感受性が高くて、想像力が豊かなのもHSC型の子どもの良い点です。日常生活のささいなできごとのなかでも喜びを見つけます。音楽や芸術、文学に触れて感動した場合は、想像力を使って自分も表現したくなるでしょう。
内向的な子どもの力を伸ばす方法
次に、内向的な子どもの力を伸ばす方法を見ていきましょう。なお、上述した内向型の子どもとHSC型の子どもを「内向的な子ども」としています。
子どもの安心を優先する
複数の子どもと新しい遊びをするとき、内向的な子どもが不安を感じているのに「やってみよう!」「こわくないよ」と言って、子どもの不安を否定しないことが大切です。
背中を押すよりも子どもの安心を優先し、その場に慣れるまでいっしょに待つようにしましょう。
友だちに誘われるなどのタイミングで自ら仲間に加わることは、子どもにとって自信を持てる体験につながるのです。
子どもの好きなことをさせる
子どもがいつもひとり遊びをしている場合、親は心配になり「友だちとも遊んでほしいのだけど」と思ってしまうかもしれません。しかし、子どもの「好き」は何より大切で、内向的な子どもにとってはより重要になります。
なぜなら、誰にも邪魔されることなく存分に心と体を遊ばせる時間が、子どもの創造力や思考力、自律心を育むからです。
好きなことに子どもが没頭できるよう、親は場所や時間の確保、必要なものなどの準備に協力してあげましょう。
子どもの良い点を認める
子どもにとって、自分自身ががんばったことに対して否定されることは、傷つき体験につながる可能性があります。
親は内向的な子どもの良い点を見つけて、認めてあげると良いでしょう。
内向的な子どもを育てるうえでの注意点
ここでは、内向的な子どもを育てるうえでの注意点を紹介します。
内気な性格を欠点だと捉えない
人見知りしない子どもを見て、「自分の子どもは協調性がないのでは?」と心配になる親もいるでしょう。
しかし、人間は誰しも長所と短所がペアになっています。ひとり遊びを好むことを欠点だと捉えてしまえば、内向的な子どもの長所を見失うことになりかねません。
長所と短所、どちらもあって良いと親に受け入れてもらうことで、内向的な子どもは自己肯定感を持てるようになるでしょう。
親は自分のアドバイス通りにさせない
親の言うことを聞ける子どもは、お利口さんに見えるかもしれません。しかし、子どもが自分で考えて行動したわけではないため、できたとしても自信はつきにくくなります。
うまくできなかった場合でも、子どもが自分の考えたやり方で挑戦する体験は、好奇心や自立心を育むことにつながるでしょう。
親が善意でアドバイスした場合、内向型の子どもは自分のやり方でできないのが苦しくイライラして反抗的になり、HSC型の子どもはできるだけ従おうとするでしょう。
内向型とHSC型の子どもは、親のアドバイス通りにさせようとすると自分で考えることをあきらめ、ただ従えば良いと思ってしまう可能性があるので、注意が必要です。
「ダメな子」と言わない
「あの子はできるのにダメね」と言われた場合、自分はダメな子だとそのまま受け入れてしまう可能性があります。
子どもにとって親は、安心感や信頼感の源となる特別な存在です。そのため、親から言われた言葉は内向的な子どもにとって、大きな影響を与えます。
他の子どもと比べるのではなく、子どもの成長を素直に喜んだり、努力をたたえたりしてあげましょう。
子どもが幼いうちになんとかしなければと考えない
子どもが内向的だと、幼いうちになんとかしたいと思う方もいるかもしれません。しかし、親は内向的な性格がずっと続くわけではない場合もある、と理解しておくことも大切なポイントです。
子どもは小学生に入り学年が上がるにつれて、できることも増えていきます。自分の子どもを信じて焦らないようにしましょう。
内向的な子どもへのNGな声かけ
「ダメな子」と言うのも気をつけたい声かけのひとつですが、その他のNGな声かけも紹介します。
「みんな上手にできてるよ?」
誰かと比べる言葉は、「あなたでもできる」と自分の子どもを応援したつもりでも、内向的な子どもにとっては「なんでできないの?」という批判と捉えてしまうかもしれません。
「失敗をこわがるのは良くないよ」
恥ずかしさや失敗をこわいと感じる気持ちは自然なことです。不安な気持ちを否定されれば、内向的な子どもは不安な気持ちを無理やりのみ込むようになります。
「失敗してもいいからやってみて」
内向的な子どもは新しいことにチャレンジするのが苦手な傾向があります。親が安心できる環境をつくることで、少しずつ自信を持ってチャレンジできるようになるでしょう。
さいごに
内向的な子どもは、内気で人の気持ちに影響を受けやすい傾向があり、親はそれを短所だと捉えがちかもしれません。しかし、無理に直そうとすると子どもの本来の良さを潰してしまう可能性があります。親は内向的な子どもにも良い点があることを理解し、子どもに合わせて接することが大切です。親が味方だと感じれば、子どもにとっては大きな支えとなります。この記事を参考にして、内向的な子どもの良さを伸ばしてあげましょう。
参考サイト
- 東洋経済オンライン|内向的な子に「やってごらん」より大事なこと 子どもの性質を確認、短所と誤解しないように(https://toyokeizai.net/articles/-/767462)
- PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)|親が絶対に知っておくべき「人と会うと元気になる子」と「一人の時間が必要な子」を分ける決定的な違い 内向的な子は物静かであるためにSOSを見過ごされる危険性(https://president.jp/articles/-/80496)
- 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンのプレスリリース|人見知り、引っ込み思案……内向的な子どもの未来を輝かせる元スクールカウンセラーの具体的なアドバイスをまとめた1冊『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』が発売!(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001324.000018193.html )
- まんまる育児|【子どもの性格】内向型か外向型かを見分ける方法(https://manmaruikuji.com/how-to-understand-your-childs-temperament-1/ )
- 東洋経済オンライン|「発表が嫌」「友達が少ない」内向的な子にNGな言葉 「内向的な子」の自信を失わせるときもある(https://toyokeizai.net/articles/-/767588 )