泥遊びってそんなに大事なの?泥遊びのメリットや苦手な子へのかかわり方とは?
泥遊びってどんなもの?
感覚遊びのひとつである泥遊びとは、雨上がりのあとの砂場やサラサラの砂に水を加え、泥で遊ぶことです。子どもたちは全身泥だらけになりながら、泥団子やいろいろな形作りを楽しんだり、友達と協力しながら川や池、山を作ったり、お店屋さんごっごをするなど思い思いに楽しみます。
泥遊びのメリットとは?
泥遊びをすることで「体も服も泥だらけになるのでなるべく避けたい…」と思う保護者も中にはいるかもしれません。しかし、泥遊びは子どもにとってさまざまなメリットがあるのです。ここからは、子どもが泥遊びをするメリットについて紹介します。
五感を刺激する
泥遊びは子どもの五感を刺激するといわれており、特に触感が刺激されます。水や砂・土の量で泥の感触や重さが変わったり、天気が変わると泥の温度感も変わったりします。裸足で泥を感じることで手とは違った感じ方を足の裏で楽しむことができるのです。
想像力が育まれる
泥遊びでは、子どもの想像力を育む効果があります。水の量で形状が変わる泥を、ドロドロに溶かしたり、カチカチに固めたりとさまざまな形に変化させます。泥で作りたいものを上手に作れることばかりではなく、ときには思うようにいかないこともあるかもしれません。
そのようなとき、子どもたちは「どうすれば思い通りの形ができるの?」「水をどれだけ足したら壊れるかな?」「かたい泥団子を作るにはどうしたらいい?」「次はどうやって作ろう?」など、いろいろな想像力を働かせて泥遊びを楽しみます。
コミュニケーション能力が養われる
公園や保育園・幼稚園の砂場で泥遊びをすることが多いと思います。一人で黙々と何かを作るのもいいですが、お友達と一緒になって山や川など作ったり、道具の貸し借りをしたりすればコミュニケーションの取り方を学ぶいい機会になります。
もちろん、道具の貸し借りやうまく作ることができず、けんかなどのトラブルが起きるかもしれません。しかし、泥遊びを通して、役割分担して友達と協力したり道具の譲り合いをしたりすることで、集団生活で必要なコミュニケーション能力や社会性を身に付けることができます。
免疫力がアップする
「泥って汚いのでは?」と思う保護者も中にはいるかもしれません。しかし、泥に含まれる微生物に触れることで免疫力アップにつながります。免疫力がアップして、菌に強い体になるだけでなく、屋外遊びをすることで丈夫な体を作ることができます。
自然に興味を持つ
水や砂は自然の一部であり、泥の中で虫を見つけたり、天気や季節に興味を持ったりすることで、泥遊びを通して自然全体に興味を持てるようになります。
ストレス解消になる
泥遊びは、ストレス解消や心の安定をはかる効果もあるといわれています。子どもは、思いきり泥遊びをすることで、自分の思いを表現しながらストレスを発散します。また、自然と触れ合うことで心が落ち着き、リラックスできるようです。
泥遊びを嫌がる子への関わり方は?
子どもには泥遊びを楽しんでほしいと思っていても、実際には泥遊びが苦手で嫌がる子どももいます。そのような子どもに、どう対応をしたらいいのか解説します。
無理にやらせない
手や服が汚れるのが苦手な子どもは、感覚過敏である可能性が考えられます。そのような子どもに無理やり泥遊びをさせると、トラウマになり余計に拒否反応を示す可能性もあります。
この場合は、お友達が泥遊びをしている姿を見ているだけでもいいのです。実際、友達が泥遊びを楽しむ姿を見ているうちに、少しずつ泥に触れるようになったという子どももいるようです。泥遊びには子どもにとって多くのメリットがありますが、決して無理にやらせることなく、その子のペースに合わせてあげましょう。
代わりになるもので遊ぶ
泥遊びをしなくても、代わりになる感覚遊びはいくらでもあります。感覚過敏の子どもは、泥や泡、スライムなどのドロドロした独特な手触りのものが苦手だという場合が多いようです。その場合は、直接泥を触らなくていいように、泥をビニール袋に入れてあげることで、泥の感触を試してみたくなるかもしれません。
また、お米や豆、さまざまな種類のマカロニやパスタ、どんぐりなどの木の実といった比較的サラサラとしたものなら受け入れやすくなるでしょう。さまざまな感覚を体験でき、見た目でも楽しめますよ。
保護者と子どもが一緒になって楽しんでみる
子どもは、泥遊びの経験不足や過去に汚れることに対して叱られた経験から、泥遊びを嫌がる場合もあります。「どうやって遊べばいいかわからない」「汚れたら怒られるかも」という子どもには、毎回でなくてもいいので、保護者が汚れることを気にせず一緒に泥遊びを楽しんでみるといいでしょう。
子どもに「泥遊びって楽しい!」「汚れてもいいんだ」と子どもが理解できるようになると、泥遊びを楽しめるようになるかもしれません。
一方で、保護者が子どもと一緒になって泥遊びができない場合は、水や紙、粘土など形が変化する素材のもので遊んでみるのもいいでしょう。小麦粘土やはるさめ遊び、スライムなどの感触遊びやフィンガーペインティングなどで体が汚れる体験を増やすと、泥に対しての抵抗感が徐々になくなることが期待できます。
泥遊びをするときに気を付けること
子どもに思う存分泥遊びを楽しんでもらうには、いくつかの対策も必要です。次に、泥遊びをするときに気を付けておきたいポイントを解説します。
安全面に配慮する
裸足で遊ぶことが多い泥遊びでは、ガラス片や鋭利な石を踏んでしまうとけがにつながります。そのため、危険なものがないか事前に確認しておきましょう。また、公園などでは、裸足で砂場以外を走り回ってしまう可能性もあるので、場所を区切って危険なものを取り除いた上で「ここまでなら裸足で来ても大丈夫だよ」と教えてあげるといいでしょう。
泥を食べたり、傷口に触れたりしないようにする
