地震や災害があったとき子どもの心のケアはどうする?知っておきたい豆知識をご紹介
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災害時の子どもの心のケア
もしも、地震や災害などの危機的状況に直面したとき、子どもたちの心をどのようにケアすればよいのか考えたことはあるでしょうか。緊急時は大人も不安で自分のことで手一杯になってしまうでしょう。子どもたちの心の不安を少しでも払拭するために、大切にしたいことを解説していきます。
年齢別に見る子どもに起こるストレス反応とは
子どもたちは災害などの緊急時にさまざまな反応や行動を示します。子どもによって、個性や発達段階による個人差はありますが、どのような反応を示すのか年齢別にご紹介します。
0~3歳くらいの子どもの反応
0~3歳くらいの子どもは、何が起きたのか理解できない場合がほとんどでしょう 。親と離れずにしがみつき今までは怖がることのなかったことを怖がる姿がみられるかもしれません。生活リズムの変化や、今までよりも幼い行動に戻る可能性があるでしょう。
4~6歳くらいの子どもの反応
4~6歳くらいの子どもは親の反応を確かめて何が起きているかを理解します。想像力豊かな年齢であるため、悲しい出来ごとを自分のせいだと思い込むことがあり、現実離れしたことを発言することがあるでしょう。
7~12歳くらいの子どもの反応
7~12歳くらいの子どもは、起きた出来事について繰り返し同じ言葉で伝えたり、遊びの中で地震ごっこなどをしたりすることがあるでしょう。こういった行動は子どもの中での自然なストレス対処法ですので、無理に止めず見守り、良い方向へ導けるよう関わりましょう。
13歳以上くらいの子どもの反応
13歳以上くらいの子どもは、他者の視点に立って緊急時の深刻さを理解するようになります。この年齢の子どもから責任感や罪悪感といった感情が強く芽生えるようになるでしょう。そのため、自滅的な行動や、攻撃的な行動、他者を避けるような行動がみられることも。親などの身近な存在に反抗的になることもあります。
災害が起きたときの子どもの反応
災害が起きると、子どもはパニックになると共に、保護者の方と離れ離れになるのではないか、これからどうしたらいいのか不安な気持ちでいっぱいです。
親が不安そうにしていたり、余裕がなかったりすると、子どもは親以上に不安を感じ、心配になるものです。以下は、子どもに現れやすいストレス反応です。子どものSOSを見逃さないようにチェックしておきましょう。
・食欲不振、腹痛、頭痛などの身体的不調
・喘息やアトピーなどのアレルギー症状
・夢見が悪い。夜泣きをする
・イライラし、機嫌が悪い
・知らない場所や、一人になることを嫌がる
・突然パニックになる
子どもがストレスを抱え、前述にしているようなSOSが見られた場合は専門家に相談し、子どもにとって最善の対応をとるようにしましょう。子どもは自分で「助けて」と言えない場合も。近くにいる大人がいち早く子どもの変化に気づけるように、子どもの様子を気にかけてあげることが大切です。
子どもは恐怖心や不安感から 、普段とは違う反応や行動を示すでしょう。ここからは、具体的な子どもの反応とその時の対応についてご紹介いたします。
身体的不調を訴える
強いストレスにより、睡眠が十分にとれなかったり、食欲が低下したりする状態が続くことがあるでしょう。そのため、生活リズムが崩れ、頭痛や腹痛などの身体的不調を訴えることも。出来る限り、生活リズムを整え子どもに安心感を与えることを意識しましょう。
アレルギー症状が強まる
災害による心理的負担によって、今までは出ることのなかったアレルギー症状がみられる場合も。喘息や、アトピーなどのアレルギー症状がみられる場合は、専門家に相談するなど早めに対処するようにしましょう。
寝つきが悪くなる
災害時の恐怖心や不安感から、寝つきが悪くなり何度も目を覚ますことがあるでしょう。大人もストレスを抱えていると、夢見が悪いことがあると思いますが、子どもも強いストレスにより、夢見が悪くなったり、夜泣きを繰り返したりする場合も。そんなときは、子どもが眠りにつくまでそばに寄り添ったり、スキンシップをたくさんとって、安心感を与えるようにしましょう。
混乱する
誰しも災害に遭うと混乱するのは当然です。大人でさえ普段の生活が送れなくなると、パニックになるはずです。子どもは大人以上に強い不安感や恐怖心を抱いて混乱してしまうのは無理もないでしょう。子どもが混乱した際は、「落ち着きなさい」と叱るのではなく、子どもの気持ちを受け入れて、「どうしたらいいのかわからないよね」「大丈夫だよ」と声をかけるようにしましょう。
怒りをもつ
「どうして自分がこんな目に合わないといけないのか」という気持ちをもつこともあるでしょう。イライラしてしまい、周りに当たることもあると思います。もしもそれが、他の子どもに対して害のある場合は注意する必要がありますが、子どもの気持ちを一度受け入れ、落ち着かせるようにしましょう。
赤ちゃん返りをする
強い恐怖感や、不安によって赤ちゃん返りをしたり、大人と離れずついて歩くこともあるでしょう。しかしそれは子どもが安心感を得るために行っていることです。「忙しいから離れて」とつき放すのではなく、スキンシップをしっかりとったり、話を聞いたりすることを心がけましょう。
災害時の子どもの心をケアするポイント
