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子どもの成長にも影響する「こ食」とは?原因や対処法を紹介

白川ゆうこ
2024/08/30 03:08
子ども時代は心身の発達が著しく、大人へと成長するための大切な時期です。なかでも食事は子どもの成長に欠かせない存在。しかし、子どもが一人で食事を摂る「孤食」をはじめとした、さまざまな食事の問題「こ食」が、令和の時代においても解決すべき課題になっています。そこで今回は、子どもたちの健やかな成長のために、避けるべき「こ食」を解説。「こ食」が生まれる背景や、「こ食」を避けるためにできる工夫も併せて紹介します。ぜひご一読ください。

「こ食」とは何か

「食」は子どもの心身を発達させる重要な役割を果たすものです。子どもの食事を考える上で、避けるべき「こ食」というものがあります。「こ食」は一人で食べる「孤食」のように、「コ」の音を踏んで現代の食生活の問題点を表現したものです。では「こ食」が何を指すのか、解説します。

孤食・子食

孤食は一人で食べることを指し、女子栄養大学と名古屋学芸大学の名誉教授・足立己幸氏が名付け親です。子どもの孤食や子どもだけの食事を「子食」と言います。子どもにとって食事は、単なる栄養補給ではなく、家族や友人とのコミュニケーションの場であり、マナーやルールを知る場でもあります。子どもだけで、または一人で食べると、食事中に会話を楽しむことや食事に関するしつけが行われず、社会性が身につきにくいことから、問題視されているのです。

個食

個食は、家族で食卓を囲んでいても、それぞれの食べるものが異なる食事を指す言葉。外食時などの特別な状況を除いて、日常的に個食を続けることは問題があります。好きなものだけをそれぞれが食べればいい、という食事の摂り方ばかりでは栄養が偏りやすく、好き嫌いが増えてしまいます。また、協調性が育まれないデメリットがあります。

固食

固食は、決まったものしか食べない食事を指します。コスパがいいから、ヘルシーだからという理由で毎食同じ食事にしたり、決まったローテーションの食事を繰り返したりする食事スタイルは、若い人に多いと言われています。いつも同じ物ばかり食べると、栄養バランスが崩れる恐れがあり、同じ味に慣れることで味覚障害を引き起こす可能性があり、好ましくない食習慣と言えるでしょう。

小食

小食は食欲がわかず、食事をわずかしかとれないことや、過度なダイエットによって食事を少量に抑えることです。小食が続くと必要な栄養が足りず、発育に影響が出たり、無気力になったりすることがあります。

濃食

濃食は濃い味の食事ばかり食べることです。加工食品や、ソースたっぷりの味付けのもの、塩分や糖分が多いものばかり食べると、味覚が鈍り、カロリー摂取量が多くなる傾向に。濃い味の食事を続けていると、肥満に繋がりやすい点も問題視されています。

粉食

粉食はパンやパスタなどの麺類、ピザなど粉を使った主食ばかり食べること。パンや麺はやわらかく、噛む力を弱くしてしまいます。噛まずに飲み込んで食べてしまうことも多く、その場合食べ過ぎが懸念されます。また粉食は一品で完結しやすく、副菜を摂取しづらいため、栄養が偏る心配があるのです。

「こ食」の問題点とは?

上述の通り「こ食」に考えられる問題点をまとめてみましょう。ひとつめは、好ましい食習慣やマナーと言った社会性が身につかないこと。一人で決まったメニューや好きなものばかり食べ、嫌いなものは残す食事を続ければ、必要な栄養が足りなくなり、生活習慣病や肥満を引き起こす恐れがあります。ふたつめは栄養バランスが偏りやすいことです。家族で食卓を囲みながら、苦手な食材にも挑戦したり、栄養摂取の大切さを教えたりすることは、とても大切です。みっつめは他者とコミュニケーションを図る力が育ちにくいこと。家族を信用して気持ちを伝えるといった、食卓でのコミュニケーションは、子どもの成長にとって大きな影響を与えるものだと言えるでしょう。

「こ食」が起きる原因や社会背景とは

ここからはなぜ「こ食」が起きるのか、その原因や社会背景を解説します。

核家族・ひとり親家庭が増えた

2000年以降、児童のいる家庭の8割以上が核家族となっています。それに伴い、児童のいる家庭での三世代世帯は減少しており、祖父母と暮らす児童は少なくなっているのです。また1990年代から専業主婦世帯は減少し、共働き世帯は増加しています。離婚数の増加に伴い、母子家庭、父子家庭のひとり親家庭も増えています。父母が仕事などで不在の場合、子どもは一人で食事をしなければなりません。その結果孤食が増え、「こ食」の増加につながっています。