ごっご遊びになると泥を食べ物に見立てることもあり、実際に口に入れてしまう子どもがいるかもしれないので注意が必要です。泥の中には目に見えない細菌や小さなゴミが含まれており、泥を食べてしまうと、嘔吐下痢や感染症になるなど体調を崩すおそれがあります。
また、子どもの体に傷があるときに泥遊びをすると破傷風のおそれもあります。破傷風は、土の中にある破傷風菌が傷口に入ることで発熱やけいれんなどを引き起こします。事前に傷口を絆創膏などで覆うか、泥遊びをさせないといった対策を取りましょう。
汚れてもいい服で遊ばせる
保護者が泥汚れを気にしてしまうと、子どもは「汚すとママやパパに怒られるかもしれない」と思い、思う存分泥遊びができなくなります。公園に行くときは、汚れてもいい服や洗濯しやすい服にしておくと、心置きなく泥遊びを楽しめるでしょう。
道具を準備しておく
事前に道具を準備しておくと、子どもたちは泥遊びを思いきり楽しめます。バケツ・シャベル・じょうろ・空き容器・ペットボトルなどがあるといいですね。子どもはそれぞれの道具をもとにどれを選んで何を作るか、想像力を働かせながら遊べるでしょう。
泥遊びが苦手な子を持つママの体験談
最後に、泥遊びが苦手な子どもを持つママの体験談を紹介します。
当時2歳の男の子は、砂場は大丈夫なものの、泥遊びが苦手で手に少しでも泥が付くと大騒ぎ。子どもはみんな泥遊びが好きだと思っていたママは、知人の保育士に相談したそうです。
すると、「嫌なものを無理やり触らせる必要はないよ!まずは、小麦粘土とかスライムとかの感覚遊びを試してみて、手や足でいろんな感触を体験させてみたらどうかな。いろんな感触に慣れたら、苦手な肌触りのものを克服できた子もいたよ」とアドバイスされたそうです。
早速、そのママは家でできるいろいろな感覚遊びをやってみることに。最初は、小麦粘土やスライムをおそるおそる触っていた男の子も、何回かすると手足で楽しく触れるようになりました。
「そろそろ泥もいけるかな?」と、思ったママは男の子と公園の砂場に行くことに。男の子はいつものように、砂そのものを楽しんでいたので、ママは試しにその横に水を加えて泥を作りました。「○○、ママ小さいボール作ったよ」と、泥団子を作って男の子に見せると、男の子ははじめ顔を少しそむけましたが、その泥を「ちょん!」と触ることができたそうです。その日のうちに、少しずつ触れるところから、泥をなでるまでできるようになりました。
そこから、公園に行くたびに泥遊びを取り入れてみると、男の子は次第に泥が平気になり泥遊びが好きになったそうです。幼稚園入園後、先生から『○○君は、クラスで一番に泥遊びを楽しんでいます』と教えてもらったほど。そのママは、男の子に無理強いすることなく、いろんな感触遊びを通して、泥遊びを好きになってもらえてよかったと教えてくれました。
さいごに
泥遊びは、五感を刺激しながらコミュニケーション能力や想像力を育むことができるなど子どもの発達に重要な遊びのひとつです。中には、感覚過敏があるなどで泥遊びを楽しめない子どももいるでしょう。その場合は、無理をさせずに、泥遊びと同様のメリットを持つ他の感覚遊びを試してみると、少しずつでも泥を触れるようになるかもしれないので、子どものペースに合わせてみてくださいね。
参考サイト
- 学校法人旭川中央学園 旭川ふたば幼稚園|泥遊びの効果とは?親子での関わり方と遊び方のアイディアをご紹介
(https://a-futaba.ed.jp/?p=1486#:~:text=%E6%B3%A5%E9%81%8A%E3%81%B3%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%80%81%E6%83%B3%E5%83%8F%E5%8A%9B%E3%82%84%E7%99%BA%E6%83%B3%E5%8A%9B,%E8%82%B2%E3%82%80%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82) - 求人あるある保育|泥遊びのメリットとねらい!気をつけるポイントやおすすめの遊びを紹介
(https://www.hoiku-aruaru.com/content/blog-knowledge-hoiku/playing-in-the-mud.html) - 砂場遊びや泥んこ遊びを楽しもう|泥んこ遊びのねらいと効果は?保育にも活用できる年齢別解説
(https://osunaba-asobi.com/doronkoasobi-nerai/#index_id00) - 保育求人ラボ|保育園でする泥遊びのねらいは?保育士の関わり方や注意点も紹介
(https://hoiku-labo.com/news_785.html) - 保育士バンク!|保育園で泥遊びを楽しもう!効果やねらい、環境構成の仕方と遊び方のアイデア
(https://www.hoikushibank-column.com/column/post_2239) - 浜松市子育て情報サイト ぴっぴ|服や手が汚れるのを嫌がり、泥遊びや粘土遊びなどをしない
(https://www.hamamatsu-pippi.net/sodan/hamasukuqa/hamasukuqa-list/8020.html) - 保育タイムズ|泥んこあそびを嫌がる子どもの気持ち・配慮(https://www.hoikushisupport.com/column/nursery-field/1757)
- 自閉症・発達障害の療育_四谷学院発達支援ブログ|発達障害の子の手の感覚を育てる5つの遊び
(https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/knk-asobi5/)