きょうだい喧嘩は成長するチャンス!?決めておくべきルールと親の介入方法
きょうだい喧嘩の原因は?
そもそもきょうだい喧嘩は、なぜ起こるのでしょうか?主な原因は、以下のようなものが挙げられます。
- おもちゃや順番の取り合い
- 親(愛情)の取り合い
- 下の子の誕生による赤ちゃん返り
- 兄弟のどちらかは一緒に遊びたいのに、相手がかまってくれない
- ひとり遊びを邪魔された
- 強い言葉で性格や態度を責める など
きょうだい喧嘩が起こる理由は、単純で些細なことがほとんどです。兄弟は、心を許せる近しい関係だからこそ、嫉妬やライバル心も強くなります。また、家ではリラックス状態のため、相手への遠慮はなくなり、激しい喧嘩へとヒートアップしてしまいがちです。年齢が近いほど喧嘩も多い傾向がありますが、言葉で言い返せるかどうかの違いや、我慢できる度合いなど、発達段階が違うことも喧嘩の一因と考えられます。
子どもがきょうだい喧嘩を通して学ぶこと
毎日、何度も繰り返されるきょうだい喧嘩にうんざりしている親も多いかもしれません。しかし、喧嘩を通して学べることはたくさんあります。ここでは、きょうだい喧嘩のメリットについて紹介します。
我慢や気持ちのコントロールを学べる
子ども達は、兄弟だからこそ遠慮なしに喧嘩してしまいがちです。しかし、言いたい放題、やりたい放題すると相手が傷つくことを学びます。言っていいことと悪いことの分別が徐々につき、相手の気持ちを優先すべき場面では我慢することを学んでいきます。
また、きょうだい喧嘩することで、譲り合ったり気持ちに折り合いをつけたりできるようになり、外でも自分の感情をコントロールできるようになるでしょう。その結果、兄弟以外との喧嘩を抑制したりする効果も期待できます。
手加減を知る
保育園や幼稚園では好き放題喧嘩させることはなく、先生たちが止めに入るはずです。その点、きょうだい喧嘩ではある程度ヒートアップしても見守ることができます。言われたらイヤな言葉や、叩かれる痛みを経験できることで、子どもは相手への手加減も学んでいきます。
コミュニケーション能力が育つ
兄弟は、毎日家で顔を合わせます。そのぶん、喧嘩をしても仲直りや許す行為、謝る行為もしやすくなります。また、何が嫌だったのか、相手にどう言われて傷ついたのか、何と声をかければよかったのか、など時間をかけて振り返ることができる点もきょうだい喧嘩のメリットでしょう。兄弟間で、相手の気持ちを想像する力が養われ、コミュニケーション能力を育てることにつながるのです。
問題解決能力が身につく
きょうだい喧嘩を通して、「どうして喧嘩になったのか」「どうすれば喧嘩にならないか」「仲良くするためにはどうしたらいいか」を考えられるようになります。兄弟が成長するにつれ、お互いが納得できる方法を見つけ出す力も育っていきます。また、「半分こ」や「順番に」といった譲り合いの精神も育まれます。
自分自身を知る
兄弟=本音でぶつかり合える相手は、自分の性格やパターンを知るうえで、とても貴重な存在です。自分が何をされたら嫌で、どうすれば上手に伝えられるか、怒る前に気持ちを落ち着かせる方法など、自分の内面と向き合うチャンスでもあります。
親の上手な介入方法や喧嘩に必要なルール
では、具体的に親はどういった立ち位置できょうだい喧嘩に介入すればいいのか、紹介しましょう。
なりゆきを見守る
きょうだい喧嘩では、誰が悪いと決めつけることはせず、見守る姿勢でいることが重要です。親はまず、中立な立場で喧嘩の状況を把握します。つい上の子ばかり叱ってしまいがちですが、冷静に子どもたちそれぞれの言い分を聞き、共感してあげましょう。そうするうちに、相手を尊重する気持ちや仲直りの方法を学ぶため、親が仲裁しなくても、自分たちで喧嘩を終わらせられるようになっていきます。
また、子どもが納得・理解していないのに、親が無理やり喧嘩を終わらせることのないよう注意してください。
ルールを決める
いくらきょうだい喧嘩といえど、あまりにヒートアップすると危険も伴います。あらかじめ、以下のような最低限のルールを決めておきましょう。
- 顔や頭を叩かない
- 物で叩かない
- 一方的に攻撃しない
- 噛まない
- 髪を掴んで引っ張らない
- 物を投げない、壊さない など
以上のような、家庭でのきょうだい喧嘩のルールを、子どもたちと一緒に決めておくといいですね。2歳以下の子どもにはまだ少し難しいですが、ルールのわかる年齢になったら、ルールを破ったときには親が介入しましょう。そうすることで、子どもはルールに従って自分の行動を律する練習になり、大人も一貫した対応ができます。
また、年齢差や状況はその都度考慮して介入しましょう。親の対応で重要なことは、兄弟を比べないよう意識することです。子育て全体を通して兄弟を比べることにメリットはありません。
喧嘩の後の気持ちのフォローも大切
きょうだい喧嘩が落ち着いたら、お互い冷静になってきたタイミングでそれぞれの気持ちを代弁し、認めてあげましょう。どちらが正しい、悪いではなく「嫌だったんだね」「悲しかったね」と共感してあげてください。そのうえで相手はどう思っていたのか、どうすればよかったのかを考えるサポートをしましょう。
また、「ごめんね」の言い方や仲直りの方法を伝えるチャンスでもあります。
【体験談】ヒートアップするきょうだい喧嘩、親は止める?見守る?