災害などの緊急時に子どもたちからのヘルプがなくとも、子どもたちは大人の助けを必要としています。災害時に子どもの心のケアをするために大切なポイントを4つご紹介します。
安心感を与える
まず、子どもに安心感を与えるようにしましょう。目の前で災害が起こり、次にいつまた災害が起きるかわからない中、どのように行動すればいいか不安なはずです。子どもに寄り添い、親や周りの大人が子どもと一緒にいる時間を大切にし、いつもよりもスキンシップを意識してください。優しく抱きしめてあげるだけでも、子どもの不安を取り除くことができるでしょう。
子どもと会話をする
子どもとの会話を大切にしましょう。災害が起きて不安な子どもは今どんな状況なのか、自分は大丈夫なのか、さまざまなことを聞いてくると思います。子どもの言葉に耳を傾けて、子どもの疑問や心配ごとには簡潔に、わかりやすい言葉で答えてください。子どもが自分の思っていることを言葉に出すこと、それをしっかり聞き、不安を少しでも取り除いてあげることが重要です。言葉がわからない年齢の子どもに対しても、「大丈夫だよ」「安全だよ」と優しい表情で大人から子どもに伝えるだけで、子どもの心を落ち着かせることができるでしょう。 ここで大切なのが、子どもに話をするよう強要してはいけないということです。 子どもが話したいときに耳を傾け、寄り添うようにしましょう。
日常を意識する
災害が起きた後の状況はそれぞれ異なります。ですが、出来る限り普段の生活リズムを意識するようにしましょう。睡眠時間や、食事や歯磨き、着替えなど、普段通りの生活をできるだけ意識することによって、子どもたちの安心材料になります。
その中でも遊ぶことは子どもたちの中で大切な日常です。場所はどこであれ、安全が確保できるのであれば、どこでも大丈夫です。大人が子どもの遊び道具となるものを用意したり、子どもの遊び相手になったりしてください。遊びを通して、子どもの心のケアをすることができるでしょう。遊び道具がない場合は、道具の必要のない次のような遊びがあるので、ご紹介します。
・手遊び歌を歌う
・しりとりをする
・指相撲をする
・なぞなぞをする
他にも、新聞紙やハンカチ一枚あればできる遊びもあります。大人から子どもに遊びを提供し、一緒に楽しむことで、子どもの不安な気持ちを紛らわすことができます。
子どもに正しい情報を提供する
子どもによって、心理的ダメージはさまざまです。そのため子どもに合わせて、どうして災害が起こったのか、現在はどのような状況なのかを子どもにわかりやすい言葉で伝えることが大切です。テレビなどのメディアによる情報は、災害について知ることができるメリットもありますが、災害時の恐怖を再び思い出させてしまうというデメリットもあります。そのため、子どもが心理的ダメージを抱いている中、災害関連の映像を見る場合は、現在の状況を適切に説明できる大人が身近についておく必要があります。
子どもの力を信じる
災害を経験し、災害前のように元気な状態に戻らない子どもをみると、病気になるのではないか、治療する必要があるのではないか心配になると思います。しかし、子どもがいつもと違う様子や行動をとったとしても、一時的なことです。子どもは不安定な行動を示すことで、大人との信頼関係や安心感を再確認し自らの心を回復しようとしているのです。子どもの力を信じて、様子を見守ってあげましょう。
大人の心身のケア
大人が体調を崩してしまったり、心が不安定だったりすると子どもに安らぎを与えることが難しくなります。大人の心が安定していることが、子どもの心の安定感につながります。子どもと落ち着いて関わるためにも、大人自身の心のケアのために、話を聞いてもらったり、ボランティアを頼るなど、少しでも心身のケアをするように心がけましょう。
さいごに
災害時の子どもの心のケアをするには、 子どもたちに安心感、安らぎを与えることが大切です。大人の表情が険しく、ネガティブな発言ばかりしていると、子どもの気持ちも落ち込んでいく一方です。子どもたちは親の姿をよく見ているもの。こういった緊急時こそ、親が明るく、前向きな気持ちで子どもたちと関わるようにしましょう。
参考サイト
・unicef|災害時の子どもの心のケア一番身近なおとなにしか出来ないこと(https://www.unicef.or.jp/kokoro/ )
・NHK|【動画解説】災害時子どもの心のケア 周囲ができることは(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240115/k10014321461000.html )
・女の子の力を、世界を変える力にする。国際NGOプラン・インターナショナル|[特集]災害時の子どもの心を守る方法(https://www.plan-international.jp/special/support-tips/ )
・Hoiclue|何もなくても楽しめる、準備いらずのおもしろ室内遊び7選(https://hoiclue.jp/500134647.htm l)
・社会的養護における災害時「子どもの心のケア」手引き |(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018h6g-att/2r98520000018hm7.pdf )
・セーブザチルドレン|子どものための心理的応急処置(https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/PFA_191003.pdf )