生活時間の変化

夫婦共働きの世帯では、残業で仕事が遅くなったり、出張で家に帰れない日があったり、帰宅時間が不規則なこともあるでしょう。また、子どもも塾や習い事、アルバイトや部活動などで帰宅が遅くなる場合があります。令和5年食育白書では、時間的ゆとりを感じる人は、家族との共食ができる割合が高いことも明らかになっています。時間にゆとりを持てる暮らしを送るには、仕事や居住環境が関係していることから、容易に解決できる問題とは言えません。「こ食」が増える背景には、家族で一緒に時間を合わせて食事を摂ることが簡単ではない、現代社会の難しい現状があります。

食事への価値観の変化

食生活や食事に対する価値観が変化したことも「こ食」が増えてきた原因と言えるでしょう。戦後間もない頃の日本の食生活は、専業主婦が手作りした一汁三菜の食事を自宅で摂ることが当たり前でした。その後仕事を持つ女性が増え、テイクアウトの食事を家で摂る内食や、ファストフード、丼ものなど一品で完結する食事が浸透していきます。さらに現代では食生活の分化が進み、一日三食や一汁三菜は廃れ、主食や副食の区別のない食事が一般化しています。内食や中食、外食の境界があいまいになり、日常の食事に調理済みのものを利用することは当たり前になりました。


令和5年食育白書では、若い世代で朝食を摂らない人が多いことや、主食に主菜や副菜を組み合わせた食事の回数が少ないことが課題とされています。これは若い世代に時間的余裕が少なく、食費に余裕がないことが原因です。食の価値観の変化には、労働環境や経済的状況などさまざまな要因が関係しており、適切な食生活を望んでいても、時間的、経済的な余裕がないことで、それが叶いにくい現状がうかがえます。

現代の子どもを取り巻く食生活の問題点と食育基本法

2005年に施工された食育基本法は、国民の食に関する意識を高めて、健全な食生活を送る人間を育てることを目的としています。国が国民の食生活を重要視する背景には、「こ食」にも表れているように、現代人が抱える食の問題があるのです。栄養バランスの偏りや不規則な食事、乱れた食生活は、生活習慣病や肥満を引き起こします。容姿にこだわるルッキズムの浸透で、痩身志向から過度なダイエットをしてしまうケースもあり、課題はさまざまです。子どもたちが健康で、豊かな人生を送るために、食育基本法では「食」を重要なものであると位置づけています。

「こ食」を減らすには?

ここからは「こ食」を減らすにはどうすればいいのか、対処法を紹介します。

家庭で共食の機会を持つ

農林水産省が発表した、令和5年食育白書では共食等の食育推進を掲げています。共食は、一人でなく、誰かと食べること。家族が食卓を囲みながら、コミュニケーションを交わすことは、食育の基本です。共食を通して食の楽しみを感じながら、食や生活に関する基礎を養うとしています。


家族で帰宅時間に差が出やすい夕食は、共食が難しい場合もあるでしょう。その場合は早く起きて家族そろって朝食を食べたり、休日に一緒に食事する機会を作ったりするのがおすすめです。たとえ短時間であっても、子どもと食事を摂ることで、子どもは共食の楽しさを知ることができます。


地域の共食ができる場に参加する

地域で共食ができる機会に参加するのも、「こ食」を避ける対策となるでしょう。近年、支援団体が子ども食堂を開くなど、子どもが参加できる共食の場は、徐々に広がりを見せています。家族が忙しくて共食の機会が持てない子どもは、ぜひそのような場に参加してみましょう。

栄養バランスを考える

「こ食」による栄養の偏りを防ぐには、バランスを考えて食事を準備する必要があります。バランスを考えた食事といっても、難しくとらえる必要はありません。ご飯やパン、麺などの主食に、魚や肉、卵、豆類などを使った主菜、野菜などを使った副菜を用意すれば、バランスよく栄養を摂ることができます。野菜の値段が高いと気になる場合は、比較的コスパのいい旬の野菜や冷凍野菜も取り入れてみましょう。具だくさんの味噌汁で栄養を補うのもおすすめです。買ってきた総菜に、サラダやスープを足すだけでも、栄養価はアップします。家庭ごとに無理なくできる方法で、できるだけバランスを整えることが、よりよい食生活につながるのです。

さいごに

子どもと食事をめぐる問題は、家庭の置かれた状況に直結しています。孤食がいけないとわかっていても、さまざまな理由から子どもに一人で食事をさせてしまう、食事の内容にまで手が回らない、という家庭もあるでしょう。「こ食」が気になる場合は、できる範囲で少しずつ共食の機会を作ったり、少しでもより栄養バランスの整った食事を用意したりしましょう。わずかな工夫でもよりよい効果が生まれるはずです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

参考サイト


    この記事の著者
    白川ゆうこ(peekaboo)
    ライター
    1歳、4歳、7歳の元気な3姉妹に翻弄されながら、毎日楽しく暮らしています。読書、ネットフリックス、美味しい食べ物探しが趣味です。知育や子育てについて分かりやすく発信していきたいです。
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