きょうだい喧嘩が起こった際の声かけやルールは家庭によって異なります。兄弟姉妹を持つママの体験談を集めたので、ぜひ参考にしてください。
客観的な立ち位置で介入しています(2児のママ)
わが家は3歳の長男、0歳9ヵ月の次男の男兄弟です。
喧嘩をすることで、自分の感情のコントロールや、仲直りの経験ができるだろうという方針のもと、親としては関わり過ぎないことを心がけています。そのため、なるべく仲裁せずに、ケガが無いよう見守り、子どもから助けを求められた段階で客観的な立ち位置で介入します。
また、喧嘩の理由に執着させないように別の遊びに変え、気分転換させるのも有効かなと感じています。弟が小さいので、まださほど激しい喧嘩はないですが、上の子を理不尽に叱らないように、平等に接するようにしていきたいです。
絵本で言葉の言い換えを学んでいます(2児のママ)
4歳の長女と2歳の長男が、主におもちゃの取り合いで喧嘩をします。ぶったり、物を投げたりなど手が出始めたら、注意するようにしています。
また、あまり対策やルールは決めていないのですが、主にお姉ちゃん向けに「言葉を言い換えられる」絵本を読んであげています。ちくちく言葉「ダメだよ!」→ふわふわ言葉「ケガをするから危ないよ」といった感じで言い換えの例がいくつも載っています。この絵本は、普段「ちくちく言葉」ばかりで注意をしている大人の子育てノウハウとしても役立ちますよ。
エリア分けや動画を撮って対策しています(3児のママ)
4歳男の子、2歳女の子、0歳8か月女の子がいます。
4歳の長男と2歳の長女の兄妹喧嘩は日常茶飯事です。原因は、兄がつくったブロックを妹が壊した、妹が遊んでいたものを兄が無理やり取った、など些細なことです。
対策としては、エリア分けをすること。「こっちは、ブロックチームね」とそれぞれの遊ぶ範囲を決めています。同じおもちゃで遊ぶときは「仲良く遊べないと嫌だな」と先に念を押しておきます。
他には、動画を撮ること。証拠にもなり、動画を撮っているのに気がつくとつい笑ってしまう2人。喧嘩の原因分析を親が一緒にして仲直りします。
1番下の子が生まれたのが効果的だったのか、長男は妹たちのことを小さくてか弱いと認識し始めました。「お兄ちゃんだから」「年上なんだから」と一度も言ったことはありませんが、いつも妹たちをリードし、優しく接してくれます。とはいえ、長男も長女もまだまだ甘えたい時期なので、1人ずつと接する時間をつくるように心がけています。
兄弟で読んでほしいおすすめの絵本
上の子の気持ち、下の子の気持ち、それぞれに寄り添った絵本や、兄弟の大切さを学べる絵本を紹介します。きょうだい育児にちょっと疲れてしまった親にも、ぜひ読んでもらいたい絵本です。
あなたってほんとにしあわせね!
弟が生まれた「私」に、周りが言います「あなたってほんとにしあわせね」。だけど私は少しもそうは思えません。お姉ちゃんだから我慢しないといけない、赤ちゃんには優しくしないといけない、頭ではわかっていても気持ちの整理が追いつかない。そんな上の子の気持ちに寄り添い、兄弟として仲良くなる様子を描いた絵本です。
ティッチ
3人兄弟の末っ子ティッチのお話です。いつもお兄ちゃんお姉ちゃんへの劣等感や憧れの気持ちを抱えているティッチ。でもある日ティッチのまいた小さな種が大きく大きく成長していきます。誇らしげなティッチの様子がかわいくて、成長を応援したくなるような、心あたたまる絵本です。
アネゴンたいタロラ
きょうだい喧嘩をテーマに、子ども目線で描かれた一冊。一日に何度も喧嘩を繰り返す2人はまさに小さな怪獣!きょうだい喧嘩のあるあるを描きつつ、思い切りぶつかり合える相手がいることの素晴らしさを教えてくれます。
おこりたくなったらやってみて!
子ども自身が感情をコントロールできるようになる「呼吸セラピー」の絵本シリーズです。ユニコーンの子ども「ガストン」と一緒に、気分を前向きにするための呼吸法を学べます。子ども自身が自分の負の感情と向き合い、解決する力を身につけることで、親もきっと子育てがラクになるはず!毎日の育児で、つい感情的になりがちな親にも読んでもらいたい一冊です。
さいごに
きょうだい喧嘩は、子どもにとってコミュニケーションや我慢を学ぶための貴重な経験です。親は、必要以上に介入せず、子どもの成長と自発性を見守りましょう。上の子、下の子、それぞれの気持ちに寄り添った声かけができるよう、今回ご紹介した絵本もぜひ参考にしてみてください。
参考サイト
- 学研教室|困ってしまう「きょうだいげんか」 けんかの理由と上手な対処の仕方とは(https://www.889100.com/column/column100.html)
- ベネッセ教育情報サイト|きょうだいげんかには子どもを育てる効果がいろいろ(https://benesse.jp/kosodate/201604/20160401-2.html)